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【旧作】 Welcome into the world [俺の妹が勇者なんだが…]  作者: 真理雪
第一章【旅立つ子狐】
11/77

007 - 出会いは唐突に 2 -

 いつでもこんにちは、真理雪です。

 もう三連休も終わりですね…本当に休みになると時間が早くすぎるので嫌になってきます…。

 一応、書き終えたので投稿しますね!自分的にはこの回でバトルに突入すると思っていたんですけどね…そこまで書いてしまうと完全に長くなるのでいい感じのところで切らしてもらいました…申し訳ないです…。

 長々と語ってしまいました!すみません。

 では、どうぞ!




 巨大な物がわたしたちの目の前に落ちてくる。





「────お前ら! 危ねぇっ! 避けろ!!」





 わたしたちの目の前で、人ではない異形の存在を前に銀色の刃を振るっていた銀髪碧眼の青年がこちらに向かって叫んだ。

 その巨大な物は結界に当たり、光の飛沫をあげるが…いかんせん巨大過ぎて跳ね返せない。



「───風よ穿て! ウィンドアロー!!」



 わたしのすぐ隣にいた少女。綺麗な紫色の髪を振り撒き、魔女っ子スタイルが目を引くわたしの親友が貯めていた魔力を引き絞り、風の矢に変え、解き放った。

 

 一瞬の轟音。わたしたちを踏み潰さんとしていた巨大なもの…巨大な岩石が粉々に粉砕され無力化される。


「危ないじゃないギンっ!! 何こっちに標的を移させてるのよ! ちゃんと前で暴れて注意を引きなさい!! せっかくの魔術がパァになっちゃったでしょうが!!」


「んなもん分かってるわ! でも、こっちにも限界って言うもんがある───っ!? っとあぶねっ!」


 ギンはこちらに叫び返しながら相手の攻撃をひやひやながら紙一重で避けた。


 恐らく銀狼の青年…ギンくんは体力の限界に近い。体力自慢の獣人族でも長時間の戦闘は厳しいだろう。その上今は囮役だ。目だった怪我はないにしろ体力消費は激しいだろう。その証拠に彼の息と動きがだいぶ荒くなっている。


「ギンくん!! 回復させるから注意を引き付けて! ルナちゃん! 代わりに結界お願いっ!」


「ええっ。任せなさい!」


 わたしは隣にいた魔女っ子少女のルナちゃんに結界を代わってもらい、彼を助けるための回復魔術を詠唱する。




 グァァァァァァァ……





 目の前の巨大な“岩の蛇”はわたしが何かを始めたのに気づいたようで、口しかないその不格好な顔をこちらに向ける。知能が低いとされている魔物といえど、何かをしようとしていることは分かるのだろうか? それとも、ただ魔力に引かれただけ?



「おらぁっ! こっちだ化け物! ───フレアブレードっ!!!」



 ギンくんは自分に注意を引かすため、自分の得意技を放った。

 銀色の刃から放たれた紅の炎は鞭状にしなって化け物に迫る。しかし────



「なぬっ!? 効かないっ!?」



 その炎の刃はその岩の肌に阻まれ四散してしまった。そして、その化け物は仕返しとばかりに攻撃を放ち、大きな反撃の隙を作ってしまった彼に巨大な尻尾が迫る。



「神速の風よ仇なす敵を穿て───スピードアロー!」



 凛とした女性の声。わたしたちがよく知っている人物の冷静な声が鼓膜を叩いた。

 その刹那、ギンくんに迫っていた岩の尻尾にルナちゃん以上の強烈な風の矢が突き刺さる。

 岩の魔物は予想外の攻撃と痛みに苦悶の声を響かせた。



「引き付けるのはいいですけど、もう少し属性の相性を考えてくださいね? ギンくん」



 その声は木上から聞こえてきた。

 日の光を照り返し緑の色が映える軽装の鎧を来た女性。頭から生えている白い兎の耳を揺らしながら、見下ろすような体制でこちらに話しかけてくる。その女性はわたしたちのリーダーかつ師匠たる、セーラさんだった。



「うっ…。その…悪かったよ…セラ姐…」


「ほんっとうにバカじゃないの!? 岩の魔物に火が効くわけないでしょうが! この脳筋!! もう少し頭使いなさい!」


「うっせ! 引き付けられたんだからそれでいいだろうが! あと、誰が脳筋だっ! このチビすけ!」


「なんですってっ!!?」


「ああん!? なんだコラっ!!」



 光の早さで喧嘩を始めてしまった二人。そんな暇はないはずなんだけど。喧嘩するほど仲がいいって言葉があるが、今はそうも言ってられない。セーラさんは後ろでバックアップはしてくれているが、本当ならわたしたち三人で倒すことになっているのだ。喧嘩ばかりしていたら倒すものも倒せない。


