003 -異世界の勇者?-
いつでもこんにちは、真理雪です。
すみません…投稿が遅れました…本当は昨日する予定だったんですけどね…ミスって書いたものを半分消してしまうというアクシデントがありまして…しかも、二回も…。それのおかげで昨日は書くだけかいて寝てしまいました…。
と、言うことで今回も妹パートです。またもや、主人公が空気です…。
拙い文章ですが…少しでも楽しんでくれたら嬉しいです。
では、どうぞ。
明るく美しく光るシャンデリアに綺麗に敷かれた赤い絨毯。その上に置かれたいくつもの大きな丸テーブルに白のテーブルクロスがかけられ、見た目も美しくそして、美味しそうに仕上げられた食べ物がそこかしこに並んでいた。何処かの大きなパーティのような雰囲気で──凄く場違いな感じが否めない私は少しそこに入る前に呆然としてしまった。
「これすっごい!そしてうまっ!なにこれ!?そしてうまっ!」
「…ちょっ!?亜衣ちゃん!ちゃんと自分のさらに乗せてから食べないと怒られるよっ。いっぱいあるんだから摘まみ食いみたいなことはしないで…」
「そうそう!私のようにちゃんと自分の分は取らないとね!」
「いや!新井!君は取りすぎだよ!?わわ!?溢れる溢れる!」
──いや~何て言うかその…皆いつもどうりだなぁ~別の意味で呆然としてしまうよ。
(……いや…違うのかな…。皆気づいてるのかもしれない…私がまだ……──…ってことが…)
「はるにゃんっ何やってるの!これ美味しいよこれ!!」
「ちょっ!?フォークを振り回さないで!?本当にもう少し自重してくれ!」
フォークを持った腕をブンブン振り回しながら私を呼ぶ麻衣とそれをどうにか止めようとして逃げられる勇二くん。…その隣でそばにある食べ物を片っ端から口にほりこむ亜衣と止めようとするが逆に食べさせられそうになってる美衣。……ほんっとにいつもどうりで…楽しくて面白くて…そして、優しい…私の大好きな友達───
「──っ!」
不意に私は胸の痛みに顔を歪ませる。
そこにはもう一人──その大切な世界には…もう一人…──いたはずなのに…。
『──何でいないの?……お兄ちゃん!!』
「あ!はるにゃん!」
「もぐもぐっ!?(はるはるが逃げた!?)」
「遥ちゃん!!」
「……遥ちゃん」
私はその場だけの逃げだとは理解していたが、皆のいつもどうりの優しさに居たたまれず…その場から背を向けてしまった。
ーーー
「はぁ…。何やってるんだろ…私…」
私は今さらになってそう呟くが返事する者はおらず、その言葉は月明かりが眩しい大きな通路に少しだけ反響しながら消えていく。
──皆に心配かけまいと普段どうりに振る舞っていたのに、これじゃ意味がないじゃない…。と言っても皆は気づいていたのかもしれないけどね…反応を見るかぎり…。
もう、一年前か…。時がたつのは早いな~。
確かあれは高2の夏休み…いや、試験前…だったかな…私とお兄ちゃんと勇二くんとで海に行く計画をたてて…テスト勉強どうする~?とか言って…学校から帰っている途中だった…───
「──何でっ…」
楽しみだった…。いつもの3人で楽しく勉強会ができるのが…楽しみだった!友達や勇二くんそして…お兄ちゃんと海に行くのが……!!
「……お兄ちゃんっ」
「──どうしたの?お嬢ちゃん?」
え?っと私はその場で少し驚きながらも振り返る。
そこには軽装の赤と銀の鎧を着、腰に一振りの剣を挿した茶髪ポニーテールの美人さんが優しい微笑みでこちらを見つめていた。
「大丈夫?」
「え?…──いや、大丈夫…大丈夫です。ありがとうございます」
「そう?ふーむ。よしっならほらこっちに来なさいな」
と彼女は唐突に両腕を前に広げ私を呼ぶ。
「え?え?」
「もう…仕方ないわね~ほら、ぎゅ~」
彼女はいきなり私に近づき身体を引き寄せる。戸惑っていた私は咄嗟のことに動けなかった。
「ほら、これなら誰にも見えないから安心しなさいな。ちょっと鎧が痛いかもしれないけど…それは我慢してね?」
「えっと…あの…これは…??」
「ん?あ、もしかして気づいてないのかしら?…貴女──泣いてるわよ」
「っ!?」
私は言われて気づく。私はいつの間にか──泣いていたのだ…。
「もう一回聞くわね?……──大丈夫?」
「……すみません厚かましいのですが…その…もう少し…お願い…できますか…?」
「ん、分かったわ」
温かいと感じた。鎧越しでも伝わる心臓の音、冷たい鉄の内側からでも届く体温。ああ…本当に…私はバカだな…。
何分たっただろうか…?いや、何時間?そんなわけないか…たぶん、せいぜい5~6分くらいかな?それぐらいすると私は落ち着きを取り戻し、彼女から身体を離した。
「すみません…。ありがとうございました。だいぶ落ち着きました」
そう私は彼女の朱色の瞳を見つめ、しっかりとお礼を言う。
