脚本修正 おでんとお刺身
おじさんから受け取った脚本に納得する2人。
ボイスマンガの収録に向けて動き出す。
7月中旬
6月の打合せから1ヶ月が経つがおじさんからの連絡がない。
麗華「おじさん、脚本どうなりました~?」
ラインを入れるが既読にもならず、更に2週間が過ぎる。
駅中にあるお店で京子先輩と麗華がお茶を飲みながら話をしていると2人同時に
スマホにメッセージが入る。
「とりあえず作ってみたので読んでみて下さい」
1ヶ月半ぶりに入ったラインに2人して顔を見合わせて、3人のグループラインに
麗華「何してたんですか?1ヶ月以上も?」
京子「そうよ~!」
と入れるが未読のまま、することもなかったので送られてきた脚本を読んでみたが、
ありふれた普通のどこにでもある女の子カップルの話だった。
麗華「なんか普通の話なんですけど・・・」
京子「たまに聞くような話だよね?」
「君たちが望んだ話です、どっちがいい?」
麗華「そうなんですけど・・・」
京子「そうだったね」
おじさんからの返信が途切れて、1時間以上が経過しても既読にもならない。
麗華「おじさん、拗ねてるんですかね?」
京子「さぁ~?どうなんだろ?」
それからも何回かメッセージを入れるが既読にもならないので諦めて麗華と京子は
ホテルに向かうことにする。
おじさんとの連絡が途切れてから1ヶ月が経った頃
3人のグループラインに
「どっちがいいか決まりました?」
麗華「おじさん、何してたんですか?連絡もせずに!怒」
「他の子とマンガの話進めてました。1本リリースしたよ、読んでみて!面白いと思うよ(笑)」」
麗華「はぁ?どう言うことですか?私達とマンガ出すって言ってたのに」
「2人ともどっちがいいか言ってくれないからすること無いし、面白い女の子が見つかったから、
ちょっとそっちの女の子と話してリリースしてみました(笑)」
麗華「してみましたって・・・」
「2人の意見とは正反対の意見だったから面白くてつい」
麗華「私達とはどうするんですか?」
「うん、よく考えてみたけど、2人がノーマルがいいって話でやってみようかなと思いました」
麗華「それじゃ、脚本書き直すんですか?」
「え?ノーマルなの書いてこの前に送ってあるよ」
麗華「あの普通の話ですか?」
「そうです」
京子「あんな普通の話で売れるの?」突然入ってきた。
「さぁ、分かりません」
麗華「分かりません・・・って」
「2人がそうしたいって話を作ったので売れるかどうかは分かりません」
京子「それってリリースしてみないと分からないって事だよね」
「そうですね、やってみる価値あるかな?売れるかな?ってくらいのレベル」
麗華「ラインじゃなくて一回集まって話しません?」
京子「そうだね、ラインめんどくさい!」
「いいですよ、いつがいいですか?」
京子「いつでもいいよ!」
麗華「明日がいいです」
「ゴメン、明日は予定があります」即答で帰ってきた。
麗華「それじゃ4日後の夕方でお願いします」
「了解です。夕方18時にいつものカラオケボックスでいい?」
麗華「はい、お願いします」
京子「了解~」
「それじゃよろしく~」
4日後、麗華は18時にはカラオケボックスに着くように歩いていた。
おじさんとの脚本のやり取りで4ヶ月以上が経って季節は10月初旬になっている。
歩いていても夕方の風は涼しくて気持ちが良い。
カラオケボックスの入口で京子が歩いてくるのが見えたので少し待ち合流して
エスカレーターを登る。
受付前のソファーでおじさんが小さなノートPCに何か打ち込んでいた。
麗華「こんばんは!」
おじさんがビクッとして顔を上げる。
「こんばんは、2人そろってるね、部屋に行こうか(笑)」
2人しておじさんの後について行く。
部屋に入ると
「飲み物どうします?」
麗華「アイスティーでお願いします」
京子「私、ミネラル」
おじさんが自分の飲み物と一緒に入口にある電話で注文をして、
