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第9話 ミナト元帥は海に行きたい!上

キャラ紹介


ミナト・ナツメ

本作の主人公兼大部分の語り手。ひょんなことから下っ端→元帥になってしまう戦士。身長160センチ。体重45キロ。黒髪ショートボブ。本人曰くザ・平均的な見た目。あらゆる適正値がずば抜けて低い。かなりのオタクで、可愛いキャラクターが大好きな変態。アニメや漫画の見過ぎで心の声がめちゃくちゃ多い。


マコト・ハルネ

二等戦士将→将軍。性別不詳の可愛らしさ。身長140センチ。体重28キロ。水色ヘアーのワンレンボブ。恥ずかしがり屋。その可愛らしい見た目とは裏腹にとてつもない戦闘力を秘めている。


ナナミ・アキカゼ

一等戦士監→軍師。高飛車な性格の魔法少女。身長145センチ。体重30キロ。金髪で腰のあたりまでのロング。様々なオリジナル魔法を使えるが技名が全部青少年期特有のあの感じ……。


ユイ・フユサキ

元帥付見習戦士。雪山に突如現れた幼女。身長128センチ。体重25キロ。銀髪セミロング。正体不明で記憶喪失。とてつもない魔力量を有しており、その威力は山脈を半分に割れるほど。


ジョー・モリムラ

一等戦士尉。秘書兼警備戦士隊隊長。身長201センチ。体重100キロ超。全身筋肉のようなガチガチのマッチョにサングラスをかけているコワモテ。忠誠心が高く戦士としての能力値が高い。声がデカい。


※本作品は現実世界の未来寄りの世界観かつ別世界です。ゆえに登場する事象(用語・単位等)は、現実世界のものと同じ場合が多いです。

※本作品はキャラクターの独白やキャラクターの持つ主観が多い場合がありますので、予めご了承ください。


 夏といえば、海! ということでやってきました! 討伐のために……。




 数時間前。


「皆さんお揃いですか」


 元帥専用住居で現在仲良く暮らしている、私、マコトくん、ナナミちゃん、そしてユイちゃん。


 今日は久々に全員が休みということもあり、みなそれぞれのんびりとした時間を過ごしていたというのに……。


 またしても、ジョーさんによって緊急招集されたのである。


「海に行きましょう‼︎」


「え、海⁉︎やったあ! みんなで遊ぶぞ‼︎」


「……いえ、あの…………討伐です……」


「……」


 四人の鋭い視線がジョーさんに向けられる。見た目の大きいジョーさんですらも、今はなんだか小さく見える。冷や汗もかいているようだ。


「説明してもらおうかしら?」


 バンッ‼︎


「どういうこと?」


 相変わらず迫力満点のナナミちゃんである。目力だけで並大抵の人間は気絶しそうだーージョーさんの目の泳ぎ具合といったら、水泳選手並みになっている。


「こ、今回はデータベースに載っている種類のモンスターです! お、おそらく、S級のクラーケン型モンスターとのこと。場所はニホノO5地区のオキノ海岸です!」


 O5地区といえばニホノ西方にある自然豊かな島々が観光地として有名な場所である。


「どうして、そんな場所にS級クラスのモンスターが? そこに常駐している戦士達は大丈夫なんですか?」


「原因は不明です。今のところ遠くから監視しているだけで、戦闘状態にはありません。ただ、いつまでもこうしている訳にはいきませんので、急いで向かいましょう」


 みんなそれぞれ目を合わせる。そして、頷いた。


「行きましょうか」




 O5地区海岸にて。


 私たちがその地に降り立ったのは丁度正午を回った頃だった。鋭い日差しが照り付け、あたりは灼熱地獄とも呼べるほどであった。しかしその暑さすらも吹き飛ばしてしまうほど、そのモンスターの姿は私達にとって、信じがたいものだった。


「何……あれ……イカ?いやタコかしら?」


 推定50メートルから60メートル。全身が茶色く覆われていて、どちらかというとタコ寄りだろうか。さすがモンスターと言わんばかりに手足に相当するものが数十本。吸盤が付いているものとそうでないものがある。おそらく目と思わしきものは瞑っているようで、海岸から約1キロ先の海上で硬直している。


「あれ、本当に動くんですかね。今は多分寝てる……のかな?」


「おそらく……今のうちに先制攻撃を行うか、それとも様子を見るか……元帥の判断にかかっています」


「え、私⁉︎」


 どうしようか。さっき改めてステータス測定器で見てみたら確かにS級相当はありそうだった。もし、先制攻撃が上手くいかなかったら、タダじゃ済まないのは目にみえている。けれど、やはり放っておいても時間の問題だろう。


 私はマコトくんをみる。


 私の視線に気づいて今日はほんのり桃のような赤さを見せる。


「マコトくん、あれ、倒せる?」


「ええ⁉︎ ぼ、僕が?」


「お願いっ、マコトくん! 君が頼りなの!」


 彼を動かすための必殺上目遣いを食らえ!


