第2話 野人始動
第2話投稿します。
ごちゃごちゃ思考を巡らせるだけの話です。
いけないとは分かっているんですが・・・・
書くことって難しいですね。
Side バルディウス
その男はまさしく異常・・・・・・
一言で言うならば蛮人・・・・いや、野人であろうか・・・・・
身を包むものは何もない。右手に石槍らしきものを持っており、頭に魔獣の頭骨らしきものを被っており顔は分からない。
男だとわかるのはその筋骨隆々の肉体と・・・・・
なにより隠すそぶりも見せない股にぶら下がった男の象徴のせいだ。
男の股間についつい視線が行ってしまうが、かぶりを振る。
強引に男の頭に視線をずらし、思考にふける。
股間の黒い茂みが妙に頭に残ったが、そんなこと今は無視だ無視。
「デケェ・・・」
「負けた・・・」
周りでほざく部下どもも一切無視だ。
この男は何者なのか・・・・
種族は・・・・・
魔族独特の波動を感じないため、人間であろうか・・・・
人間ならばなぜ魔族ですらめったに立ち寄らないようなガリュグの森の深部にいるのか・・・・・
なぜ人間がガリュグの森の深部で無事でいられるのか・・・・
男のことを一言で言い表すならば、蛮人・・・・野人の狩人・・・・
狩人---魔竜ガリュグを始め十体以上の魔獣を狩った『何者か』の存在が頭をよぎった。
(いや、やはりあり得ないだろうっ)
目の前にいる蛮人は体こそ見事に筋骨隆々ではあるが、武器らしきものは右手に持つ石槍らしき物しかない。
いくらなんでも石槍ごときで魔竜ガリュグは愚か、この森に棲む魔獣を倒せるはずがない。
被っている頭骨も、大きさからしておそらく格の低い魔獣のもの・・・・・
そもそも服を着ることも知らぬ野人が、魔術を使えるとも思えない。
(まさか素手で魔獣を倒すなんてないだろうし・・・・馬鹿馬鹿しいっ!)
こんな粗末な装備では、その辺の魔獣を倒すことすらできない。
被っている魔獣の頭骨も、その辺に転がっているのを拾っただけではなかろうか?
そもそも服を着ることも知らぬ野人では、魔術を使えるとも思えない。
野人からはやはり魔力は感じない。
そもそも、言葉すら通じるのかも怪しいものだ。
目の前にいる男一人で、魔竜ガリュグを倒せるわけがない。
そもそも魔竜ガリュグは、戦争の切り札として使役されるほどの存在。もはや天災の類なのだ。
本来ならば倒すという概念からして存在しない。
(・・・まてよ・・・・ 仲間がいないとも限らんではないか・・・・・)
そもそも『何者か』が一体もしくは一人だというのは私の勝手な思い込みだ。
おそらく、近くに蛮人が属する集落でもあるのではないのか?
こんな蛮人が百人千人、いや万人いたところで魔竜ガリュグに太刀打ちできるはずがない。
わけがないのだが・・・・あり得ないとは思うが、何か特殊な方法で魔竜ガリュグを倒したのか・・・・・
この蛮人が『何者か』ではなくとも、魔竜ガルグの死について何か知っているのかもしれん。
おそらく目の前の蛮人一人でこの森を生きていけるはずがない。
仲間がいるのはおそらくほぼ間違いない。この男はおそらく斥候か何かであろう。
いずれにせよ一人では、何も出来まい。
「蛮人よ・・・・貴様に聞きたいことがある」
部下に命じて野人を取り囲み、剣を突き付ける。
選ばれし民である魔族、その中でも上位に位置する自分が、人間それも蛮人ごときに警戒を抱いたという事実が今になって腹立たしい。
聞きたいことはいくらでもあるが、言葉が通じなければそれはできない。近くに集落があるのならば案内させたいがそれも難しい。
「・・・・イイトキクモデンナ」
蛮人はわけがわからない言葉を吐いた。
我々とは言語が違うのか。私は苛立ち悪態をついた。
「チッ・・・・言葉も通じんとは、ゴミ以下だな」
すると蛮人も
「ナダカイリチ、ワトンジウツモゴンゲレオ」
なにやら返してきたがまたしても意味不明。やはり言葉は通じないらしい。
さらに苛立ってきた私は部下に命じた。
「この蛮人を拘束せよ」
すると部下はきょとんとした顔で言う。
「見たところ、この蛮人は言葉は通じません。拘束しても何の情報も得られないのではないでしょうか」
私はすぐさま返す。
「そんなことは分かっている。だが、このガリュグの森は我ら魔族の聖地。
そこに無断で汚らわしい人間の蛮人が無断で棲みついておるのだぞっ!
見逃すわけにはいかん。こいつに仲間がいるのならば、のちに捜索し殲滅することになる。
言葉が通じないのであれば、直接頭から直接情報を引き出すまでだ。
こいつが何も知らなければ、仲間からも同様に頭から情報を引きずり出せばよい!」
言葉が通じつとも、頭から直接記憶を読み取る魔術がある。捕虜の尋問のために開発されたもので、相手の脳に直接魔力を流し込むため、下手をすれば脳を傷つけ、障害が残ってしまう可能性がある。
だが相手は人間、それも言葉も交わせぬような蛮人、すなわちゴミである。なんら遠慮する必要はない。
この魔族の聖地に我が物顔で棲みつき、群れて我らの従僕な眷属たる魔獣を狩ろうという輩だ。
現に格が低いとはいえ、魔獣の頭骨を蛮人は被っている。
その辺に落ちているものを拾っただけかも知れんが、骨とはいえ魔族の聖地から奪ったモノに変わりはない。
こいつが薄汚い盗人に変わりはない。
魔竜ガリュグを狩った『何者か』に関係あろうとなかろうと、人間の分際で我らが魔族から盗人を働こうなど、その思い上がり許してはおけん!
