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【旧作】 Welcome into the world [俺の妹が勇者なんだが…]  作者: 真理雪
第三章【シスターズサイド・消滅都市編】
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057 ― 聖域 ―

 こんばんは。お久しぶりです。


 ふい…どうにか投稿できました。いつもより荒いかもですが、どうにか書ききりました。

 今回は遥視点です。明と美衣は恐らく次回。本当はもう少し書きたいところでしたが…中途半端になりそうなので今回は切り上げました。

 では、どうぞ。



 暗い夜道を歩くように、足元を照らしながらしっかりと踏み締めて進んでいく。


 確かな光源は手元にあるランタンのみ。


 所々から滴り落ちる地下水で滑りやすくなった岩壁をどうにか乗り越え、大きな吐息をつく。


「はふぅ~っ。ま、まだかかるの? うさぎちゃん」


 肩で息をしながら傍らでランタンを代わりに持ってくれている黒兎がコミカルな動きでピョンピョンと跳ねる。相変わらず伝えたいことが分からない。


「疲れたぁ…少し休んでもいい? …え? ダメ?」


 休憩のために足を止める彼女をぶんぶんっと首を振って黒兎は遥を急かす。

 黒兎が案内して来た道はどれも舗装されてなく、たまたまできた洞窟を進んでいるようなもので、遥は度々苦労していた。この先に何があるのか疑問に思いつつも、戻ることは既に出来ない。仕方ない、と気を紛らわせるため深呼吸し、彼女はまた足を動かした。


 そして、進むこと数十分。遥はランタンの光に照らされた前方を見て、目を丸くさせる。


「これ…扉だ」


 いりくんだ道の先。終着点と言える場所にそれはあった。古びた木製の重厚そうな扉。年月はそれなりにたってそうだが、内側へはいかせまいと、力強く立ちふさがっている。

 

 もしかしてここから外に出られるのだろうか? しかし、こんないりくんだ場所に出入り口を置くだろうか? そんな思いを抱きながら遥は黒兎を見やる。すると───


 ───口から何かを取り出した。


「…シュールだ」


 そう冷静に呟く遥。

 今でこそ冷静に努めていられる彼女だったが、今持っているランタンも突如“黒兎”が口から出したもので、そこから何かを取り出せると思わなかった彼女は相当驚いた。

 

 黒兎は遥を見上げてそれを差し出す。それは金属製の鍵だった。遥の手のひらに乗るくらいの銀色の鍵。恐らく、目の前の扉の鍵なのだろうが、古びている扉に対して、鍵はそれなりに鮮度を保っている気がする。そこが少し気になった遥だったが、考えても仕方がないと割り切って動き出す。


 彼女は黒兎に促されるまま扉に鍵を差し込む。少し回すのが固かったが、力を籠めるとガチャリと開いた音が鳴った。


「う…。お、重いぃ…」


 ドアノブを回して開けようとするが、金具が錆び付いているようでかなり力を籠めなければ動かない。

 遥は体重も総動員して力一杯押す。すると、ようやく扉はゆっくりと軋みながら動き、まるで蝸牛の如くのろのろと開き出した。ちなみに黒兎は傍で跳ねながらエールを送っていた。手伝って欲しかった。


「ふぃ…開いたぁ」


 ようやく開いた扉の先には奥に続く道が続いており、ここまでの道と比べるとちゃんと舗装されいた。それに少し胸を撫で下ろした遥は黒兎と共に奥へと歩を進めようとする。すると──



 ───バタンッッ



「うひゃんっ!?」


 独りでに扉が閉まってしまった。


「えっ!? 嘘っ!? 閉まっちゃったよっ!?」


 遥は驚きドアノブを引っ張るがそれはびくともしない。しまいには…


「ぎゃあっ!? ドアノブが取れちゃったぁ!?」


 ポッキリと根本からノブが外れてしまった。それに肩を落としていると、黒兎が遥の足を叩いて先を急がせる。


「うう…わ、分かったよ。ふう…よしっ。行こう!」


 とにもかくにも腹を決め、歩み出す遥。


 それは数分とたたず、終わりが見えた。道の先に光が現れたのだ。

 意識しない内に彼女は早足になる。どんどんと大きくなる光に遥は吸い込まれるようにして入り込み、照らされた前方を目視する。そこには遥が予想だにしなかった景色が広がっていた。