「もうっ。二人とも! いい加減にしてっ! 回復させるよっ!」


 わたしが怒ったように叫ぶと、二人はハッと気づいたように口々に謝りながら前を向く。喧嘩はするが二人とも意外と素直なのだ。


 (よし大丈夫…。大丈夫だよステラ。セーラさんもいるし回復もしたし…)


 当初の予定ではギンが前で注意を引き、その間にルナが魔力を貯めて強力な魔術を放つ。そして、ステラは回復役けんルナの護衛役としてサポートすることになっていた。


「おっしゃ! 全力全快! 覚悟しやがれっ化け物!!」


 ギンくんはわたしの回復魔術で元気を取り戻したようで、動きがさっきよりも俊敏になり元気に駆けて行く。しかし────


「? 何かしら…? ねぇ、ステラ。あの魔物…動かなくなってない?」


「え? …あれ? 本当だね…? 何でだろう…」


 わたしたちは少し目を離した隙にピクリともしなくなった魔物に疑問を抱く。さっきまでは元気よく暴れていた魔物が今はギンくんの攻撃を受けてもお構い無しだ。この妙な感覚はわたしたち意外にも伝わっていたようで…。



「この奇妙な感覚は…可笑しいですね…。ギンくん! 少し下がってください!」



 調子よく攻撃を放っていたギンくんにセーラさんが声をかける。しかし、その声にはいつも冷静な彼女に珍しく戸惑いの色が濃いように感じた。



「ええ!? 何言ってるんですかセラ姐! これこそ攻撃するチャンスじゃないですか! 今ならとどめも刺せますって!」



 しかし、ギンくんは動きが不自然に止まった魔物を見てチャンスだと思ったらしく攻撃の手を緩めない。






 その刹那…





 グォン…






 その化け物の大きな口。というよりは空洞に赤い光が宿ったのをわたしたちは見逃さなかった。


「───っ!? 下がりなさい!! ギンくん!」


「え?」


 その悲鳴のようなセーラさんの言葉と同時に、わたしたちは物理的な衝撃を受ける。それは、近くにいたギンくんやセーラさんにルナちゃん…それにわたしにも例外なく、周りにあった木々たちも容赦なく凪ぎ払われ、全てを吹き飛ばす。


 わたしの意識はそこで途切れた。







 ーーー







 ─────グォォォォォォォォォォンッッッ!!!





 轟音のような叫び声。それでステラは強制的に目を覚ました。あの衝撃で意識を失ってしまっていたらしい。

 ステラは慌てて起き上がって辺りを見る。その目に入ってきた視界に愕然とした。



「な…なんなの…これ…」



 そこには見るも無惨になった森があった。あの魔力の衝撃波のような波動が、全てを薙ぎ倒し、それが届いた範囲にはほぼ全て何もない(・・・・)

 木々たちは全て薙ぎ倒され、根っこから引き抜かれているもの、足だけ残し上だけがなくなっていたりするもの、そもそも地面から消し飛ばされたものまで…。


「ひ、ひどい…。…そうだ…皆はっ…? ルナちゃん! セーラさん! ギンくん!」


 ステラは辺りを見回しながら叫ぶ。

 その時、彼女の視界に見たことのないモノが映り込んだ。



「な…何…あれ…」



 その円状に凪ぎ払われたその中心部に岩に覆われた何かがいた。



 (気持ち…悪い…)



 第一印象はそれだった。

 それは、さっきの魔物のようだった。ステラたちが戦っていたのは岩の蛇の見た目をした魔物。名前を“ガンズロック”と言うが、クレーターのように抉れた中心部にいるそれにはどうしても決定的に違っているものがあった。


 (あれは…溶岩…? それとも…………()…?)


