016 - 一波乱 -
いつでもこんにちは!真理雪です!お久しぶりな方はお久しぶりです!始めての方ははじめまして!真理雪と申します!ようやく…ようやく復活です!………いや、完全復活には至らなかったのですが……半年…いや、一年ぶり?…コホンッ…えっと…今まで投稿できず申し訳ありませんでした…諦めていた方々が大半かと思われますが…また読んでくれると嬉しいです。あ、すみません前書きでまた長くなっちゃってますね…まだ伝えたいことがあるのですが…それは後書きに回しましょう!いつもどうり拙い文章で申し訳ないのですが…では、どうぞ!
「では、用意してきますので少し待っていてくださいね」
俺ははい、分かりましたと頷きながら受付の奥に引っ込む赤いポニーテールの少女を見送る。
ギルドカード、またの名を冒険者カード。俺は今それを手に入れる為、手続きをしている最中だ。ギルドカードと言えば地球には存在しないものではあったが…漫画や小説などファンタジーの中では必須アイテムと言ってもいいほど良く出てくる代物だ。しかし、この世界では単に紙に書いた物だとか木製の物だとかそう言う簡単に手に入れられる物でもなければ簡単に作れるものでもないらしい。
彼女が言うには本当はもっと簡単な物でもよいのではという案があったらしいが…魔術が発展して行く度に偽造ギルドカードというものが出回り始めた。その為、また仕様を変えて作り直し…ということが度々あったそうだ。なら、偽造出来ない物を作ろうと言うことになったらしいが…それも始めて魔術を使った試みであったため利便性をより高めるためにいろんな機能を付けてしまい、その分作るのが面倒になりそれに比例してコストも増大し…一時は一日に発行できる数が数枚だけ…と制限されてしまうことがあったそうだ。
こういう辺境ではさして問題でもなかったらしいけど…ね…
王都などの大きな街だったり、都会だったりすると冒険者になろうと思う人たちは多い。その結果なりたくてもなれない人たちが続出。困り果てた冒険者ギルドの関係者たちは結局、自分自身の魔力を使用する魔力証明が出来るだけのシンプルなカードを作り対処したそうだ。
「それが作りやすくてコスト削減もできて使いやすい!ってことで定着してこれになったんですよ。まっ今のでも結局は高価な物なのでなくさないようにしてくださいね」
「はっはあ…そうなんですか。分かりました」
俺は碧色の水晶に自分の魔力を少し流しながら相槌をうつ。
それは手のひらにすっぽりとはまるぐらいの大きさで、それよりも一回り大きな四角い台に埋め込まれている。これがカードを作るための機械?らしい。
「これは魔力結晶なんですか?」
俺はふと思ったことを口にする。
魔力結晶と言えば結晶の内側に魔力を溜めることが出来る代物だ。ちょうどステラさんが持っているロッドに埋め込まれている物と同じ物で、それは自身の魔力や他人の魔力を貯蓄できる物で高価ではあるが…いろいろな場所で気軽に使えるため人気が高い。ちょっと出来る術士なら違う使い方も出来るので冒険者たちにもよく使われているようだ。
「そうですよ。この魔力結晶に魔力を取り込みそれを特殊なカードに馴染ませるんです」
「特殊なカード…ですか?」
「ああ、それは秘密です。企業秘密ってやつですね」
俺が首をかしげて鸚鵡返しに聞くと彼女は人差し指を唇に当てしーっと愛らしい仕草をする。
「あ、これぐらいで大丈夫ですね。もう、止めてしまっても大丈夫ですよキュレアさん」
彼女は差し出していた魔力結晶に蓋をし、それがすっぽりと入るぐらいのケースに仕舞いこむ。
「カードが出来るまで少し時間がかかるので待っていてくださいね。あ、もし何か出かける用事があるならまた戻ってきてくださいね。一応、受付の終了時間は夕刻ですが受け取りや依頼報告などは出来ますので」
「はい、分かりました」
「ではでは~」
俺はそそくさと奥に消えていく彼女を見送り、肩をすくめる。
これでよかったのかな…?
