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美男の「王」⑴

私の考えを阻んでいる葛藤は、不吉な予兆だ。本能的な直感が、今の私にとって最大の障害になっている。こんなにも長く堕落してきたのに、今、王が私に満足を与える手を差し伸べてくれている。私はそれを受け入れるべきだ。


行け、アンナ。お前はもう全身に“虫”が這っている。この一度の“洗礼”を受ければ、体に巣食う“虫”も洗い流される。それに、お前の身体は興奮の波を呼び起こす。何をためらうことがある?


「陛下、それでは一緒に上がりましょう。初めてなので、少し慣れないかもしれませんが……」


「うん、もちろんだ。マーガレット、ちゃんとドアを閉めておいてくれよ」


そう言い残して、私と陛下は階段を上った。後ろからマーガレットが大きな声で叫ぶ。「楽しんできてね~」そしてドアが閉められ、残ったのは上る階段を照らすわずかな灯りだけ。


一歩、二歩、三歩……かなり高い場所まで上ると、目の前に木製の扉があった。押し開けると、部屋の中には豪華なベッドがあるだけで、他には何もない。外はテラスから光が差し込んでいるが、非常に弱い光だ。


「陛下、これは……」


私は彼を見た。彼は顔を覆っていたヴェールを外しているところだった。その下に現れたのは、神々しいまでの美貌——神の中の神と呼ぶにふさわしい顔立ち。白い髪、ピンク色の瞳。まるで伝説のアポロンそのものが神話から抜け出してきたかのよう。赤く潤んだ唇にキスすれば、きっと甘くて美味に違いない。


彼は華やかな礼服を脱ぎ始め、しなやかでいて力強い体躯を露わにした。神でさえ泣いて喜ぶだろう、この完璧な肉体。これまで数多くの男に触れてきた私でさえ、初めて見るものだった。


「あ、ごめんね~。先にシャワーを浴びてくるよ。君も浴びたらどうかな? 浴室は左側で、バスタオルは椅子の上にあるよ~」


「は、はい! では私もシャワーを浴びます! 陛下は本当に清らかですね」


「君のような仙女に、汗まみれの体で触れるわけにはいかないだろう。それじゃ、俺が先に入るよ」


彼が浴室に入っていく背中を見送りながら、私は想像もしていなかったことが、こんなにも短い時間で起こっていることに、まだ追いつけていない。


次に私も浴室に入ったが、そこには理解できないものがあった。壁に広がる大きな赤い血痕。手を伸ばして触ってみると、かなり古い血のようだ。もしかしたら、これはただの装飾なのか……そ、そうだよね……。


「気に……しないでおこう……。とにかく体を洗おう。特に下の部分は、しっかり綺麗にしないと」


私は体の隅々まで丁寧に洗った。水面には花びらが浮かび、徐々に全身を湯に沈めた。水温は少し冷たかったが、洗うには十分だった。


体を拭いて、全裸のまま浴室を出ると、陛下はすでにベッドの上でワインを開け、味わっていた。彼の瞳には、何かを吐き出すような色と、かすかな憐れみが混じっている。私を見た瞬間、目を見開き、意外そうな喜びを浮かべた。


「アンナ、君は本当に……美しい。アンルクニンとは思えないほどだ。残念ながら、俺は彼女から離れられないけどね……」


「アンルクニン……王后様、ですか……陛下の正妻……」


アンルクニン——通称“天后”。国の大小の政策を司り、王室議会の議長をも務める、まさに極致の権力者。二人の王子を産み、最も正統な血統を持ち、権力欲の強い女だ。


「笑わせてしまったね。俺がなぜ普段姿を見せないのか、みんなが俺を“神秘的”と呼ぶ理由、分かるか?」


「陛下のおっしゃる通り、王后様のせいでしょうか」


「……その通りだ。君の言う通り。王后はあまりにも醜悪で、強い支配欲を持っている。俺は彼女から離れられないし、国も彼女を失えない」


彼の声がますます沈んでいく。今の彼は王ではなく、ただ逃げ出したいと願う普通の人間のように見えた。


完全に同じ気持ちになることはできない。至高の権力を手にしながら、ここで愚痴をこぼし、妻に支配されていると言う。それでも、最下層で苦しみながら生きるよりはましだろう。


権力がありながら自由がないのも、悲しいことだ。私もその方向へ進んでいるのかもしれない。理解できる頃には、もう遅いのだろう。でも、少なくとも今、この道が唯一の選択肢だ。

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