「え…? なにこれ…。凄い…」


 ───そこは水晶(・・)の中だった。


 ぽっかりと開けた広い場所。光が反射するこの場所には、たくさんの水晶の柱が聳え立っており、どこもかしこも透明な空間だった。


 自身が立つ足場も水晶。壁一面も同じく。そこは現実離れした幻想的な世界。地球ではまずあり得ない世界がそこにはあった。


「うわぁ…凄くキレイ…。こんな場所があったんだ。うーん。…ふぁ、ファンタジーだなぁ…」


 その圧倒的な景色に飲まれ、遥はうわ言のようにそう呟いた。


「…あ、そうだ。うさぎちゃんは?」


 ようやく我に帰った彼女は思い出したように回りを見渡す。しかし、そこに黒兎の姿はない。

 もしかして先に行ってしまったのだろうか?遥は目の前に続く道を見やる。

 その水晶で形作られた桟橋はこのドーム状に開けた空間の中心部に続いているようだった。ここからでもその中央から延びている一際大きな柱が見て取れる。


 気を引き締め、それに向けて足を踏み出す遥。


 透き通った水晶の柱群を突き抜けるように伸びる桟橋は長く、このドーム状の空間もかなり広いことが分かった。

 あの“黒い兎”が何故自身をここに連れてきたのか。その理由があの中心部にあるのだろうか。

 そんなことを思いながら彼女は足を動かす。ここで動いているものはパッと見た限り自分自身だけ。足音と息づかいが鼓膜を打ち、何が待ち受けているのか分からない不安感が鼓動を早くする。


 だんだんと近づいてくるに連れて水晶の柱が鮮明に見えてくる。そこでふと遥の目に不思議なものが映った。


 (え…? 人影…?)


 大きな柱の中央部分になにやら光る箇所がある。そこに見えたもの。

 彼女は駆け足になり、それに吸い寄せられていく。そして、とうとう柱が触れれる場所までたどり着いた。


 ここまで驚いてばかりだった。

 地下水道へ落ちたと思えば、動く兎のぬいぐるみと出会い、水晶でできた洞窟へ案内され、そしてまた新たなる光景に言葉が出てこない。


 目の前に広がる光景。それは、とりわけ太く大きな水晶の柱。透明度が高く、天から降り注ぐ光を反射してキラキラと輝く。そして、なによりも遥の視線を奪ったのは───柱の中で眠る女の子(・・・)だった。


 長く白い髪に白い肌。瞳は閉じており、恐らく眠っているのだろうと思える。

 服装は白と黒を基調としたゴシックロリータスタイル。

 あどけない相貌で眠るその女の子は、もはや神が作った芸術品と言ってもよいほどで、神秘的な雰囲気を醸し出しながら幻想的な世界を作り出している。そんな世界を素直に美しいと思ってしまった。


「(ぴょんぴょんっ)」


「へ? わっ!? うさぎちゃん!」


 何分そうしていたのだろうか。遥はその女の子に目を奪われ、呆然としていた。そこに横から飛び出してきた黒兎に驚かされ、我に帰る。


「もう、どこに行ってたの…──って、どうしたの?」


 ようやく現れた黒兎に小言を垂れようとしたところ、黒兎は何やら妙な動きを見せる。どうやら何かを伝えたいらしい。お粗末なジェスチャーを遥は見つめながら何を伝えたいのかを考える。が、だんだんと彼女の額に皺が寄ってきた。


 (───…わ、分かんないっ!)