 黒い…。さっきの岩の魔物よりも一際黒く、焼け焦げ爛れた岩肌に、ひび割れた箇所からどろどろと溶岩のような赤い液体が流れ出ていたのだ。

 それが地面に流れ着くとジュウジュウ…と地面を焼くような焦げ臭い匂いを放っている。そのことから溶岩だと思ったのだが、あの見た目では…魔物の身体からまるで血が垂れているようにしか見えなかった。


 (とっ、とにかく…。皆を探さなきゃ…お願い…皆、無事でいて…)


 ステラはそう思い立ち、足に力を込める。



「───いっ!?」



 その瞬間、激痛によってステラはその場で動けなくなった。


 (うっ…そ、そんな足が…)


 彼女の右足は何かに轢かれたように潰れピクリとも動かすことすら出来ない。それどころか意識をし始めると激痛が身体中を駆け巡り、うずくまることしかできなかった。


「うぐ…痛い…痛いよ…」


 ステラはその激痛で涙を流しながらそれに耐える。しかし、痛い痛い…と呪文のように呻き声を出すことしか出来ない。頼みの綱の回復魔術もこれでは意識を集中できず、発動させるのも難しいだろう。


 その呻き声に反応したのか、それともそこにいることは端から気づいていたのか、その異形の魔物はその大きく開いた口から見える不気味な赤い瞳をこちらに向けた。




「うう…い、嫌…。こっちに来ないで…お願い…こないで…」




 激痛によって魔術すら使えない自分は神様にすがるように祈るしかなかった。しかし、現実はそう甘くはない。その化け物は自身の獲物を逃がすまいとズルズルと這い寄ってくる。その動きは凄く緩慢であったが、その見た目も相まって彼女の心に恐怖心を植え付けるには十分だった。

 ステラの目からは涙がこぼれ落ち最早、魔術で対抗しようとすら思えなくなっていた。


 そして、彼女の目の前に化け物はたどり着きその大きな口を一層見開く。



「嫌…みんなぁ。…嫌だよぅ…誰か…お願い…誰か助けてっ…」



 ステラは必死にその言葉を叫ぶが、その言葉は魔物の気味の悪い呻き声に掻き消される。恐怖からか目を背けられない。彼女が涙ながら見ている中、だんだんとその口は彼女に近づいていき─────






『────行きなさいっ!! 桜っ!』







 ステラは食われるその直前、凛として、そして涼やかな音色の声を聞いた。

 

「えっ…?」


 そして、彼女は信じられないものを見る。

 それは化け物のその大きな口の中にある不気味な目に、棒状の何かが突き刺さっていたのだ。


 (あれは…赤い…剣…?)




 ─────グァァァァァァァ!!!!!





 轟音。

 その魔獣の悲痛な叫びはこの森全体に鳴り響くように駆け巡る。そして、その化け物は転がるようにその場を離れた。それを見計らっていたように後ろから唐突に声がかかる。


「大丈夫ですか?」


 その綺麗な声はすぐそばで発された。いつの間にか自身のすぐ近くまで来ていたようだ。ステラはその声に反応して顔を向ける。恐らく、声からして女性、しかもまだ幼さが残るものだった。


「えっ…貴女は…」


 その人物を見てステラは固まる。その子は獣人の年端のいかない少女だった。まだ14~15歳ぐらいだろうか…。そのまだ幼さが残る顔立ちには心配そうな表情が浮かび、ステラをその澄んだルビーのような瞳に映している。


「どうかしましたか…? はっ、もしかして血を流しすぎましたかっ」


 その少女は一瞬小首を傾げ、思い付いたように言う。


「へ…? あ、だ、だだだ大丈夫だよっ。確かに血は流しすぎたけど…って、イタタタッ!」


 ステラは慌てて頭を振る。

 確かに頭はぼーっとするが、これは血を流しすぎただけではないだろう。


 彼女はその美貌に圧倒され呆然としていた。

 その少女は狐族らしく髪色よりも濃い茶色の尻尾を揺らしながら、耳をピクピクさせていた。

 その一見して奇妙な服は“狐の里”の巫女服を基調としているらしく、彼女に似合うように改造されたそれはこの少女の良いところをありありと目立たせていた。

 巫女服本来のものとは違い、袖と本体から切り離されているタイプの白衣と短めに設定された赤い緋袴“スカート”に、そこから出ているスラッとしたおみ足には頑丈そうな黒いブーツとニーソックス、従来の巫女服の形をそのままに動きやすさを重視して作られているようだった。


「あの…本当に大丈夫ですか?」


「は、はいっ。大丈夫ですよっ!!??」


 年下の筈の彼女につい敬語が出てしまうほどテンパるステラ。流石にその美貌に目を奪われていましたとは正直に言える度胸はなかった。


「そうですか…。ではとにかく、その足を治療するので待っていてください」


 その狐の少女はその細く白い手のひらをステラの足にかざし、詠唱を始める。



『───我が力の源よ。その傷を癒せ…』




 それは、聞いたこともない呪文だった。


 その優しい声色はステラの緊張や恐怖を少しずつ溶かしていき、ずっと聞いていたい衝動にかられる。しかし、それよりも驚くことがあった。


 (え…うそっ! 凄い勢いで怪我が治っていく!)