今更ながら心の中だけで呟く。
セーラさんやハウルさんに流されるままC-ランクなるものになってしまったが…どうなんだろう…
「……………はぁーー…考えても仕方ないわね今更…」
「おーい、キュレアちゃーん!」
俺はその声に反応し振り向く。そういえば、彼女たちを待たしているんだった。
声がした方に向くとステラさんが少し手をこちらに向けて振っているのが見えた。俺は少し小走りに彼女らが取っていた四人席を目指す。
「で、どうだった?キュレアちゃん」
「はい、作れるまで少し時間があるので待っていほしいと言われました」
「ああ、やはりですか。では、どうしますか?そこまでかからないと思いますが…先に宿へ行きますか?」
ステラさんが聞き、俺の答えにセーラさんが納得するように俺に聞き返してくる。
「そうですね…私は特に急ぎの用事はないので待っていても構わないですが…?セーラさんたちに用事があるならそちらを優先させてもらっても大丈夫ですよ」
「そうですか…では、先に素材の換金でも──────」
「おおう、セーラじゃねぇか!帰ってきていたなら言えよな、分からねぇじねえかっ!」
と突然セーラさんの言葉に横入るように野太い声が発される。
「っ!」
セーラさんの表情は変わらなかったがそれでも彼女らの空気が変わったことだけは分かった。
………?…何だ…?
俺が声のした方を向くと大きく筋肉質な男性がのしのしとこちらへと向かってか来ているところだった。その後ろから似たようなひょろっとしたの男性二人もついてくる。
人数は三人、全員男性だ。
「おう、セーラお疲れさんだったなぁー?こんなチビどもと魔獣退治とは大変だったろ?」
何だ…こいつ…感じ悪いな…
こいつの第一印象は最悪だった。話の途中に横入りしながら詫びすら入れず、ずけずけと話し出す。しかも、俺たちを無視しながらだ。
「………いえ、そんなことはありませんでしたよ。皆さん優秀でしたので。どこかの誰かさんのような物に頼りっきりの人より何倍も頼りになりました」
「ほう…こいつらがねぇ…ククク…」
セーラさんと話している筋肉質の大男はニタニタと嫌な笑みをその顔面に張り付けステラさんたちを見る。
彼女たちは緊張した面持ちではあったが負けてはおらず、睨み返したり無視したりしていた。
………なるほどね……
俺はそれで納得する。こいつらはこのパーティにとって邪魔な存在であるらしい。
「そうかそうか…なるほどなぁー?」
「なんですか?もう、用事がないなら帰ってもらいたいのですが?こちらにはまだしなくてはならない事があるので」
「まあまあ、そう急くなよ。ところで、セーラ?こいつらは頼りになるってさっき言ってたよなぁ?」
「? そうですが…それが何か?」
彼の唐突な話題変えに少し戸惑いながらもセーラさんは聞き返す。
「なら、この俺様がどれぐらい成長したか見てやるよ」
「はぁ!?何を言っているのですか?」
「何をって?だから、お前よりもランクの高いBランクのバギー様が戦って見てやるって言ってるんだよ!」
……………
「何故貴方がそんなことをするのですか?貴方には関係ないことでしょう?」
「何だ何だ~?自信がないのか?それはそうだよなぁ~?前にもしてやったが、あの時は俺様の圧勝!はっはっはっ!そりゃあ、あの有名なセーラ・アルタイルでも尻込みするよなぁ!」
「………っ…」
このバギーとか言う大男は吐き捨てるように言う。そして、後ろの二人も存在感は薄いが口々に煽り文句を発してくる。
ポーカーフェイスを保っていたセーラさんは苦虫を噛み潰したような悔しそうな表情をし、耐えるように握り拳を作る。
「おう、どうしたんだ?セーラ?お前はこんなガキどもにうつつ抜かしてる場合じゃねぇだろ?お前にはガキどものお守りすらままならねぇんだからよ!とわいえ俺様とお前が組んだら勝てないものなんてねぇ。そんな弱っちいガキなんて捨てて俺のとこに来な」
