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【旧作】 Welcome into the world [俺の妹が勇者なんだが…]  作者: 真理雪
第零章【前唱】 
3/77

◆◆◆ -(異)世界の平穏?-

 いつでもこんにちは、真理雪です。

 またまた過去の話です。こちらは、異世界の話ですが…少し書き方を変えてみました。読みやすくなったでしょうか?あ、長々とすみません…。

 では、どうぞ。




 無重力空間で何処かに引っ張られているような。よく分からない感覚…。浮遊しているようで、それでいて重力があるような変な感覚。だけど、不思議と嫌だとは思わなかった。穏やかな心境で暖かな流れに身を任す。


 (───っ!?)


 何かが俺の右手に触れた気がした。それは暖かい優しい何か。それにゆっくりと包まれていくようなそんな感覚。そして───同時に何かが抜け落ちていく感覚がした。


 (ま、待ってくれ…っ)


 俺の懇願は声になることもなく消え去った。残ったのはなんとも言えない虚無感のみ…。


 その奇妙で暖かな感覚は右手からじわじわと広がっていき…俺の身体を覆っていく…そして────







 ◆◆◆








「───やあ~キュウちゃんおはよう~よく眠れたかな~かな~?」





 俺は目を開いた、と同時に目を細める。何故なら光が眩しかったからだ。暗闇になれていない視界にいきなり光を当てられたような感じで、俺は自分に言葉を投げ掛けた人物を確認しようにも出来なかったのだ。


「───っ!?」


「ああ、眩しかった? 目覚めたときは仕方ないんだよね~。すぐ慣れるから我慢してね~?」


 俺は目の前の少女らしき影の方に、ようやく慣れてきた目を向ける。自分は何処かの草地で寝転がっているらしく、高校生のようなギャル少女はその場でしゃがみこみこちらに顔を近づけた状態だった。


「わわっ!? ち、近いっ。近いわよっ!」


「あらら~? はは~んっ。 キュウちゃんは初心だねぇ~。ま、このものスッゴク“美少女”なユノ様なんだから仕方ないかな~?」


 美少女という言葉を変に強調して宣言する彼女。そのユノと名乗った少女はフフン♪と、得意気に胸を張りながら言う。その際に少し小ぶりな胸が揺れた。


「…………」


「およ? どうかした? どうかした~?」


「いえ、何でもない…です」


 と、少し見とれていた俺は慌てて取り繕って普通に答える。しかし、何故かそこで違和感を感じる俺がいた。



 (あ、あれ?? 今何か凄く変な感じがしたような気がしたんだけど…なんだ…?)



 俺は首をかしげ妙に引っ掛かる何かに不信感を示す。


「ん~? ま、いいや! さてさて…それじゃキュウちゃん早く立った立った! いろいろと説明しなくちゃいけないからね~」


「えっ、えっ? ちょっと待ってください!」


 俺の言動に少し訝しんでいた彼女は咄嗟に移動しようと俺を急かす。俺は良く分からない状況に不安を感じ彼女を引き止めた。



 (あ…あれ? また変な感じがする…。ん? ん? どう言うことだ? 今、俺はあいつに声を掛けただけだぞ…って─────……声?)




 ふと、気づいた俺はその場で少し試してみることにした。




「あ…あ~~────って、何よこれっっ!?!?!?」




 俺の喉からでた声は男の声と遠くかけ離れた女性特有の高いソプラノの声音。まるで風鈴のような、鈴をならしたような涼やかな音色を奏でる地声。


「ああ~っ。気づいちゃったか~。ま、軽い幻惑魔法しかかけてなかったし仕方ないかな~? いやでも…────さすがに早すぎる…ね。まさかここまで予測が外れるなんてね」


「ちょ!? 私の身体に何したのよ! ───って、あれっ!?」


 俺はすぐさまその場で立ち上がり、一人でブツブツ言っていた少女に駆け寄ろうとするが、次なる問題に気づき足止めを喰らう。



「えっ!? なに!? え!? あっあー────私……()っっ!?!?!?」



 (俺の口調が!? って、一人称が!? これじゃ…女の子(・・・)そのものじゃねぇかっっ!!!!)