 その圧倒的な治癒力にステラは息を飲む。

 そうこうしている内に潰れていた右足はほぼもと通りになり、そして苦しんだ痛みも和らいでくる。

 

 (わたしの回復魔術じゃ流石にここまで出来ない…。時間をかけたとしても元通りの形に治るわけじゃない。こんな驚異的な回復魔術…“聖女”様並…? いや、それ以上かも…)


「さて、では私はあちらの魔物を片付けてきますね。一応、治療はしましたが完治はしてませんので、貴女は離れて休んでいてください」


「えっ!? ダメだよ! あれは普通の魔物じゃない! 危ないよっ!」


「大丈夫です。見ていてください」


 ステラの言葉に優しく微笑み返す少女は、すっと息を吸い込むとこう呟く。





「───四連刃フォースブレード一刃(いちじん)






 その瞬間、彼女の右手に、厳かに光る物が握られる。それは一振りの黄色く輝く()



 (…え? “魔力剣”…? でも、あんな形…してたっけ…)



 ステラがそれに見入っていると、それを彼女は慣れたように構え、そして、飛び出した。






 ◆◆◆







 俺は森の中を疾風の如く走り抜ける。


 (見えた! …っ!? あれは…ガンズロック…なのか?)


 円状に削り取られたかのように、そこだけぽっかりと生命の息吹が感じられないクレーターの中心部付近に岩で出来た巨大な蛇が確認できた。しかし、その姿は目を見張るもので…。


 (黒い…。そして…なんだあれ…溶岩……だよな…?)


 黒い岩肌から流れ出る赤い液体。それは恐らく溶岩のはずだった。ガンズロックは岩でできた魔物、血なんて通っていない。




   ………お願い…誰か………助けて…




 微かにだが人の声が聞こえた。

 

 (まだ生きてるっ!)


 俺はその化け物の側で動けなくなっている存在を見つける。それは、綺麗な金髪が特徴的な少女であった。

 もう既に魔物に見つけられ食べられそうになっている。


 (くそっ! この距離じゃ間に合わない! ───ならっ!)


 俺は腰に挿していた刀を抜き放つ。鞘から抜き放つと同時に、刀身に赤い煌めきが走る。




「頼むわよ。────行きなさい!! 桜っ!」





 勢いを殺さない全力での投擲。


 その刀は赤い光を花びらのように散らしながら、一直線に化け物へと駆け抜けていく。そして、それは大きな空洞へと吸い込まれた。


 一瞬の静寂の後───





 ──────グァァァァァァァッッッ――――――――ッ!!!!!!!!






 ちょうど大きな目の中心に突き刺さった“紅き刃”はそのまま化け物を蝕む。

 その急激な痛みに化け物はのたうち周り、その場を逃げるように離れて行った。


 (危なかった…ギリギリセーフと言ったところかな…。運任せだったけど…)


 その結果に俺は胸を撫で下ろし、一先ず先に彼女を助けるため、困惑している金髪の少女に近づく。


「大丈夫ですか?」


 金髪の少女はその言葉にビクッと肩を震わせ、こちらに顔を向ける。


 その少女ははっきり言って可愛かった。美人と言うより美少女という感じの顔立ち。さすがに“キュウビ”の金髪には劣ってしまうが(あれは論外すぎる…)、そのふんわりとした背中まで流した金の髪は彼女の整った清楚な顔立ちを一層引き立て、そして俺を驚いたように見つめる緑色の瞳はどこまでも澄んだ宝石のように美しかった。


 (…凄く可愛いな…俺のタイプだ…ってそんなこと今は関係ないだろ! と、とにかくっ、治療しなきゃな)


