麗華の最後通告
煮え切らないおじさんへ麗華からの最後通告、
麗華「ふふっ、私は京子ちゃんの味方です!けど私が出来るのはここまでです。
あとは2人で話合って下さい(微笑)」
2月中旬 収録日
京子からランチは遠慮するとのメッセージが入ったので待ち合わせ時間を
13時に変更していた。
12時半過ぎ、麗華がいつものカフェでコーヒーを飲みながらタバコを
吸っていると京子がコーヒーを片手に入ってくる。
麗華が小さく手を振り、京子が近づいて来て席に座ると
麗華「京子ちゃん、どうしたのランチいらないって?」
京子「うん、ちょっと食欲が無くて」
麗華「えっ?食欲無いって、体調崩したりしてない?」
京子「うん、大丈夫、食べたくないだけだから(微笑)」
麗華「ホントに?けど食べたくないって、なんかあったの?」
京子「うんうん、いいの」
麗華「京子ちゃん、悩んでることあったら何でも言って、前にも言ったけど私は京子ちゃんの味方だよ」
京子「うん、ありがと(微笑)」
京子が黙り込む。
麗華「そろそろ時間だし、行きましょうか」
京子「うん」
2人して駅構内を会話もせずに歩いて行くと、いつもの場所に車が止まっていておじさんが
車から降りて待っていた。
麗華「どうしたの?寒いのに外で待ってるって」
「いや、まあ、乗って」
おじさんが運転席に乗り、京子と麗華も乗ると車が走り出す。
麗華「今日も寒いですね」
「うん、そだね」
おじさんはそれっきり黙り込み、京子は黙って後席に座って外の景色を眺めている。
車内の重苦しい空気に麗華も黙って助手席に座り、外の景色を眺めていた。
ホテルに入っておじさんが収録の準備にカメラやマイクを設置しながら
「今日の分の脚本は覚えて来てますか?」
麗華「はい」
京子「うん」
「それじゃ、始めます」
脚本の読み合わせを行い、区切りの良いところまでくると
「京子ちゃん、もう少し声を大きくして欲しいです」
京子「ちゃんとやってるよ」
麗華「やっぱり体調悪いの?元気ないよ?」
「京子ちゃんが元気ないと収録が出来ないです」
京子「うん、ごめん今日は調子でないや」
麗華「どうしたの、やっぱり何かあったの?」
京子「うん、おじさんの前では言いたくない」
麗華「は?おじさんと何かあったの?」
「京子ちゃん、その話はこの前しましたよ、在りえないって」
京子「だから言いたくない」
麗華「おじさん、ちょっとお風呂場行ってて下さい」
「麗華ちゃんが聞いても意味がないから」
麗華「お風呂場行ってて下さい!私が京子ちゃんの話聞きます」
麗華がおじさんをお風呂場に追いやって
麗華「話が終わったら呼びに来ます、それまで待ってて下さい」
風呂場のドアを閉めて京子が座っているベッドまで来て横に座り
麗華「京子ちゃん、何があったの?教えて」
京子「麗華に言っても解決しないから、いい」
麗華「悩んでるなら話すだけでも気が紛れると思うよ、力になれないかも知れないけど、
私は京子ちゃんの味方だよ」
京子「ホントに味方になってくれる?」
麗華「うん、味方だよ!」
京子「あのね・・・先週おじさんと話をしてて、子供が欲しいって言ったら
絶対ダメだって言われて」
麗華「は?子供?」
京子「うん、私が生んで育てるって言ってるのにダメだって」
麗華「京子ちゃん、好きな人いるって言ってた人?」
京子「うん、その人の子供が生みたいのにダメだって」
麗華の頭に血が上り顔が赤くなっていく。
麗華「あの人、なに言ってるんですかね、何様ですか?分かりました話付けましょ!」
麗華がおじさんを呼びに行き2人で戻ってくる。
京子の隣におじさんを座らせて麗華はその前に仁王立ちで
麗華「おじさん、京子ちゃんが子供が欲しいって言ってるの、ダメだって言ってるそうですね?」
「ダメに決まってます。在りえません!」
麗華「おじさんにそんなこと言う権利なんてない!京子ちゃんが決める話です!」
麗華が大きな声で怒りだす。
麗華「結婚もしてない女の子が子供が欲しいって言いだすのってよっぽどの事ですよ、
それを、頭ごなしにダメなんて何様のつもり?
京子ちゃんが好きな相手と子供を作りたいなら黙って見守ってあげれば良いじゃないですか!」
「いや、だからその相手が」
麗華「おじさんに京子ちゃんの相手のこと、とやかく言う権利はありません!