 俺は頭のなかで悲鳴をあげるが…その瞬間に気づいた。違和感はそれだけじゃ止まらないことに。


 やけにさらさらで、腰まで届く綺麗な金色(こんじき)長髪(・・)

 スラッとしたか細く儚げな、染み一つない白い手。男にある筈のない胸にある二つの双丘。そして─────



「───っ!?!? ないっ!? なんでっっ!??」



 年頃な少女の太股に挟まれた(その時点で気づくことなのだが)その一点。そこへ手を伸ばすが、目的のものはなくスカスカと手が空気を掴むだけだった。



「どっ、どうなって…いるの…?」


「いや~っ! どうすればいいか分からずに涙目になる美少女! あ~これだけで三食いけちゃいそう!! ヤバイねっ!」


「・・・・・・」



 涙目で俺は騒がしい少女を睨む。それに怯んだ彼女は咳払いをしてから仕切り直す。



「あ…ごっゴホン。え、えーと…分からないことばかりだろうと思うけど~ちゃんと説明するからね。そんなに不安がらなくても…いいんだよ?」


 落ち着かそうとするその少女は少し残念そうな感じに見えた。



 (……腑に落ちないことが山ほどあるが…。助けてくれた少女の前でこんな無様な格好は恥ずかしいな。いや…待て。…俺は本当に───助かったのか…?)



 俺も心を落ち着かせようと、深呼吸をする。が、ふと頭に過った思考に冷静を通りすぎて、凍りついていく感じがした。暖かい筈の日溜まりが何故だか寒い。身体が冷たくなっていく気がする。



「一つ聞かしてください…。わっ…わたし…。私はその───」



 俺の言葉に彼女はん?と首をかしげると、ああ~と納得したような顔をしポンッと両手を打つ。


「まあ、気になるよね~。うーん……。ま!仕方ないかな? 本当は場所を変えたかったんだけどね。これは私がちゃんとしなかったからだしね。うん、分かった。説明するよキュウちゃん…いや───“美凪彼方みなぎかなた”くん」


「!! わ、私のことっ。知っているんですかっ!?」


「うん、ちゃーんと知っているよ。地球の…日本という島国の扇香高校の二年生。成績は普通よりちょっと劣るぐらいで寮で一人で暮らしている。親からの仕送りは貰ってはいるけれど踏ん切りがつかなくて使えていない。しょっちゅう訪れる義妹には親の金だと言い張ってバイトで貯蓄したお金を使っているんだよね。それとそれと~」


「っ!? もういい! もう言わなくていいからっっ!!」


 俺はたまらず制止の声を上げる。別に疚しいことはしていない筈だったが、無性に恥ずかしくなってきたのだ。



「ふふっ。まあ、それはさておき。ここからが本題だよ~?───心の準備はいい?」



 彼女は俺の顔を真っ正面から見つめ。一度言葉を切る。


「うん、大丈夫そうだね。それに、貴方はなかなか勘も良さそうだから薄々感ずいてるかもしれないけど。改めて、言うね?」



 こくっと俺は何も言わず最小限の動作だけで同意を示す。





「貴方、“美凪彼方”は地球上で死亡しました。もう、貴方が知っている、大切で掛け替えのない世界には、もう二度と、戻ることはできません」





「────っ!!」






 俺はぼやけてくる視界で歯を食い縛りながら涙を溢すまいと拳を作る。食い縛っても溢れてくる涙に俺はどうしようもなく彼女を睨んだ。それは俺のただのプライドの為だ。そうしないと溢れてしまいそうで、瞬きすらままならない。俺はどうしても出てくる喘ぎ声をどうにか止めるためがむしゃらにしゃがみこむ。


 恐ろしかった。悲しかった。


 いろいろなことがあってそれでも確かに踏みしめてきた俺としての人生が、美凪彼方としての世界が、突如として崩れ去る。自分自身の死なんて、思っても見なかったことで、考えもしなかったことだ。そしてそれは、途方もなく…苦しく、痛い(・・)ものだった。



 (遥…。勇二…。親父…義母さん…皆…。もう、もう…二度と会えない、なんて───)



 胸が張り裂けそうな悲しみ。とても耐えられそうもない悲壮感と絶望感にもがいている俺の頭へ、そっと触れるものがあった。それは、暖かな手。俺の頭を優しく撫でる目の前の彼女は優しい口調で囁く。



「貴方は本当に強い子だね。泣いてもいいんだよ。悲しいときは誰だって泣いてもいいんだ。人の涙は乗り越えるための涙。悲しいことも苦しいこともそれがあるから人は乗り越えられるんだ。だから───泣いても…いいんだよ」



