025 ー カノンの街 3 ー
いつでもこんにちは!真理雪です!いやはやGWももうすぐ終わり!いや、もう終わって仕事や学校に行っている人たちもいるようですね。始まる前は遅いのに始まってからは本当に過ぎ去るのが早い…何と言うか寂しいものですね…。
と言うわけで5月初めての投稿です。いつもながらの拙い文章で申し訳ないです。少しは上達したでしょうか…?では、どうぞ!
昔から人が多い場所は嫌いだった。回りの人たちは気にしてないかもしれない。ただ人混みの中の内の一人。そんなのをいちいち気にしていたら日が暮れてしまうし、第一自分に関係ない人間のことを考えても意味がない。それ故に人は人混みの中でも悠々と歩けるし行動もできる。慣れているのもあるだろう、しかしそれ以上に無関心であり、興味など湧かない対象だった。
そう自分は俺はただそこら辺にいる何の変鉄もない人間だった筈だ。
しかし─────
すっごく視線が突き刺さるんですけどー!?
俺はなるべく表情に出さないように無視を続けるが、騒がしく賑やかな商店街を歩く度に何処からともなく視線が飛んでくる。
こんなにも注目されたのなんて当然経験がなく、慣れていない俺は自分でも気づかない内に汗をダラダラと垂らし、目がぐるぐると回っているような感覚が絶え間なく襲ってくる。
ううう…何でこんなに見られてるんですか…
焦る俺は心の内で口調が変わってるのにも気づかず、とにかく目当ての場所を一秒でも早く見つけようと目線を巡らす。
何故ここまで焦るのかと思う人がいるかもしれないが、もともとコミュ症…というかインドア派だった俺はそもそも人目に慣れていない。そして、今や俺は野性的感覚が鋭い狐娘…獣人だ。慣れていない視線がよりにもよって獣人の感覚によって反応し、いらぬ視線が分かるようになってしまっているのだ。それに昨日のギルドの件もある、完璧に噂の的になっているであろう人物が目の前を歩いているのだ。見ない人の方が珍しいだろう。
「……ヤバイわね…。早く見つけないと私がつぶれちゃいそう…ここまで緊張するとは思わなかったわ…」
少し自嘲ぎみに口角をヒクヒクさせ、颯爽と通りを進む。
回りから商売の声が聴こえるが、それらは全て無視だ。そんなの構っていられる状態ではない。
今俺が探しているのは服屋だ。何故服屋?と思うかもしれないが今一番に欲しいものそれは自身を隠せる代物だ。例えばローブだったりコートだったり外套だったり…まあ身体を隠せるのなら何でもいいのだが…。とにかくそれを調達しない限りはこの人混みの中で買い物出来るわけがなかった。
くっ、ホントにこのメンタルが怨めしい…ってん?
さっさと進む先にある看板が目に入る。服のようなドレスのような絵が描かれ、入口にはいろいろな服が並べられている。
「あった!」
俺は流行る気持ちを抑えきれずにスピードをあげ、その店の正面に滑り込む様にして躍り出る。
「あ、いらっしゃいませ~」
その店の定員らしき女性に俺は即座に言う。
「身を守るものをください!」
「へっ!?」
ーーー
「ああ…身を守るものってそういうことですか~」
「すみません…焦っていたものでつい…」
俺はそのおっとりとした女性の定員さんに全部は恥ずかしいのである程度の範囲でことのあらましを伝える。
「そうですね。それなら奥にあったかな~。いろいろあるので見に来てもらえるかな~?」
彼女はニッコリと微笑み自身のお店の奥を指差す。
それに俺は頷き了承し、それに満足した彼女は奥へと入っていく。
「この辺りですね~試着も出来るので気に入ったら試してみてね?」
「分かりました」
それじゃあ頑張ってね~とニコニコしながら彼女は手を振り、表の方に戻っていった。
俺はと言うと目の前にあるマントやらローブやらをいろいろと見回し、良さげな物を見繕っていく。
と言っても激しい運動に支障がなければどんなものでもいい。流石にピンクだったり黄色だったりの目立つ物は駄目だが…こういうローブ等はそこまで形が変わるものでもない。最低限、身体や服を隠せればそれでいいのだ。
まあでもフード付きで少し大きめなのがいいよな。この髪や顔を隠せなかったら意味ないもんね
と俺は肩にかかっていた髪を確認するようにすくって払う。
俺には幸か不幸か目立つ身体的特徴が多数ある。この長い茶髪だってそうだし、紅い瞳だってそう。それに頭で意図せずピクピク動く耳だってそうだし感情で揺れ動く尻尾だってそうだ。現に今だって耳はピクピクしてるし、尻尾も自己主張が凄い。
俺は人差し指を顎に当て無意識にむーと呟きながら目当ての物を探す。
「あ、これなんか良さそうね…」
そう言って手に取ったのは深みのある緑色をした外套。
その場で一度羽織ってみると巫女服がすっぽりと隠れフードも問題なく被れる。これならどうにかなりそうだ。
俺は満足そうに頷くと、その外套を持ってカウンターに赴く。
「あら、早かったですね。もしかして良いのがありませんでしたか…?」
「いえ、そんなことはありませんでしたよ。見つけるのが早かっだけです」
「そうですか。分かりました。えーと、こちらでよろしいですね?」
俺は外套を手渡し彼女はそれを確かめるように受け取る。
「もしかしてこの場で着ていかれます?」
「はい。そうするつもりでしたが…」
「そうですか。なら、包まなくても良さそうですね。外套一着で…10000ルピーになりまーす」
はい!?
「ん?どうかしましたか?」
「あ、いえ何も」
ビクッとしたのがバレたのか彼女は不思議そうに首をかしげる。それに俺はすぐさま何でもないように取り繕うが心の中では焦っていた。
予想外に高い!って…外套なんて買ったことないし…そんなものなのだろうか…この世界の通貨は日本の円とほぼ同じと考えて良い。1円が1ルピーであるとしても10000ルピーなら10000円ぐらい…。相場なんて分からないし、10000円なら安い方なのだろうか…。路銀が少し少なくなるが…仕方ないか…
自分の中だけでどうにか納得させ、俺は腰の麻袋からお金を取り出す。
「はい。ちょうど受け取りましたー。ありがとうございました~!」
会計を終え外套を受け取り、定員さんの決まり文句を背中で聞きながら俺は服屋を後にする。
日はまだ上がりきっていない。が、何だかどっと疲れた気分であった。
はい、少ないですがすみません…。ですがこれぐらいが自分にはあっているのかもしれませんね…。ちょくちょく切ってしまう私には。
一応、書いておくとルピーはこの世界の通貨です。勇者がたてた星都が発祥と言われているお金で日本円とほぼ同じ解釈で大丈夫です。詳しくはストーリー上で説明すると思うので待っていてくださいな!
と言うことで今回も読んでくれてありがとうございました!次回もなるべく早く投稿できるよう頑張りますのでよろしくお願いしますです!では、また次回!