 彼女は溜め息をつく。

 黒兎はめげずに何度も何度もその動作をするが、遥の思考にはクエスチョンマークが浮かぶのみ。いつもなら頭の回転がよい遥であるが、今回は黒兎のジェスチャーがお粗末過ぎた。案内役として致命的な人選ミスな気さえする。


「??? な、なんだろう…。綱引き?」


「(ぶんぶんっ)」

 

 その答えに黒兎は首を振る。


 黒兎の動きは恐らくだが、両手に何かを持って何度も引いているように見えた。

 ぬいぐるみ故に四肢が短い分、やはりやり辛いのだろうが、遥にはそれが“綱引き”に見えてしまったらしい。


 (たぶんだけど…何かをして欲しいってことだよね…)


 手を口に当て遥は頭を悩ませる。

 視線を変え、柱の中の女の子を見やるが、彼女からの反応は今のところはない。そもそも目を瞑っていることから眠っていると感じたが…水晶の柱に守られており、生きているのかどうかさえ確かめられない。


 (言われるがままここまで来たけど…結局、わたしは何をしたらいいんだろう…?)


 この水晶の空間。その中心部に女の子が眠っていた。恐らくこの娘が自身を呼んだのだろうが…ここまで来ても何もリアクションを見せない。いや───


 (この女の子は動けないんだ…たぶん。だからこそ、うさぎちゃんがわたしを呼びに来た。そういうことじゃないかな。だとすれば、行動を起こさないといけないのはわたしの方…)


 遥は黒兎に視線を戻す。視線が戻ってきたからか黒兎はまためげずにジェスチャーを開始した。がんばり屋なのは理解できたが、やはりお粗末である。

 彼女は腕を組み、また思考を再開させようとする。


 ───しかし、それは突然の大音響によって遮られてしまった。



 ドゴンッッッ!!!!



 盛大な大音響が反響する。それは遥の真後ろ。


 慌てて後ろを振り返った遥が目にしたものは、吹き飛んで残骸となった扉と衝撃波でひび割れ内側から削られた入り口だった。そこからもくもくと硝煙が漏れている。


 そこから優雅に現れた者がいた。


「───っ!!? あれはっ」


 目を見開いたその先。ゆっくりとした足取りで姿を現した人物。それは、昨日見た一生忘れられないであろう人物。





「やっと…。やっと見つけたわ。支配者(ドミネーター)



「──魔族っ!!」




 遥と魔族の女性。そして、柱の中の女の子。

 水晶の桟橋の上で、妙な再開を果たしてしまった。

 それは頼るもののいない。一番、最悪な形で──。





 今月は予想外に忙しかったです。その上親知らずを二週連続で抜くということもしました。お陰で週末二連続でダウン。しかも祝日は休日出勤でした。ほんとどうにかしたいこの頃です。仕事が忙しくてもめっちゃ給料高い訳じゃないんですよね…。もとが低いから…ね。


 ふう…という愚痴でした。


 物語には関係ないねっ。すみませんねっ。


 で。話は変わりますが、恐らくまた前のように視点がコロコロ変わります。あっちこっちしていたら混乱するかと思われますが…同時に進行している話はなかなか難しいんですよね…。まあ自分が悪いんですけどねっ。頑張って分かりやすく書こうとは思っています。

 もし誤字脱字矛盾点などありましたら言ってくださるとありがたいです。


 あ、そういえば。タイトルが変わったのはお気づきでしょうか? またもや変わりました。本当はリメイクするときにでも~と思ってたんですが…まあ善は急げとも言いますし…なんか違う? まあ改めてよろしくお願いします。


 では、今回はここまで。来月もどうぞよろしくお願いいたします。





 【追記】


 3月の投稿延期。まとめて4月に投稿予定しています。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] あとがきにも書かれていますけど、視点が変わりすぎて訳がわからないのはさすがにどうかと。 群像劇にしたいのか、はたまたいろんなことを書きたいのかはわかりませんが、せめて一区切り着いてから…
[一言] お疲れ様です! タイトルにはすぐに気付きましたね! ……ブクマしてくれているのに気づくのは遅かったですけど。 本当にありがとうございます!
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