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第1話 野人ライフ

第1話投稿します。

戦闘描写がありますが、まったくの手抜きです。スミマセン。

Side 御子柴 陽一



「ふんっ!」


向かってきた獲物の脳天に手刀を叩き込む。


ドゴォッ!!


頭蓋が陥没し絶命する三つ目の熊に似たモンスター。


この世界は典型的なファンタジーであるらしく、この森ではこういったモンスターとの出会いに事欠かない。

森での生活をを開始して早1ヵ月、毎日のように俺、御子柴陽一は石槍片手に全裸で森を駆け巡っている。

頭には、この森で最初に仕留めたイノシシ型モンスターの頭骨をすっぽり被っている。

向かってくる敵はことごとく倒し、俺の胃袋の中に消えている。

ちなみに全て素手または足で仕留めている。石槍はノリで持っているだけの、ただの飾りだ。

数多の異世界で鍛え上げられた肉体言語は、この森のモンスターにも十分すぎるぐらい通用した。


相手にしたモンスターの種類も豊富で、ファンタジーらしく炎を吐いたり電撃を放出してくる奴もいた。

俺は肉体のみで戦っているというのに、でかい図体して情けない奴らだ。

もっとも直撃しても問題なかった。奴らの出す炎も電撃も、魔力みなぎるこの肉体がことごとく弾き返すからだ。

無論俺も魔術で同様の攻撃は可能だが、強者たるもの相手に合わせて土俵を変える必要はない。


最近の話題といえば、3日ほど前に体長30メートルほどの漆黒の4本角のドラゴンを倒した。いかにもボスって感じがする奴。

どうやら実際にこの森の主らしく、それを倒した俺は名実ともにこの森の頂点に君臨したことになる。


戦ってみて抱いた印象は、ヘタレウス。

はじめこそ巨体を生かして突進したり、尻尾を振り回して攻撃したりで威勢が良かったが、

それらが通じぬと見るや上空をひたすら旋回し出した。

以降は安全圏からひたすら炎を吐いたり、隙をみて奇襲をかけるというチキン戦法一色。


おそらく最初から強者としてずっとこの森に君臨してきたのだろう。

敗北も知らず、挫折したこともない。なんの努力も苦労もなく俺TUEEEしてきた。

・・・まさに俺の嫌いなタイプだ。あのチキン戦法からそんな奴の腐りきった性根がありありと感じ取れる。

玉砕覚悟で突っ込むなり、さもなくば潔く敗北を認めるなりすればよいものを、敗北知らずの驕り高ぶりからか、このような苦し紛れの戦法で勝ちを拾おうとする。

わざと隙を見せ誘い込み、背後から襲いかかってきたところを怒りのカウンターで沈めてやった。


今はそのドラゴンの住処であった洞窟を頂き、そこに住んでいる。

広いので今まで狩ったモンスターの骸骨を飾ったりしている。

ずらりと並べられたそれらを見るとなかなかに壮観である。

かつての洞窟の主だったドラゴンも物言わぬ骸となり、コレクションの仲間入りを果たした。皮肉である。


話は変わるが弱肉強食の世界とはいえ、全てのモンスターが敵対関係にあるというわけではない。

モンスターの間にも共存関係が存在し、利用し合い補い合うという一種のコミュニティを形成して生きるモンスターは多い。

俺もそういったコミュニティに属しており、横暴なモンスターを倒す代わりに、うまい果物のなる木を教えてもらったり、その恩恵にあやかっている。

付き合ってみて分かったがモンスターの中にも気がいい奴らは意外に多い。


ゴリラ型モンスターのメス達に求愛された時はマジで焦ったがな・・・


そういうわけで俺の森での生活は至極安泰。

先ほど仕留めた獲物を担ぎあげ、根城にしている洞窟へ向けて歩き出す。




Side とある魔族の青年




私の名はバルディウス。魔族の中でも高位に位置する吸血種であり、才色兼備で出世街道まっしぐらのトップエリートだ。


ガリュグの森から主である魔竜ガリュグの波動が消えた。

魔竜ガリュグはこの森全域を支配する最強の魔獣であり、魔獣を従える能力を持つ我々魔族ですら安易に近寄れぬ存在だ。

魔王陛下の強大な魔力によってのみ一時的に従えることができ、過去3回人間との戦争において切り札として用いられたほどだ。

それが消えた。ある日突然と・・・

この事態に我々魔族軍に激震が走った。

魔竜ガリュグが消えたということは、我々魔族側の切り札が失われたということだ。

それだけではない。主が消えてしまうことで、悪魔の森の生態系が変化してしまう可能性がある。

我々が使役する魔獣の大半は、この森から産出されているのだ。

そのためガリュグの森は、魔族の聖地とも呼ばれている。

魔獣が供給に影響があっては魔族軍にとって多大な損失となってしまう。この事態は無視することができない。

魔王陛下の勅命で、調査のためにガリュグの森に訪れた。


