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真っ赤な糸を紡ぎ断つ  作者: 夜代 名無無
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こ こ ろ

薄暗い境内に日が差していく。

私は賽銭箱にもたれ掛かり、影に隠れるようにして眠っていた。

瞼の上に光が当たっているのがわかる。

ゆっくりと目を開け、変わらずボロボロな境内を見回す。

何度願っただろうか。

寝て、起きた時に私は幸せな家庭の娘になっていたり、はたまた神社に人が沢山来て大繁盛していたり。

そんなことを、何回も願った。

この日々から抜け出したくて堪らなかった。


私は、縁を切る神様だ。

自分と嫌いな人の縁、

はたまた他人と他人の幸せな縁


私が切る縁の糸は、少なからずなにか暗い感情を纏っていた。


最初は嬉しかった。

誰かの役に立てるのが。

泣きながら感謝されるのが。

自分に意味はあるのだと、実感出来たから。

でもいつからか、歪んだ願いが多くなった。

真っ赤に絡まった糸を一本一本切っていく度に、誰かの歪んだ笑い声が聞こえた。

本当にこれでいいのだろうか。

願いを叶えることは、それと同時に誰かの幸せも奪っているのではないか。


だって、世界はすべて“等しく”出来ているから。

例えば世界を天秤だとする。

片方に幸せ、片方に不幸が乗っていて、片方の幸せが増えれば増えるほど、不幸は“軽く”なっていく。

でも世界はそれを許さないから、すぐに不幸を“重く”して、バランスを取ろうとする。

だからどれだけ幸せを追い求めたって、必ずどこかで不幸が生まれてしまう。


世界が“等しく”出来ているからこそ幸福で“等しく”満たすことは出来ない。

それに気づいた時、私は絶望したし、自分が存在する意味を見失った。


いや、願いを叶えるだけなら、他の場所で不幸が生まれようが関係なかった。

でも私には考える頭があった。感じる心があった。私は必要ないことも沢山考えて、必要以上に苦しんだ。


「願いを叶えるだけなら、心なんていらないよ」


いつからか、それが私の


縁切りの神、断華 霧乃の口癖だった。


虚ろな私の元に、まだ、人々はやってくる。

今日は、どんな人が来るのかな。




今日は、どんな幸福を切り裂けばいいのかな。


名無無です。

なむなです。

自創作の子のはなしです。

更新激遅です。

読んでくださってありがとうございます。

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