第一話 マインクラフト30FPS出ますか?
「すみません...ここで何をしてらっしゃるのですか?」
私はあお。今年から札幌の南郷高校に進学したの。
まだ学校の地図を覚えられてなくて、図書館を探してるうちに怪しい教室を見かけて、気がついたらドアを開けていたの。
その教室には、何かの機械を弄っている女の子が二人いた。
「何って、パソコンを組み立ててたのよ」
「パソコンを、組み立てる?パソコンって、売ってるものを買ってくるんじゃないの?」
「私はすいせい。あなた、パソコン研究会に興味があるんじゃないの?」
「すいせい、パソコン研究会って何よ?ここはハードオフ巡り部でしょう?」
「なぎ、あんたは黙ってなさい!そんなんだから未だに4790Kなんて時代の敗北者を使ってるのよ?」
「私は好きで使ってるの!」
「ところであなた、名前はなんて言うの?」
「あお、です」
「いい名前ね。今日からあなたは、パソコン研究会のメンバーよ!」
「だから、ハードオフ巡り部!」
「はいはい。危ないところだったわ。今日中に部員を3人集めないと廃部だったの。」
「それよりも....ここは何をする部活なんですか?」
「いろんなパソコンショップを巡ってパーツとかを買ってきて、パソコンを組み立てる部活よ!パソコンのパーツは、ちゃんと規格が決まってるから、自分でパーツを選んで組み立てられるの!」
「へぇぇ....そうなんですね。ちょうど私、Vtuberさんの配信を見て、マインクラフトをやりたかったんです。予算2万円で、30FPS出せるパソコンは作れますかっ?」
「うーん、ちょっと予算が少ないわね」
「何を言っているのすいせい。2万もあれば余裕じゃない。私はなぎ。すいせいは最新の上位パーツを頻用するけど、私は保証なしのいわゆる"ジャンク品"を漁るのが好きよ。中古パーツとジャンクパーツうまく使えば、2万円で戦えるマシンを作れるわ。」
「マシン?」
「パソコンのことよ。マシンって言ったほうが詳しそうに聞こえるし、かっこいいでしょう?」
「そうと決まれば早速行きましょう。学校の近くの、ハードオフ南郷20丁目店がいいかしら。鞄は持った?いくわよ!」
「それで、ハードオフ、というのは、なんのお店なんですか?」
「全国チェーンのリサイクルショップよ。パソコンやオーディオ、ゲーム機なんかを扱ってるわ。」
「ハードオフには、ジャンク品を置いてるコーナーがあるの。ジャンク品は、保証がない代わりに安いのよ。動作確認すらされてないものもあるけど、それが楽しいのよ。」
「あそこに喜んで行く人はあんまりいないわよ....」
「それで、どんなパーツが必要なんですか?」
「そのへんを話してなかったわね。パソコンが成立するのに必要な部品について話すわ。
まずはCPU。これは人間で言うと頭脳で、計算をするところ。そしてメモリ。机のようなもので、一時的にデータを置いておくわ。それと、GPU。グラフィックボード、のほうが通じるかしら?モニターに描写する役割よ。CPUに内蔵されているのものもあるわ。あとは、SSDやHDD。データを記憶しておく場所よ。メモリと違って、電源を切ってもデータが失われないわ。そして、これらを繋ぐ大きい基盤、マザーボードと、電力を供給する電源ユニット。ここまでのすべてを収めるケース、といったところかしらね。」
「そう言ってる間に着いたわね。それぞれの詳細は選びながら話しましょう。」
「はい、よろしくお願いします!」