店員が飲み物を運んできて部屋から出ていくと
麗華「どう言うことなんですか、他の女の子と一緒にマンガを出すって」
「うん、タイミングが良かったから」
麗華「タイミングってなんですか?」
「2人ともこちらから出した2本の脚本は否定したけど、こうして欲しいとかの意見も
無かったし触りようが無いな~と思って」
麗華「意見は言いました。1本目はアブノーマル過ぎです。2本目は普通過ぎですって」
京子「そうよ~」
「うん、その2つは意見じゃなくて、感想だから。あの2本の脚本読んで、こっちは
こうして下さいとか、ここは修正して欲しいとか、内容を言ってもらわないと脚本の
修正は出来ないよ」
2人「そうだけど・・・」
「だったのですが、今回、他の女の子とマンガ出して分かりました。アブノーマル過ぎるのは
話が続かないってことが理解できたので、ノーマル編で話を作っていくことにします」
京子「え?そうなの?」
「うん、あれから脚本を作っては没、作っては没って繰り返していたらノーマルの方が
書きやすいのに気付きました」
麗華「売れるかどうかって話は、どうなんですか?」
「そうだよね~、出してみないと分からないしね~?」
麗華「どうするんですか?」
「この前のラインから時間があったからノーマルの内容を書き直したのを5話まで作ったけど、
読んでみる?それで、2人の感想が良ければそのまま進める感じにしたいです」
京子「それじゃ、出来てるところまででいいから送って」
おじさんがPCを操作して
「送りました、取りあえず2話目まででいいから読んで感想下さい」
2人して脚本を黙って読んでいた。
おじさんはノートPCに何か打ち込みをしながら待っていると、20分ほどして
麗華「この麗華ちゃん可愛いー!京子先輩も可愛くて好きです!(笑)」
京子「うん、この京子ならやってもいいかな、麗華ちゃんも可愛いし、愛しくなるキャラ!(笑)」
「けど、この内容だとセールスがあんまり見込めないかも知れないよ?」
麗華「それでもいいです、この話なら売れなくても!後から私が読み返して楽しめそうな話なんで、
今の記念にいいかなって思います!(笑)」
京子「うん、私も!麗華ちゃんとの記念になるだけでもいいよ!(笑)」
「あはっ、うん、良かった!分かったよ、この感じでゆっくりと麗華ちゃんと京子先輩の関係が
続いていく内容にします・・・(微笑)」
京子「おじさん、泣いてる?(笑)」
「えっ、いやそんなことないですよ」
麗華「目がウルウルしてますけど(笑)」
「うん、ゴメン、ティッシュある?」
麗華「もぉー、ティッシュくらい持ってて下さい(笑)」
麗華がカバンからポケットティッシュを取り出して渡してくれる。
京子「今の話に泣くところあったの?(微笑)」
「うん、2人に俺の頭の中で行動している麗華と京子が可愛い、愛しくなるって
言ってもらえたら、嬉しくなって(微笑)」
麗華「おじさん、涙もろ過ぎです(微笑)」
「うん、見苦しくってゴメンね~!(笑)」
京子「いま言った頭の中で行動しているって、どう言うこと?」
「うん、脚本書き始めるときに誤字脱字の確認もかねて最初から読み直すんだけど、
最初っから読んでるとその続きは、麗華と京子が頭の中で会話し始めてくれる感じ、
それで物語が動き始めるの。
俺はその会話とか行動をPCにひたすら打ち込んでくだけにしてる」
京子「そんなんでストーリーになるの?」
「うん、後で読み返して矛盾があるところとか、酔ってるときに打ち込んでるから
誤字脱字を直してるだけで、そのままで書いてる。一応、読んでもらったのって
ストーリーとしては、ほぼそのままです」
京子「えっ、きも~い!(笑)、おじさんの頭の中ってどうなってるの?」
麗華「きもい感じもしますけど、おじさんの頭の中で出来上がってきた話、
今回のは好きですよ(笑)」
京子「うん、私も好き!(笑)」
「う、うん、ありがと・・・」
