第B話
「グッモーニング、皆さん。バックアップ所属の楯無紬希だよ」
「おはアーイ、バックアップ所属の夢乃愛です」
・ グッモーニング
・ おはアーイ
「昨日はみなさん、ごめんね。大丈夫だと思ったんだけど、凄く重かったんだよ」
・ 大丈夫?
・ 体重がやばかったんw
「失礼な! 紬希はそんなに重たくないぞ」
「ダメですよ、みなさん。女の子に体重が重いなんていったら、メッです」
・ はーい ¥200
・ ごめんなさい ¥300
「体重は女の子の天敵なんですよ。ちょっと重いからって直ぐにバカにするんだから、アイツらは……」
「えっと、愛ちゃん?」
「……はっ、ごめんなさい先輩」
・ 愛ちゃんの暗黒面が垣間見たな
・ コンプレックスだったのか
「こほん。昨日はごめんね、愛ちゃん。騎士さんと二人で大変だったでしょ?」
「いえいえ。騎士様にはちゃんとエスコートしてもらいましたよ。今度、アイドル活動のお手伝いをしてもらう約束をしました」
「え、そうなの?」
・ 見た見た
・ つむちゃんの時とは大違いだったな
・ 護衛騎士も丸くなったな
「信じられない。紬希が手伝ってって最初に言った時は難色を示したのに」
「そうなんですか?」
「そうだよ! 紬希が手伝ってって言ったらなんて言ったと思う?」
・ なんだっけ?
・ あれだよあれ
「なんて言ったんですか?」
「俺はソロ主義者だから、無理だって言ったんだよ。ひどいよね」
・ MMORPGでソロ主義者とかw
・ てか、よく運営も許可を出したよな
・ あの時、よく炎上しなかったよなぁ
「今の騎士様から考えられないですね」
「大変だったんだよ。そのお陰で追跡スキルが500を越えたし」
「それってストーキングでは?」
「ストーキングじゃないよ! ちょっと後をつけ回しただけだよ」
・ それをストーキングって言うんだよ
・ ストーカーじゃん
・ なんでつけ回したんだよw
「だって、あの騎士はV-TUBERなんてどうせ廃れるから辞めた方がいいなんて言うんだよ!」
・ へぇ
・ ほぉ
・ 騎士は俺らを敵に回したな
「ひどいよね! 紬希、それが悔しくて悔しくて。だったら、騎士さんを紬希の推しにして、体よく使ってやろうと思ったわけ」
「先輩も大概だと思うんですが」
・ あれはあれで面白かった
・ 思えばつむちゃんが人気になったきっかけだったよな
・ 護衛騎士もなんだかんだ面倒見よかったしな
「どこがよ! 紬希が色仕掛けしたり、可愛さで崩落させようとしても全然効果なかったんだよ。男としてそれはないんじゃないかな?」
「えっと、具体的にどう色仕掛けしたんです?」
「こう谷間を寄せて、上目遣いでお願いってたのんでみた」
「それで騎士様は?」
「あざといって一蹴しやがった」
・ あざといw
・ あれは騎士が正しい ¥450
・ あれで引っ掛かるのは童貞かおじさんぐらいだな
・ 経験のないつむちゃんには無理な方法だなw
「だからって、あざといはないんじゃないかな」
「きっと照れ隠しで言ったんですよ」
・ それはない
・ あの態度はマジなやつだった
「ほんとそれ。あの時の騎士さんを思い出したらムカムカしてきた」
「まあまあ。そんな騎士様も今では先輩のブロマイドやCDを買ってくれるようになったんですから、成功と言えば成功ですよ。それにアイドルを先輩とそっくりにさせたのは、きっと先輩の知名度を上げるためですよ、きっと」
「キズナちゃんが? それは違うと思うなぁ」
・ と、言いながら嬉しそうだな
・ キズナちゃんはつむちゃんの上位互換だぞ
「誰が下位互換よ! むしろ紬希はオリジナルだよ! きっと、騎士さんは紬希が忘れなくてあんな事をしたり、写真もお楽しみに使っているに違いないから」
・ 草
・ 草
・ 自分で言うか、それw
「えっと、お楽しみに使うってなんですか?」
「またまた、分かっている癖に」
「んん?」
・ 分かっていなさそうだぞ
・ 自称清楚だからって知らない振りしなくていいぞ
「自称じゃありません! ちゃんと清楚です」
・ ちゃんと清楚w
・ パワーワードだな
・ 清楚はそんな事は言わないぞ
「みなさんは、清楚を神格化しすぎる嫌いがあります。おしとやかで物腰が柔らかいお嬢様なんて空想上の生き物だと知った方がいいですよ」
・ な、なんだって!?
・ ウソだ!
・ 俺達の理想な清楚なお嬢様は必ずいる!