単に仕事で一緒にいるだけの関係なんですから、自分の立場、分かってます?」
「分かってるからダメだって言って」
麗華「分かっててダメだって、なに言ってるんですか、好きな相手と何しようと京子ちゃんの
自由だし、そんなことおじさんに言われる筋合いはありません!」
麗華がおじさんに喋らせずに一気にまくし立てて
麗華「そう思いませんか?」
「麗華ちゃん、落ち着いて聞いて下さい。京子ちゃんが子供が欲しい相手って俺のことです」
麗華「はぁ~?なに言ってるんですか、なんの妄想?」
京子「麗華、あの、私、おじさんの子供が欲しいの」
麗華「えっ?・・・」
麗華が30秒ほど固まってから
麗華「えっとー、2人して私のことからかってます?」
京子とおじさんが顔を横に振っている。
麗華「ははっ、ダメに決まってるじゃないですか!こんな先の短いおじさん相手に」
京子「だから、私が生んで育てるんだから、おじさんの寿命は関係ない!」
麗華「京子ちゃん、いくら何でもおじさんが相手って・・・」
麗華が京子の前に膝をついて顔を覗き込んで言うと、京子の目から涙が溢れ出し
京子「麗華も反対するんだ・・・味方だって言ってたのに、うっ、う、ヒック」
麗華「京子ちゃん、ホントにおじさんが好きなの?気の迷いじゃないの?」
京子「そんなこと無い、前から好きだったし。ヒックヒック」
麗華「前からって、いつから?」
京子「去年の1月に私がちょっとダウンした時から、いつも私のこと気遣ってくれて・・・
うんうん、もっと前から、私のこと必要だって言ってくれたときからだと思う」
麗華「それっていつの話?」
京子「うん、私のことマンガに誘うのに何回も土下座してどうしても必要だって言ってくれたし、
私でも必要とされるんだって思って、その時すごく嬉しかったの覚えてる。
たぶんそれから意識するようになってて、1月のダウンとその後の温泉旅行の時にずっと
気を遣ってくれていて・・・その時、好きになってたのに気付いたの」
麗華「そんな前から、好きになってたの?」
京子「うん」
麗華「そんなに好きなの?」
京子「うん」
麗華「はぁ~・・・それで、おじさんは?どうするんですか?」
麗華がおじさんに向き直って問いかける
「どうするって言われても・・・」
麗華「おじさんの行動が今の京子ちゃんの気持ちに繋がったんだから、責任とる必要ありますよ」
京子「あと、マンガに出てくれるなら「京子ちゃんが望むことなんでもします」って
言ってくれてたの思い出した(微笑)」
「いや、その後に「出来る範囲で」って言ってました」
麗華が下を向いて少し黙り込んだあと、顔を上げて
麗華「えっとー、もうその話は2人の時にしえもらえます?それより私もおじさんに
言いたい事が出来ました」
「なにがあるんですか?」
麗華「その前に、京子ちゃんは誘われたときにお金の話はでた?」
京子「うんうん、ぜんぜん」
麗華「分かりました・・・聞いてる限り京子ちゃんを誘った時には土下座して
プロポーズみたいなこと言ってたみたいですけど、
私には「お金になるかもしれないから裸になりませんか?」って言ってましたよね」
「そんなストレートには言ってませんよ」
麗華「要約するとです」
「はぁ、まあ要約するとそうなりますね」
麗華「最初の誘い方からこんなに違うのは、おじさんはその時から京子ちゃんが
好きだったこと理解してます?」
「いや、マンガに必要な人だったから」
麗華「違います。それなら私にしたようにお金の話をすればよかったですよね?
それをしなかったのは、したくなかったからでしょ?」
「いや、そんなことは・・・」
麗華「おじさん、いい加減に逃げるのは辞めなさい!」
「はい」
麗華「この後は、京子ちゃんとおじさんがちゃんと向き合ってどうするか決めて下さい。
2人がどうするか決めるまで私は収録には来ません。
マンガは一応終わったし、小説はまだリリースが始まってないので、今なら考える時間はあります。
このまま小説のリリースが無くなっても私は構いません。
だから2人して結論を出して下さい。私はそれに従います」
京子「麗華、ありがと(微笑)」
麗華「ふふっ、私は京子ちゃんの味方です!けど私が出来るのはここまでです。
あとは2人で話合って下さい(微笑)」
収録は中止となりホテルをでて金沢駅で麗華だけが車からおり、
京子とおじさんは一緒に帰って行く。
おじさんの車が見えなくなると金沢駅構内に向かって歩き出し呟く
麗華「ふふっ、あの2人どうなるのかな?」




