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18話

「どこからこんなに『憑き人』が・・・」

「人間っていうのは何処にでもいるからな。少しは減っていいじゃないか」

燿は悠の言葉に苛立ちながらも白虎の上から様々な術で『憑き人』を葬っていく。桃と紬が心配で『憑き人』が元は人間だったという事まで頭が回っていなかったらしい。それを悠が思い出させるように続けた。

「ま、よかったじゃないか。燿は人間じゃない。同族殺しにならんさ」

「それ以上言うなら契約破棄するから」

「わかったよ。これ以上何も言わないさ。それより見ろよ。あれは燈子の式神じゃないか?」

言われて見渡すと、確かに燈子の式神であろう烏が上空を飛んでいる。燿は印を結び、手の平をぱんっと叩くと、烏は燿の近くまでやってきて札に戻った。燿がそれを拾い上げ確認する。

「!」

札に書いてあった文字を読んだ燿の顔色が真っ青になり、白虎に村に向かうように命じた。

「何が書いてあったんだ?」

「悠、黎に急いで伝えて。私達の村に・・・『憑き人』が現れたわ」

『憑き人』を薙ぎ倒しつつ村に向かっていた燿だったが、道中で殺してきた『憑き人』について考え込んだ。その間にも白虎は村に向かい、目の前に新たに襲ってきた『憑き人』も爪で切り裂く。そこで燿は確証を得た。今まで殺してきた中に村の人間もいた。

「何てこと……」

燿は顔を覆いたくなる思いを堪え、顔をぐっと上げた。燈子が式神を飛ばしたという事は燈子と月代だけでは対処し切れない状況なのだろう。今は思考を巡らせたり、落ち込んでいる場合ではない。そう自分に言い聞かせ、燿は理性を保っていた。ようやく村が見える所まで辿り着いた時、複数の『憑き人』が地面に転がり、その中で一人立つ見慣れた背中を見つけ、慌てて白虎を止めた。

「紬!貴方『憑き人』を・・・」

「うん。ボク、ちゃんと出来たよ」

「桃は?無事なの?」

「桃姉が村に先に行けって言ってくれたんだ」

「よかった。村にも『憑き人』が出たみたいなの。桃が気掛かりだけど、先に二人で向かうわよ!」

「知っているよ」

「え?」

「ボク達も急がないとね」

紬がそう言いながら燿の方を振り返った。

「あ、あああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

辛うじて保っていた理性は粉々に砕け散り、膝から崩れ落ちた。燿の思考は完全に止まった。




桃は紬を行かせた後、燿と合流する為森の中を駆けていた。森の中でも『憑き人』は桃を襲ってきたが、桃は片っ端から切り伏せていく。

一人一人は問題では無かったが、あまりにも数が多かった。燿に合流出来ずに焦って動きが散漫になっていた事もあり、桃の身体は傷だらけになっていた。

「桃、悠から報せだ!村で合流だとよ」

「村?お姉は無事なの?」

「無事らしい。村にも『憑き人』が出たらしいぞ」

「!」

桃は眼前の『憑き人』を切り伏せ近くの木に飛び乗ると、そのまま木々を飛び移り村に急ぐ。気が付けば村にかなり近い所まで来ていたようだ。ここからなら時間はかからずに村に着くだろう。桃は最短距離で移動していたが、視界の端に燿と紬を捉え、木の上で立ち止まる。二人が無事だった事に一瞬安堵したが、なぜか燿が膝をついている。桃は、木から降りて二人に近づきながら声を掛ける。

「お姉、どうしたの?」

燿は声を掛けてもこちらを向こうともしない。代わりに紬が答えた。

「桃姉、無事だったんだね。ボク一人で来てしまったから心配してたんだ」

「紬も無事で安心した。お姉はどうしたの?」

「ボクも今会えたばかりなんだ」

何か様子がおかしい。桃は燿の肩を揺すり、声を掛けるが、燿は虚空を見つめている。紬に詳しく聞こうと振り返ると、まさに今刃が振り下ろされるところだった。反射的に避けようとするも、躱しきれずに左足に痛みが走る。桃の足を貫いたのは鎖鎌だった。

「紬!?」

「桃姉、ボク何だかおかしいんだ。桃姉の声が聞こえたら、その血が飲みたくなって堪らなくなって。燿姉を見てしまったら、その腕がとても美味しそうに見えて堪えられないんだ」

「何を言って……!」

激痛の中、見上げた桃は燿の様子がおかしい理由を理解した。紬の瞳は



―――黄色だった。


今夜最終回です!

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