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【旧作】 Welcome into the world [俺の妹が勇者なんだが…]  作者: 真理雪
第二章【辺境の街 カノン】
27/77

022 - 夢の中で -

 はい、続けてこんにちは!真理雪です!え?分かってる?はいそうですよねすみません…。

 と、言うことで二連続投稿です!今回もごちゃごちゃとお話パートですが…楽しんでもらえたら嬉しいです!では、どうぞ!


 この浮遊感は何だろう…。どこかで感じたような身体が宙を漂い、重力で押さえつけられていた髪や服、自身にかかっていた重さがなくなり意図しなくともふわふわと自然に動く。

 突然、足が何かに当たる。いきなり足場だけその場に出来たように俺は降り立つ。


「───ここは…」


 俺は視線を巡らし辺りを見回す。その際に長い薄茶色の髪が引っ張られるように不自然極まりない動き方をする。ここには重力と言う概念がないらしい。


『ハロハロ~。久しぶり~元気にしてた?キュウちゃん!』


 俺はその声で振り向く。そのイラッとする口調。その呼び方。その一言で俺は理解できた。


「何で貴女がここにいるのよ。創造神(ユノ)


 俺が向いた先、浮遊するようにしてそこに存在していた異質な存在。脱色した先っぽがカールしている金髪にやたらとぱっちりした瞳、長い睫毛。整った顔立ちだがどこにでもいるようなギャルのような見た目の女性。その女性が口角を弓形に引き上げながらこちらにビシッと親指を立て、腰に手を当てて言う。