Side 御子柴 陽一
俺は獲物を担いでねぐらの洞窟近くに来たところで、
何者かが洞窟の中にいることに気付いた。
(なにもんだ・・・?)
この洞窟付近は俺の縄張り、毎朝この付近のマーキング(小便)は欠かしていない。
近づくモンスターなどいない。なのに俺のねぐらである洞窟に何かがいる・・・・・・・
そう思いながら獲物を近くの茂みに隠し、洞窟の前で様子をうかがっていると、鎧の一団が洞窟から出てきた。
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
こうして、ばったり鉢合わせた。
鎧の一団は固まって動けない。俺も動かない。
ちなみに俺、全裸だから恥ずかしいという考えは全くない。この森のチャンピオンであり、人間社会から解放された俺こそ世界最自由。
あらゆる法律・倫理観から逸脱した超存在だ。
この森では剣など邪道、鎧など不純、服など不要。俺はおかしくない。
・・・流石に人里に全裸で向かう度胸はないが。
鎧の一団の中から
「デケェ・・・」
「負けた・・・」
とかいう声が聞こえたが、一体ナニがデカくて負けたのだろうか?
しばらくして、鎧の一団の中で、ひときわ目を引く美形(?)の男が剣を抜き、声をあげた。
「蛮人・・・・貴様に聞きたいことがある」
蛮人・・・・蛮人とくるかい!
自分でも薄々、自分の格好の奇抜さは自覚してはいたが、他人から指摘されると結構凹む。
というか初めて出会ったばかりの相手に蛮人とかどうよ~。
何やら聞きたいことがあるそうだが、まあ答えてやろう。
「・・・・イイトキクモデンナ」
俺言語でな。
逆にすると「なんでも聞くといい」だ。初対面の相手だから紳士的返答だ。
美形男は吐く。
「チッ・・・・蛮人めが・・・・言葉も通じんとは、ゴミ以下だな」
残念ながら通じなかったらしい。俺、美形男に返す。
「ナダカイリチ、ワトンジウツモゴンゲレオ」(訳:俺言語も通じんとは、チリ以下だな)
しかしむかつくな、この男。
人の家にずかずか入り込んでおいて、しかもその視線も物言いも明らかにこちらを見下している。
態度もでかければ、その格好も派手だ・・・・・・・
いかにもエリートといった感じで、無駄に装飾がついた鎧で身を固めている。他の兵士も同様だ。
一方で自分、全裸。北京原人だって腰に布くらい巻いていたろうに。
自然と心の奥に潜むジャイアニズムが、ふつふつと鎌首をもたげる。
自分にないものを見せられては、欲しがるのが人としての性。
鎧は別に要らないが、その下に着ているであろう衣服は欲しい。
いずれ人里に向かいたいと考えていた俺にとっては必須アイテムだ。
自分と似た背格好のもの検索開始。
検索は一瞬で終了。
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検索結果
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該当者・・・・美形男
身長・・・・・183cm
バスト・・・・90cm
ウェスト・・・75cm
ヒップ・・・・78cm
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自分よりやや細めだが許容範囲内だ。
ちなみに対象が鎧着ているのに正確なスリーサイズが分かるのは、可視光以外の波長の光も知覚できるから。
赤外線感知もできるプレデターな俺。
お飾りだがヘルメットもジャベリンも一応装備してるし、あとはプラズマ砲があれば完璧なのに。
ほとんど本能レベルで追い剥ぎしようとしているあたり、俺もハンター生活がすっかり板についてしまったようだ。
とはいえ、いくらなんでもちょっと腹が立った程度で、本当に追い剥ぎを働くほどモラルは欠けていない。相手が仕掛けない限り、自分からは手を出さないのが俺のポリシー。
そう、相手が仕掛けない限りは・・・・
そんなことを考えていると美形男は
「この蛮人を拘束せよ」
と荒事においがする素敵な言葉を吐いてくれやがった。
部下が何やら異論を立てるが、
「そんなことは分かっている。だが、このガリュグの森は我ら魔族の聖地。
そこに無断でけがらわしい人間の蛮族が無断で棲みついておるのだぞっ!
見逃すわけにはいかん。こいつに仲間がいるのならば、のちに捜索し殲滅することになる。
言葉が通じないのであれば、直接頭から直接情報を引き出すまでだ。
こいつが何も知らなければ、仲間からも同様に頭から情報を引きずり出せばよい!」
美形男は激昂してそう返す。
OK!俺に危害を加える気満々らしい。
俺に仲間がいるとか勘違いをしているようだがどうでもいい。
とにかくこれで、正当防衛という大義名分が成り立つ。
殺るか殺られるか・・・・・
相手の命を奪おうというからには、自分の命も奪われることを覚悟してもらおう。
まあ命は勘弁してやるが、代わりに服を頂く。
そんなことを考えていると、兵士たちが俺の周りを取り囲み、一斉に剣や槍を向ける。
構わず俺は美形男に歩を進める。周りの兵士は少し驚いたようだが、すぐに気を取り直し、剣や槍を突き付けるが気にしない。
相変わらずこちらを見下す視線の美形男。
そのすぐ前にたった俺は口を開く。
「君が着ている、服と靴と・・・・パンツが欲しい」
そう言い放ち、全身に魔力をみなぎらせた。
最凶の男・陽一がついにその本性を現す。
次回、魔族青年たちに明日は訪れるのか?
「君が着ている、服と靴と・・」は某シュワちゃん演じるター○ネータのセリフが元ネタ。ファンの方、変な風にパロって申し訳ありません。