「そう、それならよかったわ。黒髪の美少女が月明かりに照らされながら泣いてるんだもの。一瞬みとれっじゃない?本当にどうしようかと思ったわ」
彼女は微笑みながら言い、そして両腕を広げながらやれやれという表情を作りながら首をふる。
「うっ…。その…ごめんなさい…。って美少女は言いすぎだと思いますが…」
「そーお?そんなことないと思うわよ?」
と彼女は私にそう気さくに笑いかける。
「でも、本当にありがとうございました。そのっ…えっと…貴女は──?」
「ん?…あ、そういえば自己紹介してなかったわね。すっかり忘れてたわ」
彼女はコホンっと一度言葉を切り、改めてから話始める。
「私の名前はアリア・ウィクトリーナよ。皆にはリアって呼ばれてるわね」
「私は美凪遥です。あ、えっとこちらではハルカ・ミナギの方がいいのかなっ?よろしくお願いします!えっと…それじゃあリアさんって呼ばしてもらいますね!」
「ええ、よろしくね。それじゃ私もハルちゃんって呼ばしてもらうわね?」
「ハルちゃんですか?分かりました!リアさん!」
と彼女…リアと名乗った女性は微笑みながらこちらを見つめる。
「そういえば…リアさんはエルフなんですか?」
お互いの自己紹介が終わったところで、私は気になったことを口にする。さっきから朝に見た(触らしてもらった)エルフよりも少し短い突き出たような耳が目についたからだ。
「うん?──ああ、なるほどコレのことね?」
とリアさんは私の視線に気づいたように自分の片耳を摘まみながら言う。
「そうね…。確かに私はエルフの血が混ざっているわね。忘れがちだけど…」
「?……あ、もしかしてハーフエルフってやつですか?」
「そ、私の両親はエルフと人間だったのよ。でも、ハルちゃん?その言葉はあまり言わない方がいいわよ?あんまりいい気はしないからね」
「え?…あっすみません!私こちらに来たばかりで…禁句でしたか?」
「あ、別に謝らなくてもいいわよ?でも、そうね…。禁句とまでははいかないとは思うわ。私のようにそんなこと関係ない!って人たちもいっぱいいるからね」
そっそうですか…とその言葉で私はほっと胸を撫で下ろした。
「それにしても…何故ハルちゃんはここに?まだパーティの時間よね?まさか迷子?」
「えっいや!そういう訳じゃっ…その…えっと…」
うう…どう言えばいいだろうか?…あそこにいたら居たたまれない気持ちになったから逃げましたとか、バカ正直に言うのは憚れるし…。
「──分かったわ。それじゃ先に部屋にでも案内しましょうか。あ、心配しなくても大丈夫よ?ティアラには伝えておくから、皆はあの子に任しておきましょ」
「え?え?…でも、いいんでしょうか…?」
「いいのよそれくらい。一人になりたいことなんて皆あるんだしね。それに、こんな時だし遠慮しない遠慮しない」
リアさんは軽く片手をひらひらしながらそう言う。
でも、何者なんだろうリアさんって…ティアラって呼び捨てだし…これって王女様の名前だよね?同姓同名の別人とか?なっなわけないよね…騎士っぽいし…近衛兵とかかな?
「ほらほら、着いてらっしゃい──って、そうだ…少しだけ待っていてね?」
「え?…あっはい!」
と彼女が来た道を戻ろうとした瞬間、何かを思い出したように歩みを止める。
「フォル。来なさ~い」
とリアさんは暗闇にそう言う。
??と小首をかしげていた私は“きゅいきゅい!”という可愛らしい声が聞こえたのを聴きそちらに目を向ける。
「わぁっ!可愛い~♪なんですかこの子!?凄く可愛いですよ!」
「ふふっ可愛いでしょ?私の使い魔の“フォル”よ。私のお気に入りなの」
『きゅきゅい?』
リスのような全体的に赤い毛並みの小さな獣がリアさんの肩にちょこんと乗っかり首をかしげている。
(うわ~♪ほんとに可愛いなぁ可愛いなぁ~♪)
こう言う可愛い獣系に目がない私は嬉しそうにそれを見つめ胸を高鳴らす。多分、その時の私は目にハートマークが浮かんでいたのではないかと思います。
「また時間があったときにでも改めて紹介するわね。それじゃ、フォル少し頼めるかしら?」
『きゅいきゅい!』
リアさんが要件を伝え終わったのかフォルちゃんは廊下の闇に紛れて見えなくなってしまう。
「ああ…もふりたかったなぁ…」
「ふふっ…気に入ってもらえたならなりよりよ。それはまた時間があったら…ね?」
「うう…分かりました…」
と私は渋々ながらもリアさんの言葉に頷く。
「それじゃ、行きましょうか」
そう言ってリアさんは私の手をとり、歩き出したのだった。
ーーー
沈黙の暗闇。その静かな空間が所々にある小さな明かりで少し薄まりその通路を通る者に少しの安心感を与える。そんな白い大理石で出来た大きな廊下は日本では絶対見ることが出来ないほどの見事なものだった。
「そういえば…誰もいないんですね?警備の人とかは…?」
