麗華の交渉 グリエ料理
麗華、初めて受けたマッサージに心酔する。
権利獲得のためおじさんとの交渉に挑む。
「はい、片付けも終わったし、そろそろ出ますよ」
麗華「その前に、お話があります!」
「ご飯なら今から探して予約しますけど」
麗華「ご飯じゃなくて・・・京子先輩って私とのエッチ1回につきマッサージ1回が条件に
なってますけど、私にもその権利はあると思いませんか?」
「えっ?麗華ちゃんは進んでやりますって言ってくれたから条件とかって考えてもなかったけど」
麗華「だから、私も次から1個だけ条件付きでお願いしたいな~と思って」
「今更ですか?」
麗華「だって、京子先輩だけなんて、ズルいです!」
「そうは言っても麗華ちゃんが最初に言わないから」
麗華「おじさんがマッサージ得意なんて話は言ってもらってません!」
「いやいや、撮影のたびに2人にマッサージって大変なんですけど」
麗華「2人にフルでとは言いません。どっちかがフルで、どっちかが腰・お尻の
マッサージでいいですよ!」
「いや、ほぼ変わらないし大変なんですけど」
麗華「それじゃ、私のやる気がでなくなっても良いんですか?」
「それは困りますけど・・・」
京子がニンマリ笑っていたが、
京子「おじさん、諦めたら!麗華ちゃんは引かないと思うよ(笑)」
麗華「そうです、引く気はありません!」
「京子先輩はそれでもいいの?」
京子「私は構わないよ~」
「はーい、それじゃ撮影1回につき2人にマッサージはしますけど、今日みたいに
2本撮りとかになっても拒否しないでね。それであればいいですよ」
京子「オッケーよ~(笑)」
麗華「ヤッタ―!(笑)」
「はーい、それじゃ撤収します」
2人「はーい」
ホテルを出る前に晩ご飯の予約をおじさんがしていた。
「3名です、空いてます?あ、はい、ありがとうございます!30分以内に行きます」
時間は18時半過ぎ、ホテルを出て晩ご飯のお店に向かう。
麗華「おじさん、なんてお店行くんですか?」
「フレンチ風居酒屋、片町にあるの、知ってる?」
2人「知らいな~い!」
「うん、じゃ、ググらずにいて、お楽しみで!(笑)」
2人してスマホを手に持っていたが、止める。
麗華「どんなお店なんですか?」
「犀川沿いにあって、入口から直ぐにカウンターとテーブル席が何席かあって、
その奥は座敷があって、奥の畳席座敷は古民家をリノベーションした感じで雰囲気がいいお店」
京子「何料理のお店?」
「うーん、軽いフレンチって感じだけど、オムレツとお肉が美味しかった記憶がある!
