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25.死神の日記

本日二話目の更新ですので、お先に二十四話をご覧ください。

長月の日記、短文です。

 お母さんは、心臓が壊れた。

 二人目のお父さんは、車と一緒に壊れて燃えた。


 三人目のお父さんは、虫に食べられた。

 妹は、三人目のお父さんを食べたのと同じ虫を、おなかに飼ってる。


 とっても苦しそう。

 きっと妹は死んでしまう。

 


 僕が、願ったせいだ。

 葉月さえいなければ、僕はもっと幸せになれるのにって。

 

  

 葉月は、いつでも後をついてきた。

 芋虫みたいにはいはいをする葉月。

 僕のジュースをこぼして、僕の夏休みの宿題の工作をこわして。

 昼も夜も、気に入らないことがあれば耳がきんきんするような、大きな声で泣いて。

 眠っていても、鳴き声で起こされた。

 葉月は怪獣。

 つぶれたお餅みたいな顔で、言葉は通じなくて、全然かわいくない。



 歩き出した葉月は、僕の世界を壊した。

 友達との約束についてきた。

 葉月がぐちゃぐちゃにしちゃうから、カードゲームはできない。

 放っておくと勝手にどこかに行っちゃうから、気になって野球やサッカーに集中できない。

 一緒に駄菓子屋に行けば、あれもこれも欲しいと言って泣いてわめいて地面にころがる。

 友達はみんな嫌がって、僕と遊んでくれなくなった。


 それでも、僕は葉月に本当の気持ちを言えない。

 おまえなんかあっちに行けと言えない。


 葉月は、お父さんとお母さんの本当の子どもだから。

 僕は、違うから。

 葉月が生まれたら、僕はきっと邪魔にされてしまうから。

 葉月を大切にしない僕は、この家においてもらえないから。

 

 だから僕は、葉月を愛するふりをした。

 本当はずっと、葉月が大嫌いだった。

 いなくなってしまえばいいと、ずっとずっと思っていた。

 

 僕は死神だ。

 葉月、ごめんね。

 

此処までご覧いただき、ありがとうございます!

次話より、視点が長月に移ります。


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