「分かった! 任せて!」 


 やはり即答だった。


「ただどうやって、あそこまで近づけばいいの?僕の瞬間移動攻撃ではあの距離は届かないよ」


 今度は、ナナミちゃんの方をみる。


「な、何よ、あたしに何をさせようっていうの⁉︎」


 名案を思いついた。と、そのとき、ユイちゃんが……。


「あのね。ユイ、多分攻撃届くよ」


「ええ!?」


 全員びっくりの反応である。


「で、でも、一撃倒せるかは分からない……」


「ああ……」


 全員がっかりの反応である。


 しかし、思う。私の名案と合体させればどうにかなるのでは。


「みんな作戦会議よ」




 今回の作戦はこうだ。


 ユイちゃんは海岸正面から魔法を。それと同時にマコトくんが魔法剣で斬りかかる。その際マコトくんを運ぶのはナナミちゃん。風魔法を使って飛んで運ぶという方法を採用。さらには念には念を入れて……。


「持ってきました‼︎」


「これは?」


「対モンスター用遠距離魔法砲台!」


 ーーE5地区のように周りを海で囲まれているような地域は今回のように海上にモンスターが出現する場合がある。


 そこで、今から約50年前に開発されたのがこの武器。


「なんか……古くない?」


「ひびまで入っちゃってるね……」


 こんなときはジョーさんの出番。


「ジョーさん、やっちゃって!」


「お任せを」


 呪文を唱える。正直何言ってるかよく分からないけれど、おそらく私のフィギュアを直したときと同じやつーーそうです、物理干渉系魔法。本当に便利なスキルをお持ちでいらっしゃる。


「はあっ!」


「おお。」


 なんということでしょう。あんなにサビでいっぱい、埃まみれだった砲台は、ジョーさんの手でぴかぴかに。目立つひび割れもご覧のとおり、痕も残らず綺麗に整っています。


「今、頭の中で某番組のナレーションが流れた気がしたわ」


「確かに……」



 作戦開始。


「マコトくん、ナナミちゃん、位置は大丈夫?」


 二人ともグッジョブを手で表しているのがスコープ越しにみえた。なんだかんだでいいコンビだな。


「ユイちゃんは?」


「大丈夫だよー」


 これまた小さな身体で大きく手を振ってくれている。可愛いことこの上ないな。


「じゃあ、作戦、開始っ!」


 掛け声を合図にユイちゃんは手を上にあげる。


 モンスターの頭部から徐々に徐々に下へ。あの巨大な山を半分に斬ってしまったときと同じ方法だ。


「はっ!」


 ドカーン‼︎


 命中した。


 その大地をも揺らす轟音を合図にマコトくんも斬りかかりに行く。


「お前は、俺が、狩るっ!」


 さらに続いてナナミちゃんが追撃の風魔法。


「奥義っ、トルネードエクスプロージョンっ!」


「てぇぇぇっ!」


 さらにはジョーさんの掛け声と共に魔法砲台も一斉に発射。


 激しい水飛沫に、爆発によってこの快晴をも暗闇にするほどの煙が空間を埋め尽くす。


 どうだ、やったか……徐々に徐々に煙が晴れてゆく。


 タッタッタッタッ。


 足音が聞こえる。振り向くと、ユイちゃんが泣きながら走ってきて、そのまま抱きついてきた。


「ど、どうしたの⁉︎」


 穴という穴から出たであろう涙や鼻水がそのままの顔をあげて言った。


「あのモンスター、ぶよぶよしてて、斬った感じがしなかったぁ。」


 まさか⁉︎


 ふと海の方をみると、煙はもう晴れているはずなのに、暗い。飲み込まれる。直感的にそう感じるほどの影がこちらをじっくりと見つめていた。


「う、嘘でしょ……そうだ、マコトくん達は⁉︎」


 奥の方をみると、マコトくんの背中を引っ張りながら飛んでいるナナミちゃんの姿がみえる。


 一安心したのもつかの間。ドンッと先程の爆発音よりもさらに大きい音が聞こえた。


 おそるおそる首を正面に向ける。


「ひいっ‼︎」


 1キロメートルは先にいたはずの影は今、私の一歩手前にいた。

 

 ああ、短い人生だった。でも元帥にもなれたし、こんな可愛い子抱いたまま死ねるなら、いいよね。

 

 刹那、大きな触手が振り下ろされた。

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