『久々に登場しました!創造神ユノここに参上!』

「登場と参上は同じ意味よ」

『わかってるよっ。こういうのは雰囲気なの!雰囲気!分かった?』

「はいはい、分かったわよ。貴女も相変わらずね…」

『そう言うキュウちゃんもね~』


 ニヤニヤニコニコと見馴れた笑顔を晒しながら彼女は俺の立っている場所に辿り着く。


『ほいっと、華麗に着地っ』

「……。で?何の用よ。こんな所に呼び出して」


 俺は近場まで近づいてきた彼女に聞き返す。このアホ神は何するか分からないので用があるなら早く終わらしたいのだ。


『まぁまぁ、そんなに急かない急かない。まだ時間あるしね?(わきわき)』

「……。いや、手を卑猥な動きさせながら言わないでくれる?変態にしか見えないわよ」

『ふふふふふふふ…』


 目を半眼し、凄く冷ややかな視線で見詰めながら俺は言ったが彼女はそれを意にも返さず一層、距離を詰めてくる。


「…これ以上近づいたら貴女でも断ち斬るわよ」


 俺はジリジリと後退しながら腰に手を回す。


『ふふふふ…出来るものならやってみなさいな~?』

「貴女ね…。いいわよやってや────ってあれ!?」


 俺はいつもの様に抜き打ちの構えを取ろうとする────がいつでも腰にある筈のあるものの感触がなく慌てて振り向く。


「なっ!?桜がないじゃない!どう言うことよ!」

『ん~そりゃあ、ここは夢の中だし、一緒に持ってくるのも面倒なので現実(あちら)に置きっぱだねぇ~』

「貴女って人は…」


 俺は怒りを通り越して呆れ、笑みをひくつかせる。


『とっ言うわけで!覚悟!』

「はい?」


 ガシッと腕を取られる俺。


「ちょっちょっと待ちなさいっ!」

『待てるわけないよっ』

「ひにゃーーーーーー??!!!」



 ーーー



「…で?何の用よ」

『なひゅらなひゅてもひひのひ…(殴らなけてもいいのに)』


 俺の質問に愚痴で返す両頬を盛大に腫らした美少女(?)。


「うるさいわよ。貴女が止まらないからでしょうが」

『だって久しぶりのキュウちゃんなんだもん』


 はぁ…と強制的に脱がされた白衣(しらぎぬ)を着直しながら盛大に溜め息をつく。


「久しぶりって…まだたったの数日じゃないの…先が思いやられるわまったく…」


 俺は再度溜め息をついてからそれにしても…と続ける。


「何でこんな面倒な呼び出し方をしたのよ。貴女ならもっと簡単な方法もあったでしょうに」

『? そりゃあ貴女をもふもふしたかったからだよ?』

「当たり前の様に言わないでくれる…?」


 俺は不思議そうに小首を傾げる彼女に呆れてしまう。


「まあ…いいわ。早く要件を言いなさい」

『仕方ないねぇ…』


 彼女は物足りなそうに両手をわきわきさせながら項垂れるがやっと言う気になったようで細々と話始める。


『降天球って知ってるよね?』

「降天球?」


 俺は鸚鵡返しに聞く。


『うん。"降りかかる災悪の珠"降天球。私はこれを回収もとい破壊しなければならない。それは貴女も分かっているよね?』


 俺は無言で頷き、続きを促す。


『運良くか運悪くかそれがあると言う噂を耳にしてね。今エルフの国にいるの』

「エルフの国…なるほど…だから、こんな呼び出し方をしたのね」

『そう言うこと~』


 エルフの国、アトランティス────別名、水の都。

 その世界一美しいと言われる国は巨大な湖の上にあり、魔法と魔術によって機能している。その湖の中心には世界に数本しかないと言われている世界の柱たる存在、世界樹が鎮座しており、エルフたちはそれの恩恵により生活しているのだ。

 そんな魔法と魔術が通常化している国で、易々と不可能(・・・)と思われている通信魔術を使えばどうなるか…。


『使えないよね~あんなに何重も結界まで張ってるのに、流石にあれを掻い潜ってまでやろうとは思わないよね~出来るけどねっ』

「はいはい、分かったわよ凄い凄い。で?エルフの国に降天球があるというの?」


 降天球───それは災悪が寄り集まって出来たこの世界の負の産物。それは在るだけで負を撒き散らし邪を引き寄せ、魔を狂わせる。この世界の負の側面…それこそが降天球だった。


「何で寄りにもよって世界樹があるエルフの国にあるのよ。普通、そこに在ることすら出来ないはずでしょ?」


 世界樹は世界の柱。負の産物である降天球とはまったく逆の聖なる魔力(マナ)が溢れ出る場所なのだ。そこに負の魔力が溜まることはない。

 俺は眉を寄せ納得できずに訊く。それに彼女は困ったように両手を広げ────


『そのはず…何だけどね』


 分からないと言う風に首を振った。


『この頃不可解なことが起こりすぎてるんだよね…『陰』も何処からともなく出てくるし、魔族の動きも不可解…だしね…』

「? 何よ魔族がどうしたのよ」

『ああ、いや…うーん、確証があるまで伝えるのは止めておこうと思ってたんだけど…』


 彼女が言うには魔族…と言うより魔王軍と言った方が分かりやすいか…。魔王軍は王都への奇襲が失敗に終わった後、大きな動きは見せていないらしい。相変わらず初代の勇者が建国した星都とは小規模な小競り合いが続いているものの、それ以上のことは起こっていないらしいのだ。


「……。何だか不気味ねそれ…」

『だよね…私もそう思うけど、これ以上探りを入れたら存在がバレそうになっちゃうからね~どうするかは貴女に任せるよ』


 その言葉に分かったと俺は頷き、それを見た彼女は話を元に戻しまた話始める。


『と言う訳でわたしはこちらで降天球をお探し中なんだよ~。ところで、そちらは大丈夫そう?』

「ええまあ…今のところは大丈夫そうね。ギルドカードも手にいれたし、後は王都に向かうだけね」

『そかそか~ならよかったよ♪』


 彼女は安心したようにいつもとは何か違う優しげな笑みを見せる。何だかんだ言っても心配させていたようで、何だか申し訳なくなってしまう。


「悪いわね。心配させて…」


 俺は目を背け、言う。


『ん?……ビシッ』

「あいたっ!?」


 いきなり頭に衝撃が来たことで俺はそこを押さえながら叫ぶ。


「ちょっ何するのよ!」

『心配するのは当たり前だよ』

「え…?」


 俺の目の前にいる彼女はその臙脂色の瞳をこちらに真っ向から向け、しっかりとした口調で言う。


『私は貴方の了承も得ずにこの世界に生を与え、自分勝手な理由で貴方に使命を強いてしまっている。私はそんな貴方にね本当は幸せになってほしいと思っていた。この世界に馴れたら自由に生きてほしいと思っていたの…だけど、結局私は貴方に頼ってしまった調律者(キュウビ)の使命に漬け込んでね』


