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第114話 お姉ちゃんと●●練習

 最近、お姉ちゃんとイチャイチャできてない。


 二日! もう二日もろくにイチャイチャできてない!!


 お姉ちゃんは就活。私は期末試験の勉強があって、すれ違いが続いてしまってる。



 そんなある日のこと、


「アリスちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど……」


「もちろんいいよっ!」


 お姉ちゃんの手をぎゅっと握る。



「なにするなにするっ? そうだ、この間お姉ちゃんがしてって言ってたやつしてあげるね! あの……」


「ま、待って待って!」


 おや、なぜかお姉ちゃんが焦っておられる。しかもかわいいお顔が真っ赤だ。


「そういうのじゃなくて、いや、それはうれしいけど今は違くて……」


 コホンと咳払いしてお姉ちゃんが言ってきたのは、



「面接の練習に付き合ってほしいの」


 まったく予想外のことだった――




「宮野遥香と申します。本日はよろしくお願いいたします」


「採用っ!」


「それじゃ練習にならないよ!?」


 なぜか怒られてしまった。



「もう、真面目にやってよ」


 真面目にやってるんだけどなあ。


「だってお姉ちゃんだもん! そんなの合格に決まってるよ! 顔も好みだし! 大好きだしっ!」


「そ、そう……」


 あ、お姉ちゃん照れてる。かわいいなあ。



 とはいえ、お姉ちゃんに嫌われるのはイヤなので、もっと真面目にやることにした。


 具体的には、私がバイトの面接のときに訊かれたようなことなんかを訊いていく。


 それが一通り済むと、お姉ちゃんはふうと息を吐いた。



「大丈夫?」


「練習って分かってても、なんだか緊張しちゃうんだよね」


「相手が私でも?」


「うん。本番のことが気になっちゃって、つい……」


 たしかに、就活って大変そうだもんね。バイトの面接とは全然違うんだろうなあ……


 最近のお姉ちゃんは疲れて帰ってくることも多いし。よーし、ここは……



「きゃっ!?」


 お姉ちゃんを後ろから抱きしめると、体がビクンと震えた。最初はビックリしたみたいだったけれど、すぐに私の手を握ってくれる。


「ど、どうしたの?」


 私はお姉ちゃんをジッと見て、にっこり笑う。



「お姉さんて、とってもかわいいですねっ」


「? う、うん。ありがと……」


 不思議な様子のお姉ちゃん。それもとってもかわいいです。


「ぜひ弊社で働いてほしいです」


 そう言うと、お姉ちゃんは私がどういうつもりなのか分かったみたい。


 顔をうつむける。真っ赤に染まっているのは、絶対に気のせいじゃない。



「で、でも私、まだ仕事のやり方分からなくて……」


「大丈夫ですよ。私が教えてあげますから」


 言葉と一緒に、私はお姉ちゃんのスカートの中に手を入れる。


 胸を揉みながら、鼠径部そけいぶを撫でる。優しく、ゆっくり……


 しだいに、お姉ちゃんの吐息がはやく、そして熱くなってきた。



「あ、あの……くすぐったいです……」


 お姉ちゃんが身をよじる。私は胸を揉む手でお姉ちゃんを抱きしめた。


「ダメ、ジッとして。じゃないと、仕事を教えられませんから」


「はい……すみません」


 私に身を寄せるようにしてくる。その仕草に、私はキュンとした。



「えへへっ、お姉ちゃ~~~~ん!」


 今度は私から身を寄せてスリスリする。


「どうしたのアリスちゃん……」


「うぅん、ただお姉ちゃんかわいいなーって」


「そ、そうすか」


 あ、またまた照れていらっしゃる。ぎゅ~~ってしちゃお。



 なんだか幸せだなあ、こういうの。


 お姉ちゃんと結婚したら、ずぅっとこうしていたいな。でも、仕事もしなきゃいけないわけで。


 あ、仕事は私がやって、お姉ちゃんは家にいてもらうっていうのもいいかも! でも……


 お姉ちゃんが社会人になっても、私たちこうしていられるのかな?



 そうしたら、こうしていられる時間も減っちゃうのかな……?


 そんな漠然とした不安が、私の心を過っていった。

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