026 - カノンの街 4 -
いつでもこんにちは!真理雪です!
またもや遅くなってしまいました…お久しぶりです…。一ヶ月ぐらい開きましたかね?申し訳ないです…。
突然いなくなったりすることはないので、もしまた休講するときも何かしら連絡はします。まあ今のところする気はないですけどね!気長にお付き合いしてくだされば幸いです。
「それじゃあ、貴女たちが遭遇したって言う魔物について教えてもらえる?」
彼女はそう言って向かい側のソファに足を組んで座る。真っ向からの蒼色の視線を直に受けて、多少戸惑いつつもわたしはしっかりと頷いた。
カノンの街の冒険者ギルド。その頭たる“ギルドマスター”という地位を持つ彼女は優しそうに微笑みながらわたしを見つめていた。
正直なところ、わたしはそんな彼女のことが少し苦手だった。
ルシエラさんとは出会ってからもう長い。彼女のことはセーラさんやハウルから何度も聞いたことがあるし、優しいことも知っている。しかし、やはり今のような二人っきりの状況になるとどうしても尻込みしてしまうのを治すことが出来ない。
彼女に見つめられていると心の中まで見透かされているようで、緊張してしまうのだ。
「そんなに緊張しなくてもいいのよ? 肩の力抜きなさいな。…んん? もしかしてわたしって…恐い?」
「い、いえっ。そんなことはっ」
彼女の言葉にわたしは慌てて首を振る。
「そっ。まあ、わたしの役職で緊張するのは理解しているわ。ギルドマスターなんて、ようはここの社長と同義だからね。仕方ないっちゃあ仕方ないわね」
ルシエラさんはそんなわたしを慰めるようにそう言って、華奢な人差し指を口に当てウィンクする。やはりこの人には丸解りだったようだ。
「すみません…」
「いいのよ別に。で、話を戻すけど───」
彼女は腕を組み直し言う。
「セーラからはある程度話は聞いているわ。魔物…名前は“ガンズロック”。B~Aランクの魔物ね。それが────突如、爆発した、と」
彼女はそこで言葉を切る。そこまでしか聴いていないということのだろう。
そう、あの強いセーラさんもルナちゃんもギンくんも、皆その後のことは一切見ていない。理由は単純。意識を失っていたからだ。だから、唯一その場を見ていた自分が呼ばれたのだ。あの時、偶々あの驚異的で突拍子もない、脅威的で非現実的な戦闘を、見ていたわたしが。
「…えっと…その…」
「うん? どうかした?」
歯切れの悪いわたしを彼女は不思議そうに首を傾げる。
呼ばれた時点でそれは気づいていた。何故、セーラさんだけじゃなくてわたしも呼ばれたのか、何故、わたしなのか。察しの悪い自分でもそれには当然気づいていたのだ。しかし───
"───この事は言わないでください"
この場にいないわたしたちの恩人。可愛らしい狐の少女の声が脳裏に甦る。
(どうしよう…。話したいのは山々なんだけど…。キュレアちゃんとの約束は破るわけにはいかないし…)
わたしは難しい表情をしながら押し黙った。どうしていいか分からず、悩ましい気持ちだけが募っていく。
そして、何分かの沈黙。それを破ったのはルシエラさんだった。
「はぁ…。なるほどね。やっぱり口止めはされているか…。仕方ないわね」
え?っとわたしは素頓狂な声を出す。思いもよらない言葉にわたしは恐らく凄く驚いた表情をしている筈だ。
「予想はしていたわよ。大丈夫。強制的に聞く気はないから。だけどわたしたちにも状況が分からなければ打つ手がないし。だから、一つ聞き方を変えてみましょうか」
彼女は挑戦的な笑みを浮かべながら口を開く。
「貴女はわたしの質問に『はい』か『いいえ』そして『分からない』で答えてちょうだい。貴女は真面目だからどこまで言っていいか悩んでるんでしょうけど…。言えないことは言わなくていいわ。わたしが聞いた質問に答えるだけでいい」
彼女はわたしに向けてウインクし返答を求めてくる。
わたしは目を瞬かせ、唖然とするしかなかった。
(ぜっ、全部バレてた…。そ、そんなにわたし分かりやすいかな…)
わたしは驚きと同時に少し気を落としながらもその提案に乗ることにする。
キュレアちゃんとの約束は破りたくないし、お世話になっているルシエラさんになにも話せないと言うのも罪悪感がする。“優柔不断”それがわたしの欠点。それ以外にもあるが────大切なものを無くしたわたしの…最大の欠点なのだ。
わたしが頷くことで同意を示すと、目の前の彼女は安心したように笑顔を見せた。
「よかった。なら、聞いていくわよ」
彼女は一泊置くといくつかの質問を述べる。
大まかに纏めるとこうだ。
・森で出会った魔物は本当にガンズロックだったのか。“はい”
・異変前の魔物に違和感がなかったか。“分からない”
・異変後の魔物に見覚えはあったか。“いいえ”
・森に入る際に気になることはあったか。“いいえ”
・キュレアちゃんが本当に魔物を倒したのか。“…分からない”
・キュレアちゃんと何かしら話をしたか。“…いいえ”
彼女は一通り聴き終えるとわたしを見つめ、沈黙する。その鋭い眼光に耐えられなかったわたしはだらだらと汗を滴しながら声を掛けた。
「…え、えっと…その…ぎ、ギルドマスター?」
わたしが意を決して絞り出すように声を掛けると、彼女はぱっと笑顔になる。
「あらら、悪いわね。悪い癖が出ちゃったわ。さてさて、まあ聴きたいことも聴けたしあとは…」
と、彼女が言い終わる前に扉を叩く音が響く。
ルシエラさんが返事をすると扉を開け、姿を見せる白い耳が特徴の女性。セーラさんだ。
「失礼します。ギルドマスター少しよろしいでしょうか?」
「うん? いいわよ。ステラちゃんありがと。もう下がっちゃっていいわよー」
ルシエラさんはセーラさんに返事をする傍らわたしにも声をかけ、面会の終了を告げる。
「あ、はいっ。では、失礼します!」
わたしは頭を下げ、居心地が悪かったここからささっと退出しようとする。が、セーラさんの隣を通り抜けようとしたところで声がかかった。
「ステラさん。すみませんがギルド内で待っていてもらえますか?」
「え? あ、はい。いいですけど…?」
唐突な申し出にわたしは反射的に答え、首をかしげる。
「どうかしましたか?」
「詳細はまた後でしますよ。面会お疲れ様でした」
彼女は微笑みながらそう言う。微笑む前にちらっと見えた強張った表情は綺麗に隠されていた。
わたしはそれに怪訝な顔をしながらも、仕方なく部屋を出る。
「なんだかはぐらかされたような気がするなぁ…」
わたしは今しがた逃げるように出てきた部屋の扉を振り返り、独り呟く。
今更考えても仕方ない。後で教えてくれるなら今聞かなくていいだろう。急ぎの用事ならすぐ言ってくれるだろうし、と考え直し。わたしは一階に向かう階段に足を向けた。
さて、そろそろ話が動いてもいい頃だと思うですがね…。うーんやっぱり難しい…今まで書いてきましたが、思い返してみると文章も拙いですし、言い回しも甘く語彙力も低い…。まだまだだなーと思う今日この頃です。少しは馴れてきたかなとは思うですけどね…。
さて今回はステラ視点でしたが次回は主人公視点に戻ると思われます!次回はどうなるのか!乞うご期待!wなんて!
今回もありがとうございました!次回もよろしくお願いします!
20/1/19 魔獣→魔物 変更
20/6/02 書き直しました