「一応いるわよ。──目の前に」
「え!?そうだったんですか!?」
「いや、そんなに驚くことでもないでしょうに…。それに私以外にもちゃんといるわよ?魔法障壁があるから少ないけどね」
魔法障壁?…そうか…魔法の世界なんだからそれくらい普通にあるよね。
「そうだったんですか…。その…仕事中にすみません…」
「ん?いやいや、気にしなくていいわよ?私もひまってゴホン!──これも私の仕事だからね」
と何ともなかったように微笑むリアさん。
んん?リアさん何か誤魔化したような…。
しかし、そんな些細なことを打ち消すように彼女の微笑みは綺麗で優しさに溢れていた。
それにしても、リアさんって凄く美人な人だなぁと思う。その整った顔立ちはエルフ特有の綺麗な物と人間特有のパーツが混ざっておりその一つ一つがお互いに助け合い、感じを変質させることなくむしろ輝かせているようで…そして、その質のよい茶髪とポニーテールは凛っとした感じを助長させている。それに、鎧で分かりにくいけど…そのスラッとしたスタイルの良さはその鉄の壁越しでも見て伝わってくる。そのため、可愛いという感じではなく、美人や美女そんな言葉の方が当てはまるだろう。王女様もそうだったけど…あのふんわりとした母性?的な雰囲気ではなく、こちらは正反対のキリッとした本当に感覚だけだけど…そんな感じであった。
「ん?どうしたの?」
「え…。あ!いや!何でもありませんっ」
と唐突に聞かれ慌てるが私だが咄嗟にどうにか返答する自分!えらい!
「そう?…まあ、いいわ。さっここが貴女の部屋よ」
「あ、はい!ありがとうございますって──広くないですか!?」
「ん?あー因みに一人部屋だからね」
「ええ!?」
私は所々彫刻してあった豪奢な扉をくぐり抜け、中を見て驚く…その豪華さと広さに。
「王宮だからね。これくらい普通よ普通。それに、一応来賓用も兼ねているからね~それなりにはしとかないと」
「そっそうだったんですか…」
「まあ、明日も早いしね。ゆっくりするといいわ」
「はい。お言葉に甘えてそうさせてもらいます」
リアさんは私を見て一度頷く。
「それじゃあ。また明日ねハルちゃん。朝になったらメイドちゃんが起こしに来ると思うから」
「はい、分かりました。本当にありがとうございましたリアさん」
「いいのよこれくらい。それじゃ、お休みなさい」
とリアさんは軽く片手を振りながら踵を返しドアノブに手をかける。
私はその様子を何ともなく見ていた。
「───何で聞かなかったんですか…?」
っ!?
私は驚き咄嗟に口を押さえる。何故言ってしまったのか自分でも分からなかった。──理解できなかった。
「ん?何か…言ったかな?」
「いっいえ!何でもありません!──何でもありません!!!」
私は彼女の言葉に叫ぶ。自身の居たたまれない思いと、このどうしようもない寂しさを紛らわす為──叫んだ。
「──確かに気にはなったわね。…貴女が何故、泣いてるのか」
リアさんはそんな私に構わず、優しい微笑みをその整った顔に湛えながらその言葉を返す。
「なら──ハルちゃんは聞いてほしかったのかな?」
「うっ…っ。わっ私は!」
「ふふっ…ごめんごめん。それは意地悪な質問だったわね」
と戸惑う私にリアさんはすぐに質問を取り下げ、コホンっと言葉を改め口を開いた。
「さっきも言った通り…気になったわよ?だけど見ず知らずの誰かに聞かれても困るだけだと思ってね。聞かないでおいたのよ。一人で考えたいときもあるだろうしね」
「そう…ですか…」
「だけど…なら、そうね…。貴女のこと…私に話してくれない?まだ知り合ってから間もないけど。少しでも話してみたら以外と楽になるものよ?」
リアさんはどう?と言うように小首をかしげながら聞いてくる。彼女の優しさに私はたまらずぼろぼろと涙を溢した。それはもうダムが決壊したように。
………わたしは…私は──
「──私…は……っ!…私には…一人…大切な…──兄がいたんです…」
私はいつの間にか心の内を吐き出すように語りだしていた。あのキラキラした思い出と──唐突な別れを。
まさか終わらなかったですと…何故に…しかも、また新キャラが…。
と言うことで次も妹パートです。長くね?まだ続くのかよ?と思っている方もいると思いますが…もう少しもう少し待っていてください…主人公が無双するパートがもう少しで来るはずなので…たぶん…。
さて、それでは補足ですが…妹、美凪遥のイメージと言うか前回の感じと今回の感じが若干違うと思っている方もいると思いますが…これは、仕様です。第二話での勇二が言っていたように暴走ぎみだったのが、友達のおかげで少し落ち着いたという感じですかね。
それでは、今回も読んでくれてありがとうございました。面白かったでしょうか…?よかったら何でもいいので感想お願いしますね。
では、また次回でお会いしましょう。