 彼女は俺を見たまま動かずにいた。それを見て奇妙に思った俺は声をかける。


「あの…どうかしましたか…? はっ、まさか血を流しすぎましたかっ」


 彼女の傷は深い。右足は形をなくしてしまっているし、至るところに怪我もしている。血が少なくなって頭が回らないのだろう。


「へ…? あ、だ、だだだだだ大丈夫だよっ! 確かに血は流しすぎたけど…って、イタタタッ!」


 彼女は動揺しながらもブンブンと首を振っている。その度にその綺麗な金髪がその場に振り撒かれる。その綺麗な金髪も汚れが目立ちもったいない。こんな状態でなければさぞや美しかったのだろう。と、惜しむ気持ちと同時に、想定よりも元気そうな様子に胸を撫で下ろした。


 (えーと……今のところ命に別状は無さそうだな…)


 俺はチラリと彼女の足の方を見ながらそう思う。彼女が回復魔術の使い手でよかった。この少女は無自覚のようだが、無意識の内に回復魔術を自身にかけ続けている。それが本当ならショック死していたであろうこの怪我をずっと緩和し続けていたようだった。



 (───しかし、流石に限界が近そうだ。…まだ、元気はあるようだが確実に魔力が無くなってきているな)



「……ではとにかく、先に貴女の足を治療するので少し待っていてください」



 と、俺は彼女に声をかけると、返答も待たずに回復魔術を始める。本当は身体全体にかけたいところだったが時間もないので先に大怪我を負っている足を集中して治療する。


「…すっ、凄い…」


 彼女は俺の回復魔術を見て感心したように呟く。本当はここまで使いたくはなかったが、ここは緊急事態。彼女たちが口が固いことを祈ろう。


「さて、では私はあの魔物を片付けてきますね。一応、治療はしましたが完治はしていませんので、貴女は離れて休んでいてください」


 俺は彼女の足をある程度回復させるとその場から立ち上がる。

 完全に回復させた訳ではないが、これで動くことは出来るはずだ。


「ええ!?…だっ、ダメだよ! あれは普通の魔物じゃない! 危ないよっ」


 俺は彼女の言葉に少し驚く。こんなに怖いおもいをしたのに他人のことを心配できるのかと。なんだか、懐かしい思いが込み上げてくるような気がした。


 その彼女の言葉に俺は微笑んで大丈夫だと伝える。そして、俺はいつもの魔法を呼び出した。




「───四連刃フォースブレード一刃(いちじん)





 俺は慣れ親しんだ感触に右手にあるものをしっかりと握りしめる。


 それは魔力で造った刀。この世界では“魔法剣”とか“魔力剣”と言われている魔法だった。

 これは俺が始めに覚えた魔法であって、そして俺には一番使いやすく、剣道を習っていた俺にとってお似合いとも言うべき魔法であった。


「覚悟しなさい。化け物」


 俺はその仄かに光を発する刀の切っ先を化け物に向け、構える。そして、俺は後ろからの制止の声を無視して、飛び出した。





 また新キャラが………何だか書いていると自然に続々と登場してしまうんですよね…まあ、いいんですが…。

 どうでしたでしょうか…?皆さんは楽しめましたでしょうか…?いつも言っていますが…少しでも楽しい…と思ってくれていたら本当に嬉しいです。明日から仕事や学校の人たちも多いと思いますが…いい気分転換になったらいいなぁと思っています。自分も明日から仕事なので…憂鬱です…orz


 ではでは、今回も読んでくれてありがとうございました!また、次回もよろしくお願いしますね!

 では、また。あ、次回はまた遅くなると思います…本当にすみません…。



・魔力剣-別名、魔法剣。自身の魔力を剣の形にし扱う初級魔法。魔術ではなく魔法であるが王都の学園など魔術学園では始めに必ずと言ってもいいほど教えられる魔法である。魔法の為、少々魔力消費は大きいがもし武器がない時や必要な時に便利であり、初級魔法であるため初めて魔法魔術を扱う者たちの取っ掛かりに最適であるので良く使われているようだ。


・魔力刀-別名、四連刃フォースブレード。キュウビのオリジナル魔法。魔力剣を発展させたもので、魔力剣のデメリットをほぼ克服させ、その上性能が上がっていたりもする。剣の形ではなく刀の形をしている。いくつかの形態があり、いろいろな状況に対応することができる。実はチート性能の魔法。キュウビオリジナルの為、今のところ使い手は彼女しかいない。






2020/7/26 全文加筆修正  (変更) 魔獣→魔物

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[良い点] 11/51 ・TS少女が剣振り回すの好きです。 [気になる点] 『岩の魔獣に火が効くわけないでしょうが!この脳筋!』 ポ〇モンですね!?こうかはいまひとつなんですね!? [一言] まっ…
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