000 -時が過ぎて-
初めてでドキドキしております。がっ頑張りますのでよろしくお願いします。アドバイスやこうすると面白いかも!ってことなどがあれば感想で書いてくれれば泣いて喜びます。では、どうぞ。
【ご注意】これから初めて読み始める方へ。
作者はものすごく遅筆です。なかなか更新されなかったり、気になるところで止まったりと、もうどうしようもないくらい遅いです。それでもいいよ! という、優しい方のみお読み下さい。しかしながら、無言でいなくなることはしませんので。それだけはご安心ください。では、よろしくお願いします。
朝日が眩しい…もう、朝か…。
「ん…ふぁ~よく寝たよく寝た~」
と言いながら彼女は今起きた布団の上で伸びをする。
金色の長い髪がさらさらと肩から落ち朝日を反射させキラキラと輝いている。彼女は頭にある黄金の狐耳をピクピク動かしながら少しつり上がった紅の瞳で辺りを見回した。
「ふぁ…変わらないわね……本当に……。こちらに来てもう十年かぁ……早いものね…」
彼女は美しいソプラノの音色で独りごちる。
よいしょっと、と誰ともなく呟きながら彼女は布団から出ると年期が入り少々色がくすんだ畳に足を踏み出す。すると同じように大きいとも小さいとも言えないバランスの良い胸が存在を主張した。
「…う~ん…本当に…これだけは慣れないわね…いや…まあ、この口調もだけどね…」
彼女は瞳を細めジト目になりながら一人呟く。
パッと見は“顔立ちの整ったスゴく美少女な狐の獣人”と思うところだ。しかし、この美しい金色の毛並みと身体中に走る赤色の紋様。そして、彼女の腰辺りから出てピョコピョコ動いている9本の狐の尻尾。
そう彼女はこの世界で言われる上級神───キュウビその者であった。
ーーー
「っ…はぁっ…冷たーいっ」
彼女は庭にある井戸の水を汲み上げ、汗がかき少しほてった身体にその水を頭から豪快にかける。
「ふぅ~スッキリした~」
やっぱり、運動の後はこれに限るな~と思いながら残った水で顔を濯ぐ。本当はお風呂とかあったらなおのこと良かったんだけど…
「ここにはないのよね…風呂場と言うものが…」
彼女は暖かな陽光を跳ね返すほどの乙女の柔肌を丁寧にそして入念に洗い流してゆく。そして───
「!! そこよっ!」
突如、彼女は徐にそばの井戸に立て掛けてあった紅い刀を抜き放ち草むらの、ある一点に投擲する。
「ぎゃぼんっっ!?」
それは見事に命中したらしく異様な悲鳴があがり次いでドサッと言う音が聞こえた。
「ほんっとに懲りないわねっ!貴女は!」
まだ乾いていないしっとりした金の髪を閃かせ狐の少女は叫ぶ。
「いや~まさかまさかバレるなんて~!それに覗いているHE☆N☆TA☆I!を迎撃するなんて!成長したねっキュウちゃん!女として!」
草むらからそう言って飛び出してきたある人物が彼女に負けず劣らず叫ぶ。
「うっさいのよ!女にしたのは貴女でしょうが!そもそも覗かれていたら誰でも怒るわよ!てか、変態って自覚してるならやめなさい!」
そう彼女は一気に捲し立てる。
「えーいいじゃない~減るもんじゃないしね~テヘッ★」
イラッと彼女は額に一層濃く青筋をたてる。
「まあまあ~押さえて押さえて、ストレスは美容の天敵だよ~?」
「イライラさせてるのは貴女でしょうが!」
ズボッ!と、叫びながら彼女は目の前の美少女の額につき刺さっていた刀を勢いよく引き抜いた。
「ぎゃぼんっっ!?」
その衝撃で美少女はまた変な悲鳴をあげドサッと地面に倒れたのであった。
ーーー
「で?何の用よ。こっちは万年暇だけど貴女はそうじゃないんでしょう?早く用件を言いなさいよ」
金色の美少女“キュウビ”はいつもの服装、巫女服を改造し動きやすさを重視したような服に着替えほっそりとした綺麗な素足で座布団の上に一応正座で座る。
本当は痺れるから嫌いなのだが目の前に自称HE☆N☆TA☆Iさんがいるのだから仕方ない。
「いやいや~本当は貴女にだってやるべきことはあるんだけどね~?ま、幸い今までに大きな異変は起きてなかったから~この世界の自己修復で行けたんだけどね~」
「………と、言うことは自己修復では修復出来ない異変が起きたってことね?」
ザッツライト!と完璧なる和製英語を叫びながらグッと親指を立てる目の前にいる一人の美少女。
その少女はいかにも染めてみました~と言う感じの金髪で所々カールした髪をツーサイドアップにし、ぱっちりとした目にやたらと長い睫毛となかなかに派手な格好で日本の高校に一人はいるギャルのような感じであった。