地図を頼りに魔竜ガリュグが棲むといわれる洞窟を目指し、森の深部へと進む。

魔獣は凶暴で知性はないが、基本、我々魔族に服従するため、敵対することはない。

単純に戦闘力でいえば魔族は魔獣に及ばないが、魔族特有の魔力の波動で魔獣を従えることができる。

やはり我々魔族は選ばれた種族なのだ。下等な人間などとは根本から異なる。


ただし強力な魔獣ほど従えることは難しく、私のような高位の魔族でなければ手に負えない。

魔竜ガリュグに至っては別格であり、これを従えることができるのは魔王陛下のみ。


目的はあくまで調査のみ。

万が一に備えて私が率いる部隊は魔族の中でも選りすぐりの実力者ぞろいだし、よほどのことがない限り私たちに危険はない。


「ここか・・・」


ついに魔竜ガリュグが棲むといわれる洞窟の前にたどり着いた。


「・・・・・・」


魔竜ガリュグは魔獣の頂点。その力の波動はこの森から遠くはなれた魔族の国にも届き、存在を感じ取ることができる。

それがある時忽然と消えた・・・・

それは魔竜ガリュグが森から去ったということではない、信じがたいことにこの世から突然消えたことを意味する。


「とりあえず、洞窟の中を調査するぞ」


魔竜ガルグが棲む洞窟からは何の存在も感じられない。

魔竜ガルグが消えた理由・・・・洞窟の中にその手掛かりがあるかもしれない。


我々は洞窟に入っていく。

魔術で洞窟内に明かりをともしながら進んでいく。

そして、洞窟の奥でそれらを発見した。


「ッ!?・・・これは・・・・魔獣の骸骨・・・・」


洞窟の壁には魔獣の骸骨が並べてあった。

一つや二つではない。

ざっと十を超える魔獣の骸骨が洞窟の奥に眠っていた。

そのどれもが大型で、骨格からもその禍々しさが伝わっており、生前はさぞ強力な魔獣であろうことがうかがえる。

それらの骸がコレクションのように洞窟の壁に立てかけられている。まるで狩りの証として飾られているかのように。


(これらは魔竜ガリュグが集めたものなのか・・・・)


魔竜ガリュグの生態については詳しいことは知られていない。

過去に魔王が魔竜ガルグを使役する際、当然ながらこの洞窟を訪れたそうだが、

このように骸骨を飾る趣味があったなどとは聞いたことがない。


そうして、周りに飾られた魔獣の骸骨を一通り見まわし、洞窟の一番奥を照らしたところで、


(・・・・・っ)


ひと際でかい骸骨を見つけた。

その巨体、骨格からして竜種であることが分かるが


「魔竜・・・・ガリュグ・・・・・?」


魔竜ガリュグ・・・最強の魔獣にして、この森の主。

頭部に生えた巨大な4本の角が、この骸がかつての魔獣の王であることを物語っていた。


その迫力は物言わぬ骸となった今でもひしひしと感じられる。

これが生きていれば、いかに高位魔族である自分といえど、簡単にひねり潰されてしまうことだろう。


(老衰・・・・とは考えにくい・・・・・)


魔竜ガリュグは数千年も生き続けた存在。

寿命と言われれば納得せざるを得ない。

しかし寿命で衰弱したのならば、力の波動は徐々に弱まっていくはずである。

実際はそんな兆候は見せず、強大な力の波動がある時ぷっつり途切れたのである。

魔竜ガリュグは『何者か』によってその命を狩られたのだ・・・・・言うまでもなく他の骸たちも・・・・

魔竜ガリュグが他の魔獣と同様に陳列してあることから、『何者か』の存在がうかがえる。

何より魔竜ガリュグの力の波動が消えてからまだたったの3日。自然に白骨化するには早すぎる。


(これはえらいことになった)


魔竜ガリュグすら殺す『何者か』、正直そのような存在なんてとても信じられない。

今まで魔竜ガリュグが倒せるモノなど存在しないと思っていたし、今でもそう思う。

だが現実として魔竜ガリュグは死んでいる。そして状況が、得体の知れぬ『何者か』が介在していることを物語っている。

もし本当にそのようなモノが存在するとしたら、我ら魔族にとってどれほどの脅威となることか・・・・


「洞窟から出るぞ・・・・・・」


存在するかも怪しいが、『何者か』がこの洞窟にいつ戻ってくるかも分からない。

できれば今すぐにでもその存在・正体を確認しておきたいところだが、接触するのは危険すぎる。

今はすぐに国に戻り、上層部に報告せねばならない。


そして、洞窟から出たところで・・・・・


「「「「「・・・・・・・・」」」」」


得体の知れぬ何かに出くわした。

魔獣の王・陽一と魔族青年バルディウスの邂逅。

次回、戦いの火蓋が切って落とされる?


ところでヘタレウスのチキン戦法ってハンターならば殺意湧きますよね?

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