銀河の瞳は、ルビーの星を見つめて
雨上がりの
夏木立の梢が
描くアーチの
翠をくぐりながら
ささらめく葉の
隙間から降りそそぐ
樹雨のような
木洩れ日を浴びて
潤色をした
空から吹きゆく
風を追いかける
まなざしに
映りゆく陽射しの
クレッシェンド
遥かな海を
見渡す丘に咲く
待宵草は
月のしずくを
ふりまくように
夜を照らして
海の青へ溶けゆく
夕陽はまるで
バレンシアオレンジ
海を渡りゆく
星の翼を空に描いて
東の空から
夏の夜へ飛び立つ
北十字星は
はくちょう座の星々
宙に光る尾
デネブが渡りゆく
銀河に三千光年の
星の海を見つめて
宙を渡りゆく
星の翼を心に描いて
白鳥のくちばしを
彩る宝石の輝き
青き海のサファイアと
夕陽のトパーズのように
瞬く二重星の
アルビレオ
夏の大三角の
その中心で
夜を導く灯台のように
進む未来は
まだ足跡のない場所
夢という翼も
目には見えなくて
けれど
信じて羽ばたく
背にはきっと
情熱と
自由の
翼があるから
星が描く
白鳥が彼方の
銀河を渡り
南を目指すとき
そこに煌めく
紅きアンタレスは
未来を照らす
ルビーのように
光ある景色を
探しに行くことも
見つめる景色の中に
光を探すことも
どちらも
大切にしながら
時につかれたら
羽を休めて
この惑星と一緒に
周りながら
やがて訪れる
明日に翼を広げて
描く未来へと
幾星霜の
宙の海を越えて
届く光が
今ここにあるように
銀河を見つめる
瞳は、ルビーの色をして
はくちょう座は、天の川銀河の真上に見え、一等星のデネブ(アラビア語で「尾」)は「夏の大三角」の一つです。天の川を南へ辿ると、さそり座の紅い一等星・アンタレスがあります。
デネブは、以前は地球から約1400光年の距離といわれましたが、現在は約3千光年を越えて届く光とされます。アルビレオ(アラビア語で「くちばし」)は、オレンジと青の美しい二重星です。
ルビーは7月の誕生石で、石言葉は「情熱」「自由」です。待宵草は、夕方に黄色の花が咲いて、朝になると紅く染まり、「秘めた情熱」の花言葉があります。樹雨は、葉や枝にかかった雨や霧が水滴となって降ることです。
季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。