「「「「!」」」」
その言葉にこの場の全員が反応した。ギンさんやルナさんにステラさん、そして当然のごとくセーラさんまでも動こうとする。しかし、それらよりも早く動いた者がいた。
「待ってください」
凛とした澄んだ声。その声が注目を集めていた彼らよりも注目を集め、ガヤガヤとしていたギルド内部を貫くように駆け巡る。
「…何だお前?」
男性は今しがた気づいたように俺を睨むように見る。普通なら怯むような視線に俺は真っ向から見つめ返した。
「貴方の目は節穴ですか?初めからいたでしょう。その目付きの悪い眼は何を見ていたのですか?」
「なっ何だと…このガキ…」
俺の思いもよらぬ返答に大柄な男性は青筋を立てる。
「………可愛い顔しながら言うじゃねぇかこの獣人風情が…」
「…………」
獣人風情…か…
「セーラさんが言ったことは本当ですよ。貴方の力は知りませんが、少なくとも貴方よりは頼りになります」
「ああ?何だと?」
「目も悪いくせに耳も悪いんですか?もうどうしようもないですね」
「ああ!?何だとこのくそガキ!!一緒にいるってことはこいつらの仲間なんだろう!?なら、てめえはどうなんだ?!ああ!?俺が見極めてやってもいいんだぞ?おお?」
振りかぶったその腕をギリギリのところで止め男性はそう吐き捨てる。
「いいですよ。受けてたちます」
「ちょっ!?キュレアさん!?」
俺が男性を睨み付けながら頷くとセーラさんたちが驚いたようにあわてふためく。
「ダメだよキュレアちゃん!そんなことしちゃ!」
「そうよ!貴女がすることはないわよ!」
ステラさんやルナさんが口々に俺を止めにかかるが、俺は止まる気はない。…まあ、理由なんて誰でも分かるだろう。
「私は止めません。仲間を馬鹿にしたこいつらを…見逃すなんて出来るはずないでしょう!!」
『へぇ~よく言い切ったわね!関心関心』
俺が言い切ったその瞬間。パチパチパチと誰かが拍手する音と共に俺と同等のいやそれ以上の凛とした声が響いた。
「え?」
「その声は!」
俺たちが振り向いたその先には…いつ入ってきたのか…いままでいなかった人物が楽しそうに笑いながら立っていた。
その人物は美しい蒼色のロングヘアを靡かせ、言う。
「思う存分やっちゃいなさい!」
だっ誰!?
はい、どうでしたでしょうか…?久しぶりすぎて矛盾しているところがあったりするかもしれません…その時はすみませんが一言言ってもらうか温かくスルーしてもらえれれば幸いです。
今回は短めだったと思います。いつも5000字ぐらいを目処に書いていたのですが…仕事の都合で…やはり書く時間が減っているので少なくなることが多くなると思います。本当にすみません…。
そして、投稿はやはり遅くなると思います。スローペースと前にも言っていたとは思いますが、今回もそう考えてもらっていたほうがいいと思います。もう『あ~そういえばこれもあったな一応見ておくか~』ぐらいの頻度で見てもらったほうがいいかもしれませんね。
そういえば、少し前にこっそりと第九話だったかな?新しく差し替えた話があるので見ていなかったらそちらも読んでくれれば嬉しいです。
いつもいつも長くなってしまい申し訳ないのですが…ここまで読んでくれてありがとうございました。今回もスローペースにはなると思いますが!頑張って書いていきたいと思いますのでどうかよろしくお願いいたします!では、また次回お会いしましょう!
・魔力証明-魔力は人によって異なる為、それを逆手にとってあらかじめ保存しておくことで誰の所有物か分かると言うもの。魔術が発展してきてから出てきたものだが今ではどこでも使われている。