011 - 森の中で -
いつでもこんにちは、真理雪です。
すっごくお久しぶりです。遅くなってしまいました…申し訳ありません…。
というわけで今回は短いです。もう少しかけるかな?と思ったのですが…切りがいいのでそして、これ以上書いたら長くなるので今回は本当に短いです。
そういえばもう少しでX'masですね。もうそんな時期になったんですね…皆さんはどう過ごされますか?当然自分は仕事ですはい。
まあ、そんなのはさておきいつもどうり拙い文章で申し訳ないのですが…では、どうぞ。
カノンの街は通称辺境の街とも言われ、霊峰南東部の外れに位置するトランキロの森の近隣にある。その森をそのまま抜けたところにあるのが小さくとも活気のある街、カノンの街である。王都から遠くかけ離れているため交通手段が少なくわざわざ遠いこの場所に来る者たちは少数であった。しかし、トランキロの森は霊峰の生存競争に負け逃れた魔獣や動物たちがたくさん住んでおり、尚且つ霊峰近くの土地であるため良質な素材になる物が豊富であった。そして、それらを求め冒険者や商人などがやって来るようになり辺境と言われてはいるがそれは昔の話で今ではそんな言葉を思わせないほど賑わっており活気のある良い街になっていた。
とはいえ、わざわざこんな遠い辺境の地に取りに来ずとも直で霊峰に素材やらなんやら取りに行けば良いのではと思うかもしれない。が…霊峰は危険すぎて誰も近づかない…と言うか近づけさせないようになっているのだ。その理由は大きく分けて二つ。
一つ目は魔獣が極端に強力強大なこと。これによりA-ランク以下の冒険者などはまず侵入することができない。A-ランク以上でも勝てるかどうかも分からない魔獣たちがゴロゴロと存在しているのだ。近づける筈がないし、そんなのに相対すれば逃げのびることすら可能か分からない。そのような理由で冒険者ギルドは霊峰を特別危険地帯とし特別な理由でもない限り近づけさせないようにしているのだ。
もう一つの理由は、この世界で有名である上級神であり守り神でもあり、そして一番神に近い神獣とも言われている神様『キュウビ』が住んでいると言われているからだ。確証はないらしく誰かが根拠もなく言い出したものと世界では公言されているが、近くにそのキュウビを守り神とする狐の里があるため一概に間違いだと決めつけられないようだ。
「ええ!?キュレアちゃんって狐の里から来たんじゃなかったの!?」
「ええ…まあ、そうですね。この巫女服ではそう思われても仕方ないとは思いますが…」
俺は隣を歩く大袈裟にリアクションをする紫色の美しい髪をした少女、ルナさんに昨日の夜中にステラさんにも話した一応、嘘ではない作り話を説明しながら森に作られた細い獣道のような道を歩いて行く。
「それなら何で巫女服なんだ?巫女に所縁があるとか?」
「いえその…別にちゃんとした理由があるわけではないのですが…」
銀狼族のギンさんが俺の方に振り向き問うてくるが、理由なんて聞かれても本当にないのだ。転生したときからこの服装だったのだ…しいて言うならそれが理由であろうか?初めは女性ものの服や下着を着るのは凄く抵抗があった。しかし、この十年でそんな抵抗は気づかないうちに薄れしまっていた。
「別に服装はいいんじゃないかな?どんな服にしろキュレアちゃんはキュレアちゃんだし」
「まあ、それはそうなんだけどな…」
ステラさんが俺に助け船をだし、ギンさんは渋々ながらも納得したようだ。
「そういえば、キュレアは歳はいくつなんだ?俺たちより歳下に見え――――いだっ!?」
俺に向けて言葉を発していたギンさんは突然奇声をあげる。ギンさんが履いていた銀と黒のブーツをルナさんが踵で踏みつけていた。
「何すんだ!地味に痛い!」
「アンタこそ女の子に何聞いてるのよ!失礼でしょうが!」
「別にいいだろ!?年齢ぐらい!なっ!?」
「えっ?わっ私ですか?…えーと…私は構わないですけど…」
まさかいきなりこちらに振ってくるとは思わなかったので俺は少々驚いたがどうにか答える。
「ほら見ろ!」
「なっ!?ダメよキュレアちゃん!軽々しく年齢を教えちゃ!」
「え…えーと…?」
してやったりと言う表情でギンさんはニヤニヤとルナさんを見る。それに納得できない彼女は食って掛かるように俺に詰め寄ってくる。
「はぁ…はいはいそこまでですよ。キュレアさんが困っているでしょう?」
それに見かねたセーラさんがため息混じりに止めに入ってくれる。セーラさんの鶴の一声に二人は渋々ながらも怒りを鞘に納め落ち着く。どうすればいいか困っていた俺はほっと胸を撫で下ろした。