麗華「もぉ~、また泣く~、もうティッシュ無いですよ(笑)」
京子「おじさん、まだ辛いんだ?(微笑)」
麗華「えっ?」
「あ、いや何でもないよ、涙もろいだけだから(笑)」
少し沈黙が流れたあと
「次の打合せと撮影は2週間後でお願いします」
2人「えっ?脚本も出来上がってるのに?」
「さっき送ったけど、1話目の前に1本追加します。さすがにこのままだと
最初からセールスが見込めないので、エッチな話からスタートさせて、今の1話目に繋げます」」
麗華「えっ、最初からエッチにすると後が続かないって言ってたのに?」
「うん、そこはちゃんと続くように、1話目に繋がる話にします」
京子「ま~、出来上がったら送って、それ読んでからだね」
麗華「うん、そうですね」
「ありがと、あと、ごめんなさい、この前リリースしたマンガの後編を出さないといけないので・・・」
おじさんが頭を下げている。
麗華「頭下げるほどのことじゃないですけど・・・」
京子「麗華ちゃん、もう少しだけ待ってようか、おじさんもやりかけの仕事終わらせてから
こっちに集中してもらえればいいし」
「うん、ありがとね、もうちょっとだけ待ってて!(笑)」
麗華「も~、お腹空きました!晩ご飯連れてって下さい!(笑)」
京子「うん、私もお腹空いた~!(笑)」
「え?京子先輩も?・・・うん、いいよ、ちょっと予約できるか電話してみる」
おじさんがお店に電話をして予約が取れたみたいだ。
「やった、取れたよ、それじゃ行こうか!」
嬉しそうに言ってくる。
麗華「どこに行くんですか?」
「駅前のおでん屋さん」
麗華「おでん屋さん?あっ、前に1回お店の前までいったらお休みだったところ?」
「うん、そうです!もう夜はだいぶん涼しいし、おでんがいいな~と思って」
麗華「私、行ってみたかったけど結局行けなかったお店だ、予約取れないし」
京子「そんな予約取れないところなの?」
麗華「そうなんです。3回くらい友達と行きたくでチャレンジしたけどダメでした」
「今日は運がいいです!すぐ取れた、行くよ!(笑)」
3人してカラオケボックスを出て金沢駅方向に向かって歩く。
お店に着くと暖簾を潜って中に入る。
お店の中はほぼ満席だったが、予約が間に合ったようで直ぐに席に案内された。
小奇麗なお店で、周りはおじさんばっかりだったが麗華が先頭切って席にずんずん進んでいく。
店員「こちらの席でお願いしま~す!」
店員さんが案内してくれた、4人が座れる座敷席に靴を脱いであがる。
おじさん、京子が並び、反対側に麗華が座る。
女子2人はメニューを見ながら
京子「どれにしようか~」
麗華「いっぱいあると悩みますよね」
「飲み物は?嫌いなものはない?」
2人「最初は生ビール、食べ物はちょっと待って」
と言うとおじさんが店員さんに
「生ビール3つと、刺身盛り合わせ2人前とおでん1人前お任せでお願いします」
と頼んでいた
京子「まだ、決まってないのに~」
麗華「そうですよ~」
「迷ってると決まらないから・・・少し食べてその後に好きなの追加すればいいよ!」
麗華「そうですね」
京子「そだね」
最初に生ビールとお通しが運ばれてくる。
とりあえず生ビールで乾杯すると直ぐにおでん盛り合わせが運ばれてきた。
お皿をみると大根、豆腐、里芋、はんぺん、ちくわ、タマゴが1つづつお皿に盛り付けられていて
2人「いや~、おいしそ~」
と言いながら好きなものを自分の皿にとっていく。
おでんの見た目は、出汁は薄く濁りもなくほぼ透明で、麗華が大根を皿にとり、
箸で切り分けて食べてみると、
ほんの少し芯が残っている状態なのに大根全体に出汁が染みていて
麗華「あっ、美味し~」
京子「美味しーね、出汁が優しー味!麗華ちゃん、大根少し頂戴」
麗華「うん、美味しいですよ、出汁が染みてて(微笑)」
麗華が大根を箸で切り分けて京子の皿に移していた。
京子はニコニコしながら豆腐と大根を食べていた。