 彼女は目を細め申し訳なさそうに言う。


『だけど、貴方は私を助けると、この世界を助けると言ってくれた。しっかりと自分を見つけ自分だけの道を歩けるようにといろいろ勉強させてきたけど…原因はどうであれ貴方は…この生き方を取った。いつも嫌々ながらもホントに困ったときは助けてくれるお人好し。そんな貴方だからこそ私は心配してしまうんだ』

「…………」

『でも、そんなに重く考えることもないよ?誰だって心配はするもの何だからね大切な人なら尚更。人だって神だって考えることは同じなんだよ。だから、貴方は気に悩まずしたいようにやりなさいな。ね?』


 彼女は先程の真剣な表情から一転、いつものニヤニヤした笑みでウインクしながら話をそう締め括る。


「………ふんっ。本当に…馬鹿ばっかりよ」

『おやおや~?何故後ろを向くのかな~?』

「うるさいわよっスルーしなさいよ!スルーを!」


 ほんっとにデリカシーの欠片もないやつだなっ…でも─────


 "したいようにやりなさい"か…はっステラさんに良くいったものだな俺も…悩んでるのはお互い様なのにな…


「そういえば、貴女いつの間に神託なんて告げてたのよ。あれ貴女よね?」

『へ?神託???』


 俺はそういえばと彼女に聞く、狐の里とは俺はノータッチだったのでそういうことは彼女しかやれないはずなのだ。


何惚(とぼ)けてるのよ…貴女しか出来ないでしょうが神託なんて」

『えーと…えーと…ははっ忘れちゃったなー』

「はい?貴女ね…ああ言うことをしたなら先に言っときなさいよね…」


 はははーと惚けたように彼女は笑いながら謝ってくる。俺はそれに少し違和感を覚えたが、諦めたように溜め息をついた。

 

「そろそろ時間もないわよ。空も白みかかってきてるわ」

『わお、ホントだねぇ~やっぱり貴方といると時間がたつのが早いなぁ~』


 彼女は染々とそう言いながら辺りを見回している。

 この空間はもうそろそろ終わりに近づいている。始めよりも白く明るくなってきているのがその証拠だ。ここでは時間の流れが違うがいつの間にか大分時がたっていたらしい。


『まあ、仕方ないか。また何かあったら呼ぶよ。それまで我慢しててね?』

「別に我慢するほどでもないけど…」

『ふふっ相変わらずだねっ。ああ、最後に…降魔には気を付けてね…』

「! はぁっ!?降魔!?」

『うん、そ!まあ、全然確証がないから一応ね一応っ』


 そう言いながら彼女は手を振る。


『またね~!』


 そうして、俺の意識は途絶えた。



 ーーー



 そして何もない空間。そこに取り残されたように彼女は突っ立てる。

 大きく振っていたその右手を彼女は顎に当てて、考えるような素振りを見せる。


『………。やっぱり悩んでいたね…外に出たら何かしら変わるかと思ったけど大丈夫かな……。んーでも、まだ旅は始まったばかり。どうなるかは分からないか…』


 彼女は一度独り言を止め、それにしてもと誰ともなく呟く。


『神託かぁ…いつの間にやったのかなぁ。全然気づかなかったよ。知らなかったってことはまだ正体を隠してるってことでいいのかな~?』


 彼女はこちらに突然振り向く。

 

 わたしは驚き慌ててその空間から消えた。


『ほんっと何してるんだか…』


 彼女はやれやれと嘆息しながら呟く。そして、その空間の限界と同時に跡形もなく消滅した。

 

 いろいろと言葉が出てきましたが…ストーリー上で説明していますので大丈夫かなー?降魔についてはまた後程…。


 次回は街に出ていくかと思います!多分!


 そういえばブックマークが500件越えました!ありがとうございます!まさかこんなに見て貰えるとは思っていませんでした…本当に嬉しいです!


 今回もありがとうございました。休講したり投稿がスッゴク遅かったりして本当に申し訳ないのですが…読んでくれて本当に嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします!では、また!

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