第10話 ゴリ夢中
続けて第10話投稿します。
今回、結構グロい(?)描写があると思います。
Side 御子柴 陽一
あれこれ心配したけれど、やっぱり来てしまいました。
不安は的中。
エリナは失敗したらしく、今まさに純潔の危機だった。
もう迷わず喰らわしてやったよ。超ビー玉砲。
あんな良い娘、山賊どもにはモッタイなさ過ぎる。
こんなことなら、迷わず最初っから俺も来ればよかった。
自由気ままに生きると決めてたのに、迷っていたのが馬鹿らしい。
さて、ここまで関わっちまった以上、最後まで付き合うとしますか・・・
純潔の危機は回避したが、山賊どもはどう始末してくれようか・・・
Side エリナ
私は痛みを抑えてなんとか立ち上がり、落ちていた剣を拾ってヨーイチに駆け寄る。
「ヨーイチ・・・!」
とりあえずは助かったけれど、まだ安心できる状況じゃない。
山賊の残りは計9人。突然首領を失い唖然としているが、このまま私たちを見逃すはずがない。
ヨーイチの魔導具の弾は5つ。
その内1つは首領の男を倒すのに使ったから、今のヨーイチの手持ちは4つしかないはず。
9人の山賊を相手にするには足りなすぎる。
私はというと、情けないけど戦力外。
先ほど痛めつけられ、怪我でまともに戦うことは無理そう。
立つのですらやっとなんだ。剣を持つ手にも、まるで力が入らない。
下手に戦おうとすると、逆に私がヨーイチの足手まといになってしまう。
守るはずのヨーイチに守られている私。
さっきは、それを少し嬉しくも思ったけど、冷静になるにつれ、自分が情けなくなってくる。
そこにヨーイチが私だけに聞こえるように言ってきた。
「エリナさん。
その怪我ではまともに剣も振れないでしょう。
さらわれた娘さんを連れて、村まで走ってください。
ここは俺がなんとかします」
「・・・っ!?
無理よ、ヨーイチ!
確かに今の私じゃ、足手まといにしかならないけど。
あなた一人をおいて逃げるなんてできない!
あなたの魔導具だって弾に限りがあるんでしょう?」
ヨーイチの魔導具は、弾さえ回収すれば何度でも撃てるらしいけど、わざわざ回収するヒマを山賊たちが与えてくれるはずがない。
「大丈夫ですよ。
ほら・・・」
ヨーイチはそう言うと、魔導具を山賊たちに向け、構え直した。
「「「「っ・・!?」」」」
ビクッとする山賊たち。
そうだった・・・弾が5つしかないなんて、そんな事情は山賊たちは知らない。
山賊たちにとっても、首領の頭を吹き飛ばしたのがヨーイチの構える魔導具であることは一目瞭然のはず。
彼らは、そんな危険なモノを自分たちに向けられているという事実に、焦って頭が回らないはずだ。
ヨーイチが魔導具を構えているだけで牽制となり、山賊たちは下手に動けない。
無理に戦おうとせず、この隙に娘さんを連れて一旦引いたほうが賢明だろう。
いや、それしかない。
でも、それだとヨーイチひとりをここに残してしまう。
いくら魔導具で牽制しているとはいえ、危険なことに変わりはない。いつボロが出るかも分からない。
だったら、
「ヨーイチ、魔導具を貸して。
私が殿を務めるから・・・」
ヨーイチは微笑み返した。
「大丈夫ですよ。
殿ぐらい俺にも務まります。
そんなに俺は頼りないですかね?」
頼りないなんてことない。
今の私なんかよりも、すごく頼もしい。
彼の姿を見ていると、不思議と不安が消えていく。
今のヨーイチは、まさに私が夢見た勇者そのものだった。
ヨーイチが私にとっての勇者・・・
だから・・・
「ううん・・・分かったわ。
任せたわよ、ヨーイチ・・・」
私は未だおびえていた娘さんに近寄り、手を取る。
その間もヨーイチが山賊たちを牽制していてくれる。
「あ・・・あの・・・」
娘さんは心配そうだが、
「大丈夫よ。
はやく村に戻りましょう」
私はそう急かす。
「・・・はい・・・」
娘さんは不安げな顔をしながらも、私の後について来る。
「頼んだわよ・・・
勇者様・・・!!」
私はヨーイチに呟きかけると、娘さんを連れて出口へと走った。
Side 御子柴 陽一
さーてと、エリナもさらわれた娘さんも無事送り出したことだし、人目をはばからずに外道をやれる・・・
俺はビーダ○ンを懐にしまう。これからやることには必要ないからな・・・
「・・・だ、誰なんだよテメェは・・・?