2人して食べたいものを取って食べて、おじさんはタマゴとちくわを食べていた。
おでんの3分の2が無くなるころに
「次食べたいもの、この紙に書いて頼むの」
とテーブルにあるオーダーシートを渡してくれるが拒否して
麗華「私、タマゴと牛スジと巾着!」
京子「タマゴ!」
おじさんが2人の注文を書き込んでいた。
「あと、焼き鳥とかは?」
2人「食べる!」
おじさん「テキトーに頼んでいい?」
2人「オッケーです!」
最初に出てきたおでんの皿の中身はおじさんが全て食べきり、
刺身盛り合わせが届いたときに、おでんの追加と焼き鳥を注文する。
刺身の表面が綺麗に光を反射しているのを見て
麗華「美味しそ~(笑)」
京子「美味しそうだね(笑)」
「冊から切ったばかりだね」
今日のお店は人気店だけあってお刺身も美味しくいただけた。
おじさんは刺身がきたと同時にお酒(常温)と白米を頼んで、
お酒と白米が届くとおじさんは刺身に多めに醤油とワサビを付けて白米と一緒に食べて、
時々お酒を口に運びながらニコニコしている。
麗華「お刺身とご飯食べて、お酒飲んで、美味しいの?」
「うん、好き!」
麗華「美味しいかどうか聞いてるの!」
「うん、美味しいと思うかどうかは人それぞれなんで分からないから。でも、この味は好き!」
京子「刺身なら酢飯じゃないの?」
「うん、お寿司ならね、薄く大きく切られたネタなら酢飯だけど、分厚く切られた刺身なら
熱々のご飯と一緒が好き。
分厚いと脂も多いし、熱々か少しだけ冷めたご飯にあうと思うよ~、その後に口に残った脂を
お酒で流すの。やってみる?」
麗華「熱々ご飯に分厚いお刺身があうのは分かるけど、その後すぐにお酒を飲んで美味しいんですか?」
おじさんがご飯茶碗を渡してくれる。
お刺身とたっぷり醤油にご飯が合うのは分かる、直ぐにお酒を飲んでみると口の中に残っていた
魚の脂がさらさらと流れていき、後口が爽やかだったので思わず
麗華「美味し~!あう~!!」
京子先輩も刺身とおじさんのご飯を少し食べてお酒を飲むと同じように
京子「美味し~い!」
と叫んで、おじさんにご飯茶碗が戻るころには半分になっていた。
お刺身を食べているうちにおでん第2弾と焼き鳥がやって来る。
3人して自分が頼んだものを自分の皿にのせて食べ始める。
京子先輩は小食だったが、麗華とおじさんが残らず食べて寛いでいると、
「次は、1本目の追加脚本が出来たら連絡しますのでそれまで待ってて下さいね~」
2人「了解です!早く戻ってきて下さい!(笑)」
おでん屋でのご飯が終わり、おじさんが支払いをしてお店をでる。
おじさんが2人を金沢駅のタクシー乗り場まで送ってくれて、
「それじゃ、お疲れ様~、お休み~!(笑)」
おじさんがタクシー乗り場から離れていく。
京子「麗華ちゃん、お休み、またね!(微笑)」
麗華「お休みなさい!(笑)」
ニッコリ笑って手を振っている。
2人別々のタクシーに乗り帰って行く。
おでん屋で晩ご飯を食べた日から2週間、おじさんから連絡が入る。
「昨日送った追加の脚本だけど修正したいところありましたか?」
麗華「読みました」
京子「読んだよ」
「いや、修正したいところあるか聞いてますけど?」
麗華「ラインじゃ面倒なので会った時に」
「それじゃ来週にでも打合せ集合しますか?」
京子「うん、いつが良い~?」
麗華「来週は木曜が空いています!」
「それじゃ、木曜の13時にいつものカラオケボックスでお願いします」
麗華「ランチはないんですかね?」
京子「そうだよね!(笑)」
「え?お弁当買ってきますか?」
麗華「お弁当はイヤです!(笑)もう寒いので温かいご飯が食べたいです!」
京子「私も暖かいのがいい~!(笑)」
「はぁ、それじゃ集合は金沢駅に11時過ぎでいい?混んでるお店には入りたくないから
オープン直後に入りたいです」
2人「オッケーで~す!」
「それじゃ金沢駅西口のロータリーに11時10分待ち合わせで!よろしくね~」