 彼女は天使のような柔らかな微笑みで俺を見やる。それをぼやける視界で見上げた俺は止まらぬ嗚咽を鳴らしながら、溢れ出る悲しみを吐き出すように彼女の胸の中で、泣き叫んだ。







 ーーー



 




「どう? 気が済んだかな?」


 彼女は微笑みはそのままに首をかしげ聞いてくる。何分、何十分ほどか泣いた俺は目を赤くはらし、しぐしぐしと目を擦ってそれに黙って頷いた。


「ふふっ。もう…。そんな拭き方じゃ美少女が台無しだよ~? と、まあそれはさておき。そろそろ説明しないといけないよね。───貴方はこの世界に転生して上級神キュウビ(美少女)となりました! パチパチパチ~。とまあ、女の子だから慣れないことばかりだろうけどね!」


「…えっと。…上級神? キュウビ…?」


 うんうんと俺の目前で満面の笑みを湛えしきりに頷く彼女。

 たぶん女になったんだろうなとは密かに思ってはいたが、聞きなれない言葉に俺は聞き返した。


「そ! まあ、何故か気づいてないっぽいから~。ふひひ♪ 触っちゃうね? そっちの方が手っ取り早いし~。何より楽しそうだし~♪」


 いつの間にか楽しそうにニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべる彼女は、両手を卑猥にわきわきと動かしている。





「へ? えっと…触るって何処をっ────ひゃぁぁぁぁぁっっ!?!!??」





 彼女が後ろに回った瞬間。感じたことのないよく分からない感触が伝わってきた。

 えっ!? えっ!? どこさわられてるの!?




「ええっ!? なっ、何よこれっ!? し、尻尾っ!?」



「ザッツライト! そう! 狐の尻尾だよ~。“キュウビ”は獣人の守り神だからね! ちゃんと9本あるから!! 安心してねっ。ほれほれ~♪」



「うっちょっ…やっ…やめ…んっ…あう……──────」




 奇妙な感覚に慣れず、妙に艶のある声を出してしまう俺。は、恥ずかしい!止めてくれ!と、声にならない悲鳴を出す俺を弄るのがよほど楽しいのか、彼女はフフフーンッ♪と、適当な鼻唄を歌いながらご機嫌に尻尾をもふもふしだす。



「まあ、今回はこれくらいにしてあげるか~。あ~あとそれから~♪ にしし…」



 と、楽しそうに次は前に回りこむ。それに俺は警戒するが…。




「っ! 次は何をっ─────ぴゃっっっ!!!!??」




 また妙な感覚!? 次は頭から!?



「これは…ま、まさか…」


「そ~耳! ケモ耳だよっ。狐のね~。って話が進まないから仕方なしに今回は弄らないでおいとくけど~。貴女は獣人の守り神“キュウビ”。“上級神”でありそして、この世界で唯一の───“調律者(・・・)”でもあるの~」


 そう言いながら彼女は綺麗にクルッとターンを決めながら俺ことキュウビから少し離れたところに移動する。



「こほんっ…。そういえば、ちゃんとした自己紹介がまだだったよね? 私の名は──“ユノ”。この世界では一応、“創造神”にあたります。一番偉い神様だよ~。敬え敬え~。ふふっ♪ これからよろしくねっ。キュウビちゃん! 略してキュウちゃんっ!」



 このチャラチャラした美少女は、楽しそうで優しそうで、それでいて暖かい満面の笑みを湛えた美少女。どこからどう見ても神様に見えない“創造神ユノ”は転生した俺────“キュウビ”に向けてそう宣言したのだった。





 どっどうでしたでしょうか?

 感想ありがとうございます。少し参考にさせてもらいました。読みやすくなったでしょうか?

 やっと次回から本編に入ります。前置きが長かったでしょうか…?

 すみません、次の投稿は少し時間が開くかと思います。

 よかったら感想お願いしますね。軽い感じで構いませんので…。

 今回も読んでくれてありがとうございました。では、また次回で会いましょう。

 



 12/7に少し書き換えました。ストーリーは変わっていませんので一度読んでくれた人は読み直さなくても大丈夫です。


 11/25 サブタイトル修正しました。


 2020/4/26 改めて書き直しました。

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