まあ、美少女ではあるんだけど…ちょっとね…。それに、こいつは───
「まあ、正確には異変ではないんだけどね~異変になる一歩手前と言うかなんと言うか~」
天に向けた人差し指をクルクル回しながら少女は言う。
「何よ、要領が得ないわね。そんな意味がわからないものに私はわざわざ出向かないわよ。Let's引きこもりね」
「いやいやっ十年間も引きこもりしてたのにまだするの!?もう飽きたでしょ!?それに───」
彼女は急に言葉を切り、その整った顔に笑みを作りキュウビを見やる。
「もう、充分に踏ん切りがついたんじゃない?美凪彼方くん?」
その言葉にキュウビは一瞬だけ驚いたような顔をし、目線を下へと落とす。そして、とても小さな声で呟いた。
「…………久しぶりね……その名で呼ばれるのは…」
その言葉は目の前の少女に届いたのか届かなかったのか…どちらにしても少女はその格好に似合わない優しそうな笑みを目の前の小さな狐族の少女に向けていたのだった。
ーーー
私…いや俺は一度死んだのだ、間違いなく。そして、何故か今はこの美少女の身体になって転生してきた…ある使命を背負って…。
『調律者』…それが今の俺…ではなく私の使命だった。
「それで?私に何をやらせたいの?一応、聞くだけ聞いてあげるわよ」
「おおう…この私に対して見事なまでの上から目線だね~なかなかいないよ~?そういう存在は~」
ギャルの彼女は両手を広げ困ったように首を振る。
「うっさいわね…早く用件を言いなさいよ」
「まあまあ~そんなに急かさない急かさ───」
カチャとキュウビはそばに置いてあった刀に手を伸ばす。
「そうそう、用件ダッタヨネうん。てっ!言うよっ言うから待ったっ待ったっ!それを抜かないで!?」
「なら早く言いなさいよ」
じとーと睨みながらキュウビが言う。
「もう…。えっとね~じゃ~貴女が嬉しい話と貴女が嫌な話~どちらからがいいかな~?」
「何よその二択は…普通いい話と悪い話じゃないの?……じゃあ、嫌な話からでいいいわよ」
キュウビがため息混じりになりながらも答え。
うん、了解ーと軽く彼女が言い返しそして、話始める。
「この世界にね。勇者が召喚されたのよ~」
「………。はい?」
「だから勇者だよっ。あ、正確には勇者たちかな?」
と、彼女は一息つき続ける。
「この世界には勇者召喚と言う魔法があることは知ってるよね?」
「ええ、まあ…知ってるわよ。確か異世界からこちらの世界に半強制的に呼び出す魔法よね」
キュウビの答えにうんうんと満足そうに頷きながら彼女は言葉を紡ぐ。
「そ、それにもうひとつ説明を加えるとすれば世界の危機にしか発動しないってところかな~。まあ、そういう不確定要素があるからこそ魔術ではなく魔法って言われてるわけなんだけど~」
「世界の危機…ね……」
この世界いや、全ての世界には自己修復機能がある。それこそが世界の理でありルールであった。世界の危機…それを起こさせないために自己修復機能があるのだが…。
「……勇者召喚が成功するほど世界が危険であるって言いたいわけね?」
「そーいうこと。このままじゃ取り返しのつかないことになりかねない…どう?やってくれるかな?」
彼女は可愛く首をかしげそう聞いてくるが…。
「嫌よ。そんなの勇者がやればいいでしょう?何で私までやらなきゃならないのよ」
「えーまあ、貴女ならそう言うと思ったよー」
と彼女は相変わらずな神獣の美少女を見て嘆息する。しかし、ですが!と急に言葉を荒げた。
「ここで嬉しい話に突入~!」
はい?とキュウビはその唐突な話題変換に首をかしげる。
それをスルーしながら目の前の派手な少女は言葉を発した。
「あちらの世界の貴方がいた学校のクラスが丸々召喚されたらしいよ?」
「はい?」
「だから~───貴方がいたクラスが丸ごと勇者として召喚されたのよー。貴方の妹さんも含めて~ね?」
その言葉を聞き俺は唖然とするしかなかった。
どっどうでしたでしょうか?よく分からない言葉やこの世界特有の用語だったりなどは追々どこかで説明していくつもりです。
そういえば、キーワードってどんなのを入れていたらいいのでしょう…。
それはさておき感想をお待ちしていますので、よろしかったらお願いしますね。一応、次回はもう大体書けているのでそれほど、かからないかと…思います。
では、また。
・調律者─世界に一人しかいないと言われている普通の神とは少々異なる存在。位で言えば上位に位置するほどの力の持ち主。この世界ではもうほとんど歴史の影に埋もれてしまい、知っている者は少ない。