「男って女の子に夢を見すぎだよね」
「はい、先輩」
・ 護衛騎士だって清楚系が好きなはず
・ そうだ! 騎士なら同意するはずだ
「騎士さんも? うーん、その点はどうなんだろう?」
「騎士様、家庭的な女の子が好みらしいですよ。先輩はお料理とかできます?」
「一人暮らしだと料理をするより、買った方が安いんだよねー」
「わかりました。その答えだけで結構です」
・ 卵を電子レンジでチンするぐらいだしな
・ あれは、まるで漫画だった
・ 米を研ぐのにミキサーを使ったもんなぁ
・ 騎士が呆れて聞いていたのを覚えている
「先輩。最低限は覚えていた方がいいですよ」
「だ、大丈夫。ちゃんとタマちゃんに教わったから」
「タマちゃん先輩にですか?」
「そうそう。あの子、超高飛車お嬢様キャラだけど、実は女子力の塊みたいな子なんだから」
・ それ言ってよいのか?
・ タマちゃんのキャラ崩壊を暴露しているな
・ タマちゃんって、猫屋敷タマ子ちゃんのことですか?
「初めてバックアップ社で顔合わせしたとき、ケーキを食べたでしょ? あれタマちゃんのお手製だよ」
「あのショートケーキですか!? 甘すぎずくどくどせず、尚且つ煌びやかに苺だけで装飾されたあれを!」
「そうそう。あの子、口は悪いけど世話焼き好きだから、余っていたから、残飯処理の為に作ってやったわ、なんて言いながら振る舞ってくれたんだよ。かわいいよねー」
「わたし、タマちゃん先輩のこと誤解していたみたいです」
・ タマちゃんはいい子 ¥2000
・ 根はピュア子だよな ¥300
・ 何気にバックアップ社のツッコミ担当だしな
・ 《猫屋敷タマ子》風評被害も甚だしいわ!
「あ、タマちゃんだ」
「タマちゃん先輩、おはアーイ」
・ 《猫屋敷タマ子》うん、おはアーイ。じゃないのよ! なに、変な事をリスナーに言っているのよ!
「え? 何か可笑しなこと言ったかな?」
・《猫屋敷タマ子》言っているわよ、紬希。お嬢様のあたしが世話好きとかキャラブレする事を言わないの!!
「んー。けど、だいたいみんなも知っていることだし」
・ 《猫屋敷タマ子》あんたが言い触らしているからよ。じゃない! 印象操作しているからよ
「……先輩」
「なに?」
「タマちゃん先輩って可愛いですね」
「でしょ?」
・ 《猫屋敷タマ子》夢乃さんも悪のりするのやめていただけるかしら。
「ダメですか?」
・ 《猫屋敷タマ子》ダメよ! まあ、あたしが可愛いのは認めるけど。
・ 《猫屋敷タマ子》猫屋敷財閥の超お嬢様だし!
・ 《猫屋敷タマ子》立てば芍薬座れば牡丹
・ 《猫屋敷タマ子》歩く姿は百合の花を地で行く高嶺の花のあたしが可愛いのはわかるけど、わかるけど!
「た、タマちゃん落ち着いて? そんなにコメントを連投しなくてもわかるから」
「えっと、もしかしてタマちゃん先輩、照れています?」
・ 《猫屋敷タマ子》んにゃっ!?
「そうかそうか、タマちゃんは照れていたのか」
「先輩、顔が悪代官見たいになっていますよ」
「どんな顔よ。けど、そーか。タマちゃんは照れていたのね」
・ 照れていたのか
・ 一種の照れ隠し?
・ タマちゃん、かわいい ¥1000
・ 頭をなで回したい ¥2040
・ タマちゃん、最高!
・ 《猫屋敷タマ子》調子にのらにゃい!
「タマちゃん先輩のあれって、素でやっているんです?」
「みたいよ。キャラ設定する必要なんかないのにね」
・ 《護衛騎士》そろそろやめてやれよ
「あ、騎士さんだ」
「騎士様も見てくださっているんですね」
・ 《猫屋敷タマ子》ちょっとナイト! あなたのツレの教育がなっていませんわよ
・ 《護衛騎士》俺に言われてもな。てか、隣にいるんだから直接言えよ
「隣?」
「騎士様?」
・ 《猫屋敷タマ子》ちょっと、それは言わなくていいのよ
・ なんだなんだ?
・ 騎士、おまえ
・ リアルか!? ネットか!? どっちなんだ、護衛騎士
・ 《護衛騎士》ネットに決まっているだろうが。直接会う事はバックアップ社から固く禁じられているんだから
・ 《猫屋敷タマ子》ナイトー!!
・ 《護衛騎士》え、ん? うわ、何するタマ子。首を絞めるな、体力が削れる!
「……え?」
「騎士様ってタマちゃん先輩とも親交を持っていたんですか?」
「ううん。初めて知った」
「…………」
「…………」
「愛ちゃん」
「先輩」
・ これは面白くなってきた
・ やっちゃう? みんなでやっちゃう?
・ 緊急クエスト発令! 護衛……。いや! 軟派騎士を狩に行くぞ、皆の衆!
・ 今宵の虎徹は血に飢えておるぞ
・ ハーレム野郎は皆殺しだ!
・ 出陣の狼煙を上げろ!!
「こほん。みんな、今日の雑談回はこれまで!」
「本当はわたしのアイドルのお話しとか、色々とあるのですがごめんなさい」
「愛ちゃんのチャンネルを登録してあないって人は概要欄に記載したから、そこから行ってね。じゃあ! 面白かったと思った人はチャンネル登録とグッドボタンを押して、また来てよね!」