第4章 友達
「ねえ、そしたら、シロユキは4年生くらいなの?」
「ぼく?ぼくは学校に行ってないよ」
「なんで?学校に行かなくてもいい人なんて、聞いたことないわ」
「美紀は学校楽しいの?」
「楽しいわ。まだ入学したばかりだけどね、新しいランドセルに新しいお洋服。それに綺麗な教科書がたくさんあるわ。お友達もクラスに10人はできたわ。ねえ、それより、なんで学校に行かないの?」
「理由はないよ。行かなくていい人もいるんだ」
「勉強しなくていいんだ。そうしたら一日中暇じゃないの?」
「ぼくは一日中忙しいさ。絵本を見ていろいろ勉強したり、今から行くいちご畑だって、ぼくが耕したんだ」
「お友達は、欲しくないの?」
シロユキは黙ってしまった。
「お友達は何人いるの?」
「いないよ」
「なんで?」
「ぼく、こんなところに住んでるだろ?誰も来ないんだ」
「美紀が来たじゃない」
「今日は特別だよ」
シロユキは少し暗くなってしまった。
「お友達の作り方、教えてあげるわ」
美紀は続けた。
「お話をするの。何でもいいわ、そうしたら相手の子も返してくれるから。一緒にお話してるとね、だんだん楽しくなってくるの。そうしたらいつの間にかお友達だわ」
「そんなに簡単なの?」
「うん。だから、私たちはもうお友達のはずよ」
シロユキは嬉しくなった。照れ隠しに少し早歩きになった。
「ねえ、歩くの早いよ」
美紀は少し小走りに、シロユキの後をついていった。




