2話 そして俺は本能に忠実であり続ける
俺の目標。リア充になるという目標は転校初日から終了していた。
全校生徒が集まっていた入学式に焦ってあらぬことを暴露してしまったのだ。当たり前だろう
クラスでの挨拶で俺に自己紹介が回ってきた時、女子は俺を見てコソコソ話をしあい、男子からは盛大にバカにされた。
「大丈夫だよ、みんなの誤解とくの私も手伝うからさ」
「うわぁああん……お前だけが頼りだよマイハニー……」
「よしよし」
時は放課後、今は誰もいない階段の踊り場で桜華の誤解を解き、慰めてもらっている。このいい感じの雰囲気の中に
「ちょーど良いところなのに悪いんだが」
俺の青春をぶち壊した張本人がやってきた
「うわあぁあぁ悪魔の声だあ!!」
その忌まわしい声につい瞬間的に反応してしまった
「やあやあどうも、さっきぶりだね」
やけにフレンドリーに接してくる生徒会長に向かって、桜華が鋭い視線を浴びせながら吐き捨てるように言った
「用事がないならさっさとどっか行ってください生徒会長。かーくんが嫌がってるじゃないですか」
唯一の味方である桜華が俺の言いたいことを生徒会長伝えてくれた
しかし彼女は
「おやおや、随分と嫌われたようだな」
ハッハッハと高笑いしながら、差して気にも留めていない様子で発言した。
「ところで、遠坂翔君。残念ながら私がここへ来たのはしっかりと理由があるのだよ」
「…どんな理由ですかね?」
「うむ…………では少し席を外して貰えないかね?桜花桜華君」
この悪魔と2人になるのは恐怖しかないが、桜華がいると話を続けるつもりは無いらしい。なので仕方なく桜華には先に帰ってもらい、話を続けていく
「今日はすまなかったね、遠坂翔君」
どんな用事かと思っていたが、あの事についての謝罪だったのか。
「別にどーーーっでもいいすよぉ、もう俺の青春は終了したんでぇ」
俺は舐め腐った語尾を駆使して生徒会長の冷静さを崩しにかかった。
「だろうな。だから君には生徒会に入ってもらいたい」
「……は?」
それとこれと一体なんの関係があるというのか。思わず声を出してしまった。
「どういうことですかね」
「実は生徒会には残り2つ席が空いていてね」
「早く埋めてしまわないとちょっとばかし困ってしまうんだよ。だから君には庶務として働いてもらいたい」
男手も少しは欲しいからね、と付け加える。……ちょっと何言ってるか分からない。俺が首を縦にふるとでも思っているのか。
「いやいやいや、俺の青春をぶち壊したあんたがいるような生徒会にはいるわけないじゃないですか」
「そういうとおもっていたよ」
と、そこで彼女は俺に数枚の写真を渡してきた。
「いやー、君は都合がよかった。事前に入学してくる君たちの素性については調べていたんだけどね」
そこに写っていたのは、桜華へセクハラしている男や、桜華の写真集を鼻の下を伸ばしながら閲覧している変態的な風貌の男であった。
誰だこいつ……
「……ってこれ俺じゃねぇかあぁあぁ!!!!」
これ部屋に遊びに来た桜華を抱き枕にしてた時のやつぅ!これ俺が頑張って撮り集めた写真集!
「その写真を全校生徒へばら撒かれたくなかったら私の言うことを聞いた方が得策だと思うがね」
こいつ……なんて卑怯な奴なんだ……しかし
「俺の評判なんて既に最悪なんだ!今更もっと悪くなった所で何も感じないね!!生徒会への勧誘は断らせてもらう!!」
言ってやった、と俺は勝ち誇った顔で生徒会長を見た。
「……生徒会は君以外全員、私を含んだ美少女達で構成されているが?」
俺はその言葉をフッと鼻で笑い
「宜しくお願いします!生徒会長!」
清々しい笑顔でそう言った
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