10年前だけど(笑)」
麗華「そんな前の味って覚えているんですか?」
「うん、薫りと味は意外に忘れないね」
京子「それって、今も同じ味って限らないよね?」
「うん、そだね、だから楽しみ!変わってるのか、変わってないのか?(笑)」
片町に車が進んでいき、犀川大橋近くのコインパーキングに車を止めて歩いてお店に向かう。
犀川大橋から下流に向かって川沿いの道を歩いて行き
京子「ホントに犀川の横にあるんだ?」
「うん、いい所にお店があるよ!お店の前から春は桜が良く見えるし、夏の花火大会の時には
花火が見れるしね」
麗華「あっ、花火大会!いいですね、来年は京子先輩と一緒に見れたらいいな~!(笑)」
京子「おじさんは?(笑)」
麗華「お財布としてついて来て下さい!(笑)」
「その時は2人でゆっくりしておいで!俺はいたら邪魔みたいだし!(笑)」
麗華「拗ねてるんですか?もっと大人の余裕を見せてもらわないと!(笑)」
「ま、その時にそばに居たらね・・・(微笑)」
麗華「も~、拗ねないの!(笑)」
京子「来年の夏はおじさんも一緒に花火大会いくよ!楽しみにしてるから!!(笑)」
「はーい(笑)」
お店の入口まで来ると
麗華「へ~、入口から雰囲気のいいお店ですね」
京子「うん、いいね」
「入りますよ」
おじさんがお店のドアを開けて中にはいると、お肉の焼ける匂いに気をひかれ、静かにかかる
BGMとサワサワと聞こえる静かなお客さんの話声が耳に心地いい。
店員「いらっしゃいませ、ご予約ですか?」
「はい、先ほど電話した」
店員「お待ちしてました。こちらへどうぞ」
お店の奥の席に案内される。
畳みの座席で4人が座れるテーブルだった。
室内を見回すと古民家によくある立派な梁や柱に、飾り天井でレトロな雰囲気が良かった。
京子「へぇ~、いいお店ね(微笑)」
麗華「なんでこんないい雰囲気のお店知ってるんですか?」
「10年前までは飲み屋のお姉ーさんと同伴することあったから(笑)頑張ってましたよ(笑)」
京子「今はしてないの?」
「うん、コロナの4年くらい前から遠のいて、コロナが来て、あけても面倒くさくて(笑)」
麗華「え~、行って来ればいいのに!(笑)」
「今は君たちのお昼と夜ごはんで手いっぱいです!(笑)」
麗華「そんな食べてません!(笑)」
京子はお店に入ってからずっと壁や天井を眺めて微笑んでいた。
「うん、それはいいけど何食べます?」
2人「お任せします!」
店員がやって来て「お飲み物はどうされますか?」
3人「生ビールお願いします!」
店員「はい、かしこまりました」
「あと、チーズ盛り合わせとガーリックトーストにシーザスサラダ、オムレツお願いします!」
店員「はい、かしこまりました!」
京子「オムレツって、ここの美味しいの?」
「うん、好みかな(笑)」
京子「だから、美味しいかどうか聞いてるの!」
「ん~、俺は好きな香りがするオムレツだと思ってます、香ばしくって!」
京子「好きな香り?味じゃなくって?」
「説明しづらいから食べてみて、合わなかったら全部食べるから」
店員「生ビール、お待たせしました!」
ピルスナーグラスに生ビールが注がれていて肌理の細かい泡が表面の1/4を覆っている。
おじさんがグラスを手に取り
「今日はお疲れ様でした~!(笑)」
2人「お疲れ様~!(笑)」
おじさんはグラスの半分くらいまで飲み、2人は1口2口を飲んで
「は~ッ、美味しい~!」
麗華「今日は頑張りました、生が美味~い(笑)」
京子「ホント頑張ったよね、大変だった~!(笑)」
麗華「そうですよー、長かった~!(笑)」
「そうは言うけど、俺も頑張りましたよ、アレ」
京子「アレって言わないの!周りが誤解するから(笑)」
「え~、けどマッサージって言っても誤解されると思うよ(笑)」
麗華「あはっ、そうですよね(笑)」
店員「シーザスサラダとチーズ盛り合わせお待たせしました」
麗華「えっ、チーズってこんなに種類あるの?」