「そういえば…あたしたちを治療したのってキュレアちゃんだったのよね?ステラも使えるけど…回復魔術って珍しいんじゃなかったかしら?」
首をかしげながら思い出したようにルナさんは大きな魔女っ子帽子の先端をクエスチョンマークのように曲げる。どうやってるんだろうアレ…。
「わたしは応急処置が出来るだけで…回復魔術をちゃんと使えるわけじゃないよ。それに回復魔術は貴重なものでほとんど使い手がいないんだ」
「そうですね。回復魔術は元素属性の類いではないので、基本的には人類が使えるものではありません。ですが、神様に仕える者たちや精霊に近いと言われているエルフ族たち…そして、本当に稀に人間や獣人たちにも発現するらしいですね。ステラさんのように応急処置が出来るだけでも凄いことなのですが…ましてや、私たちのような重傷者を完治させたとすればそれは…何なんでしょうね?」
「………」
セーラさんは説明しながらこちらに疑惑の視線を送ってくる。しかし、俺は何も言わず黙りを決め込む。緊急事態だったとはいえやはり力を使うのは軽率だったのだろうか…。
「セーラさん!ダメだよっキュレアちゃんは一生懸命わたしたちを助けてくれたんだよ!命の恩人…それで十分じゃないかな?」
「う…確かにそうですね…。ごめんなさい…貴女が良い人なのは分かっているのですが…職業柄疑り深くなってしまって…いつもの癖が出てしまっていたようです…」
セーラさんはステラさんに止められ素直に深々と頭を下げてくる。
「え…いや、大丈夫ですよ。私こそ説明できなくてすみません。何と言うか…少し訳ありなのです…」
俺はこの人たちは悪人ではなく、そうそう言いふらす人たちでもないことは分かっていたが…ことが事なので、言いたいが言えないと言う焦燥感と騙していると言う罪悪感に抗いながらそう言う。
「謝らないでください。悪いのはこちらなんですから…」
ポンポンとセーラさんは俺の頭に手をのせながら言葉を紡ぐ。
「そう言うことなら私たちは聞きません。誰しも言いたくないことや言えないことなど沢山あるのですから。だからそんなに心配そうな顔をしないでください。このパーティは誰もそんなので避けたり嫌ったりしませんから。ね?皆さん?」
「当然よ!」
「ああ、俺もだ」
「うん、わたしもだよ。だから、気にしないでね?キュレアちゃん」
セーラさんが話を回りに振ると彼女たちは当然とばかりに肯定の言葉を口にする。
「…………ありがとう…ございます…」
この人たちは…何と言うか…優しすぎるな…
そう俺は心の内で思いながらも自分の口角が自然と上がるのを止めることはできなかった。
「やっぱりキュレアちゃんには笑顔が一番似合うわねっ!」
「そっそうですか…?ありがとうございます…って自然に抱きつかないでください」
「おお!?避けられた!何という体捌きっ!」
「はぁ…突然何をしているのですか…では、話も一段落したので早くいきますよ。午前中にはこの森を抜けたいのですから」
セーラさんは突然空気をぶち壊した相変わらずなルナさんの行動にため息をつきながらも忠告する。
「そういうのは街に着いてからにしてください。私も後でします」
「ええ!?セーラさん今何かつけ足しませんでした!?」
「気のせいです」
では行きますよと彼女は先へと進んでいく。少し納得できない所があった俺であったがさっさと森を出たいという考えは俺も同感だったので仕方なしについていくのだった。
さて、今回出てきた回復魔術について忘れないうちに補足しておきます。神様に仕える者たちやエルフ族たちが扱えると言ってましたが…その中でも使えるのはやはり少数です。回復魔術は才能にほぼ左右されるので使える者たちが何年も何年も修行してやっとこさ応急処置ができる程度なのでキュレアは全然自覚できていませんが…本当は凄く貴重なものであり重傷者をほぼ完治させるなんてことは神の領域と言っても過言ではありません。因みにステラも自覚が無いわけではないのですが…いつも自分を低く見る悪い癖があるため気づいていませんが本当は彼女も凄い才能の持ち主です。
あと、元素属性と言う言葉が出てきましたが説明すると長くなるので次回で説明すると思います。たぶん。
では、今回も読んでくれてありがとうございました!今年ももう二週間…?過ぎてますが…今年中にもう一度ぐらい投稿できたらなーと思っております。出来なかったらすみません!次回もよろしくお願いします!