いきなり現れやがって・・・・」
ここでようやく口を開く山賊の一人。
ビーダ○ンが消えたのにホッとしたのか、いきなり態度がデカくなったな・・・
気丈にふるまったところで、まあ声が震えているが・・・
「さて、名乗るほどの者でもない・・・」
俺の名をこれから知ったところで無駄だ。
すぐに忘れるだろうよ。何もかもな・・・
「テ、テメェ・・・」
山賊たちは憤るも、下手に行動に出れない。
いくらビーダ○ンを仕舞っているとはいえ、またいつ火を吹くか分からんからな・・・
だが安心しろ・・・あれはもう二度と使わない・・・
それよりも
「お前たち、そんなに女に飢えているなら
とびっきりの女性たちを紹介してやろうか?」
俺の言葉が予想外過ぎたのか、
「「「「・・・なにぃ?」」」」
一斉にハモる山賊たち。
そして
「・・・・・・
へ、へへへ・・・・・・
何だ、テメェ・・・
命が惜しくなって、今さら俺たちのご機嫌を取ろうってのか・・・」
「な・・・何だ・・・
ハッタリ野郎かよ。
脅かしやがってよ・・・」
「女もいいけどよぉ・・・
まずはテメェの命で落とし前付けてもらおうか!」
俺の言葉を命乞いのご機嫌とりと取ったのか、とたんに笑みを浮かべてイキがる山賊ども・・・
そんな山賊どもを無視して、俺は山賊の残りの人数を確認する。
「1・2・・・・9人か、よし」
俺は魔力を解放し、
『 召喚魔術 』
俺の真横に召喚ゲートを出現させる。
召喚ゲート。
空間を捻じ曲げ、別の場所へとつなぐ。
望むモノを取り寄せる。
俺の場合、知っている場所ならどこでも可能。
青白く輝く召喚ゲートから出てくるモノ・・・それは・・・
・・・・・・
「「「「ウ・・・ウホッ、ウホッ?」」」」
出てきたのは9体のゴリラ。
ただのゴリラではない。
体長3メートル以上、頭に2本の角を生やしたゴリラ型のモンスター。
そしてすべてメス。
俺がこの世界に召喚され、最初にいた森に生息していた住人。
発情期真っ盛りで、幾度と俺に求愛してきた可愛くも困った彼女たち。
いきなり住んでいた森から、知らない洞窟内に呼び出され、困惑気味の彼女たち。
俺がいると分かると、みな歓喜の雄たけびを上げた。
「「「「ウホホホホッ、ホホホホッ!!!」」」」
「「「「・・・・・・」」」」
盗賊たちは、予想もし得なかった光景に唖然。
俺は興奮する彼女たちを諌めながら言った。
「さあ行け、メスゴリラたちよ・・・
あそこにいる9人の男たちが相手だ。
痛めつけてやれ。
なんなら、犯してしまってもかまわんぞ・・・」
彼女たちは、唖然としている山賊どもを見た。
瞬間、
「「「「ウホーーーーッ、ホッホッホッホッホーーーーーッ!!!」」」」
大興奮して歓喜の声をあげ、山賊どもに襲いかかる発情期真っ盛りのゴリラ軍団。
「ひいーーーっ!!」
「な、何だこれは-ーーっ!!」
「に、逃げろーーーっ!!」
本能的に、オスとしての危険を感じ取ったのか、悲鳴を上げる山賊ども。
ある者は逃げ惑い、またある者は気丈にも剣でもって応戦しようとするも歯が立たず、一人また一人とゴリラに捕らえられ、裸に剥かれていく山賊ども。
剛腕で締め上げられたり、逆さづりにされて股裂きを喰らったりなど様々だ。
山賊どもはみんな元気に悲鳴をあげている。
「ぎゃああぁぁああっ~~~!?」
「ひいぃぃぃぃいいっ~~~!?」
「た、たすけ・・・ああぁ~~~」
ゴリラたちもすっかり気に入ったようだ。
それほど、森での男日照りは凄まじかったということか・・・
そして俺よりも、山猿みたいな顔付きの山賊どものほうが、彼女たちのウケも良いらしい。
べ、別に悔しくなんかないからね・・・
いい加減見苦しいので、繰り広げられる狂宴に背を向け、洞窟の出口に向かって歩く。
盗賊の誰かが叫んだ。
「ひいいぃっ!
やめてくれぇえええっ!!
尻は、尻はやめてくれぇええええええっ!!!」
俺は立ち止った。決め台詞を言い忘れていた。
「痔・エンド」
最後はキッチリと決め、俺はその場を立ち去った。
Side とある哀れな山賊
「ああがあああぁぁぁぁぁっ!?
ゆ、許してくれぇぇぇえええっ!?
し、死ぬぅぅぅうううううっ!?」
イタい・・・
クルしい・・・
シにたい・・・
なんで・・・?
なんでこんなことになった!?
どこでオレは間違えた・・・!?
物心ついたときから盗賊だった。
欲しいモノは何だって奪って手に入れてきた。
今まで数えきれない人を殺してきた。
今まで数えきれない女を犯してきた。
老若男女問わず踏みにじってきた。
オレは勝ち組だと思っていた。
これからも勝ち続けると思っていた。
これからも笑っていられると思っていた。
それがなんで・・・?
なんでこんな化け物に嬲られなきゃいけねぇんだ・・・?
こんなことあるはずがない・・・
・・・・・・
ああ、これは夢なんだ・・・
悪い夢・・・
そうだ、いままでのもすべて夢・・・
山賊だったこともすべて夢・・・
これまで生きてきた時間すべてが夢・・・
きっと本当のオレはまだ小さなガキで、今頃布団の中で眠っているんだ・・・
へへ・・・なんだ・・・
そうに違いない・・・
だから・・・夢なら・・・
さ・・め・・て・・・・
そうして、彼は考えることを止め・・・
「タスケテ・・・ママ・・・」
彼の脳は自我の崩壊を選択した。
はい、ヘタレなヌコです。
ヒロインが敵なり盗賊なりと戦って敗れ、捕まって純潔の危機! というのは結構ありふれた流れ。
大抵は、そこへ主人公が駆け付けて卑劣漢どもを瞬殺! でヒロインは危機を回避しますが、わたくしそのたびに思っていました。
な・ま・ぬ・るいわぁ~~~(怒)!!!
もうね。ヒロインを穢そうとする卑劣漢はね、
『もっと苦しめてやらなきゃ・・・』(某若本ヴォイス人造人間にキレた御飯風に)ですよ!!
というわけで、わたくし(陽一)ならこうするっ!! ということで、山賊どもには地獄を見てもらいました。
・・・最低ですね・・・わたくし・・・
次回、・・・まだ決まってません・・・