「うん、20種類くらい並べてくれるから、楽しいの」
京子「1個が小さいからいいね、好きなの選べる」
「うん、チーズと一緒にガーリックトーストと食べるとあうよ、あと、バゲットでも」
麗華「この端っこに乗ってる小さなガラス瓶ってなんですか?」
「これは蜂蜜!塩っぱいチーズに蜂蜜かけると、チーズと蜂蜜の薫りに甘じょっぱい味が
自然で癖になります!(笑)」
京子「チーズに蜂蜜って美味しいの?」
「うん、好き!(笑)」
麗華「出た、好きって・・・美味しいかどうかを聞いてるの!」
「まぁ、食べてみて」
京子が一番癖のなさそうなクリームチーズに蜂蜜を少し垂らして
京子「えっ、美味し~い!スイーツみたい!(笑)」
麗華がブルーチーズに蜂蜜を垂らして食べる
麗華「美味し~い、食べやすい~!(笑)ブルーチーズって匂いが強くて、塩辛いイメージが
あるけど蜂蜜の薫りと甘さが中和してくれる~!美味し~い!(笑)」
「そうでしょ、俺にはチーズに蜂蜜って発想が15年前にはなくて衝撃だった(笑)」
京子「ケーキならクリームチーズに蜂蜜とか甘い物を合わせてってのはあるけど、
素材そのままでもかけるだけで美味しいんだ!(笑)」
麗華「世の中、凄い発想する人っているんですね、いつからあるかは知らないけど、
知らない味を味あわせてくれるって凄いな~!」
「凄いよね~」
麗華「おじさんが凄いっていってる訳じゃないですよ!(笑)」
「分かってます!(笑)」
店員「ガーリックトースト、オムレツお待たせしました!」
「ありがとうございます。あと、アスパラのオーブン焼き、お肉のグリエ盛合わせと
バゲットお願いします!」
店員「かしこまりました」
おじさんがオムレツに向かって
「ん~久しぶり、いい匂いする~!」
京子「この香ばしい薫りってなに?」
「うん、トリュフ、この黒いつぶつぶがそう!」
麗華「ホントいい薫り~、美味しそ~!」
「食べてみて」
京子が一口食べる。
京子「えっ、美味しい、タマゴもいい薫りするし、トリュフがアクセントになってて
凄く美味しいんですけど!(笑)」
麗華「うん、美味しい!いくらでも食べられそー!(笑)」
「うん、ここのオムレツは好き!」
店員「バゲットお待たせしました」
「ありがとうございます」
麗華「今からバゲットって?」
「うん、チーズ乗せてもいいし、オムレツ乗せてもいいよ、好き!(笑)」
おじさんがニコニコしながらバゲットをちぎってチーズをのせて食べている。
麗華も京子も同じようにバゲットにチーズやオムレツを載せて食べる。
2人「もー美味しいんですけど!(笑)」
「京子先輩、この後にアスパラとお肉が出てくるから少し抑えてて!」
京子「うん、分かった!(笑)」
麗華「残ったら私とおじさんで食べるから大丈夫ですよ!」
「麗華ちゃん、京子先輩が全種類食べないと意味がないんです。みんなと一緒なものを
食べてもらいたいの、ちょっとづつでもいいから!(笑)」
麗華「あっ、そうですよね、量じゃなくて一緒なの食べて欲しいです!」
京子「うん、ありがと!(笑)」
店員「アスパラのオーブン焼き、お肉のグリエ盛合わせお待たせしました!」
「ありがとうございます」
店員「お飲み物のお替りはいかがですか?」
「グラスで赤ワインの軽いのありますか?」
店員「ございます」
「それじゃ、赤の軽いのでお願いします」
麗華「私も同じで」
京子「私も~」
店員「赤ワインの軽いものでご用意しますね」
「お願いします」
麗華「お肉美味しそ~、食べていいですか?」
京子「いいよ」
「どうぞ、食べたいのから(笑)京子先輩も!」
3人して小さく切り分けられたお肉を取り口に運ぶ
京子「うん、美味しい、お塩の薄味でお肉の味が分かる~」
麗華「美味しいです。種類もあって楽しいです!」
京子「アスパラ美味しい、良い薫りする(微笑)」
麗華「アスパラ、甘い(微笑)」
「うん、美味しいね(微笑)」
麗華「ところで、ワインって今の注文の仕方でいいの?」
「うん、お店の人は自分のところで出してるワインって知ってるから、赤なら重い・軽いで
いいし、白なら酸っぱい・酸っぱくないのでって言えばだいたい合わせてくれるよ」
麗華「そうなんですね?ワインって銘柄とか産地とかいろいろあるけど、覚えられないから
敬遠してた」
京子「うん、そうだよね、メニューに名前書いてあってもどんな味か分からないし」
「うん、ワインに凄く拘ってるお店は違うけど、ほぼ今の頼み方すれば問題ないよ。
もっと大雑把な店だと、
ハウスボトルは赤か白しかないし・・・言えばホテルのディナーバイキングなんかはそうだね。
メニューにあるボトルを注文すれば別だけど」
京子「へー、そんな簡単なんだ?」
麗華「そんなんで良いんですね」
「うん、ご飯食べる時にそんな悩んでも仕方ないし、好みのワインでもビールでもお酒でも
自分の好きな組み合わせで楽しめばいいと思うけど」
京子「おじさん、意外にこだわりは持ってるよね」
「ん~、好きじゃないものだけ避けるようにしてるけど、それ以外ならなんでもオッケーです」
麗華「好きじゃないものって?」
「ん~、例えば、俺が酸っぱいと感じるビール!(笑)」
京子「そんなのある?(笑)」
「お店によってはそれしかないとかあるよ」
麗華「因みに銘柄は?」
「人それぞれの好みです(笑)」
2人「またー!(笑)」
店員「赤ワインお待たせしました」
3人、ワインとお肉を交互に口に運び、味を堪能する。
京子先輩はお肉を5種類全て1切れづつ食べて
京子「あと、お願いね!」
麗華「任せて下さい!(笑)」
おじさんはニコニコしながら黙ってテーブルに乗っている料理を食べ進めていた。
麗華はおじさんに取られたくないお肉を全て自分の取り皿に乗せてゆっくりと食べている。
京子がその食事風景を眺めながら、
京子「いろいろ食べられるって幸せなんだね(微笑)」
「うん、そだね、けどみんなと一緒に食べるのが大事よ、種類いっぱい食べても
1人で食べてると楽しくないし。俺は今、2人と一緒なもの食べて飲んでるから幸せって
思えてるけど、これが家で一人同じ食事しても幸せって思うどころか、美味しいとも
思わないと思うけど・・・うっ、ふっ、う」
麗華「うん、そだね、みんなで同じもの食べるのがいいよ!(笑)」
京子「うん、そうだね!(笑)」
京子がおじさんを見て笑っている。
麗華「はぁ~も~、おじさん、ティッシュどうぞ」
麗華がカバンからポケットティッシュを取り出して渡す。
「あ、うん、ありがと」
麗華「今の会話で泣くところありました?」
「え、今の「みんなと一緒に食べるのが大事」ってところが、自分で言ってて
泣けてきました。自分に言ってるようで悲しくなって・・・(笑)」
麗華「おじさん、一人だもんね(笑)」
京子「麗華ちゃん、追い打ちかけないの!(笑)」
麗華「えへっ、ごめんなさーい(笑)」
出された料理は全て食べきってお店をでることとする。
少し酔って火照った身体に犀川べりに吹く風が心地よかった。
おじさんが金劇前までついてきて2人をタクシーの直ぐ横まで送ってくれる。
「2人ともお疲れ様でした!また、次もよろしくね~!」
京子「その前に脚本送って、それから!(笑)」
麗華「そうです、脚本読んでからです!(笑)」
「あ、はーい、頑張りまーす!おやすみ~!(笑)」
2人別々のタクシーに乗り帰っていく。
おじさんは代行を呼んで帰路についていた。
2話目収録から2週間後、
おじさんから1話目と2話目となるボイスマンガが送られてきた。
「このマンガをリリースする予定です。修正したいところが無いか確認して下さい」
翌日
麗華「直して欲しいところはありません!このまま出して下さい!」
京子「私も、直したいところないです!」
「いいの?」
2人「オッケーです!(笑)」
「それじゃ、今週金曜の夕方に1話目リリースします!
2話目は再来週の金曜にリリース予定です」