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第二十八話 耐える者

「今の音は?もう何か起きだした?…………ならどうしようか?」


 魔力の水源に向かっていたサリシアは自分の上で起きた唐突な爆発音にどう対処するか悩んでいた。

 もしかしたら王子が言っていた通りこの北門でなにか起きたかな。

 ザイト王子の直感とラルクの予感でなにかが起きるのは確定的ではあったけど、もう起きてしまったか。

 一旦戻ったほうがいいかな?

 でもようやく第五門を開けた所だしここまで来たなら魔力の水源まで行ったほうが最終的には速いか。

 水源にある魔力を使って一気に向かったほうが確実に対処出来る範囲が違いすぎる。

 水源にある魔力自体も使うことで例えリアラの怪物が相手だとしても勝負になるだろうし、そもそもラルクの死を回避する為にも水源の魔力は必須事項。

 今の私じゃ死んだ人間を生き返させることなんてできないし、もしやるにしても水源にあるなにも混じっていない純粋な魔力がいる。


「結局なにをするにも進むしかないかな」


 今までは安全面に気を付けて慎重に進んでいたけどなりふりかまわず急いだほうが良さそうだね。

 近づくけば近づくほどに純粋な魔力そのものに押し潰され自分自身を保てなくなってしまうからゆっくりと身体を慣らしたかったけどそうも言ってられそうにないや。


「一気に第六門まで行くか。……ふう〜」


 サリシアは呼吸を整える。

 そして一気に第六門へと駆け出す。


「くっ……きっついな」


 一気に進むのはいいけど耐えれるかなこれ。

 身体が軋み、歪んでいく。

 サリシアは急ぐ為に一気に進んだが反動が身体に現れていた。

 そもそもなぜゆっくり身体に慣らすようにサリシアが進んでいたか、それは単純にここにあるなにも混じっていない純粋な魔力そのものが体に合わないから。

 本来サリシアやいま生きている者達は純粋な魔力そのものを使ってなどいない。

 魔力が体に宿ったのも大昔に水源から吹き出した純粋な魔力だったものが空気や水や土にと何かに混じっていきそれが人の体内に入り込んだ結果によるもの。

 初めて水源から魔力が吹き出した時、人間にいきなり魔力が宿ったりはしなかった。

 人間の身体は純度百パーセントの魔力を受け付けることができる身体になっていなかった。

 何かと混ざり薄まった魔力が体内に入り込んでようやく魔法として使用できるようになった。

 薄まっていない魔力は人間には過剰な力であり毒にもなる代物であった。

 たとえどんな強者であろうとも。


◆◆◆◆◆◆


北門 後方入口


 戦える兵の数が着実に減っていくな、あの三人相手に持ちこたえれているだけでも本来なら戦果としては十分何だが負けては意味がないか。


「キツそうだな王子さんよ!」


「キツいのは当たり前だろ!君が相手だ」


 キオは相手に思考する時間さえ与えないつもりかガンガン攻めたてる。


「考えてばっかりじゃ勝てないぜ」


 自身の短剣を巧みに使い確実にザイトの身体を削っていく。

 ザイトが急所の防御に全力を出しているなら急所以外には簡単に傷を付けられる。

 少しの軽い切り傷程度なら意味がないかもしれないがそれが増え続ける場合どんな人間であろうとも身体が思った通りに動かせなくなっていく。

 それが積もれば防御も上手くいかなくなる。

 キオの怒涛の連撃によってザイトの体がとうとう揺れ動く。

 今まで出来た防御に穴が空く。

 その隙を見逃さないのが天才と言われた男の戦い方。


「そこ!!!」


「くっ」


 体勢を崩されたか。

 真っすぐ正面から来る!

 短剣をかち上げるようにザイトに向けて振るうキオ。

 狙いは首か!!!


「はっ」


 ギリギリ弾けたか!

 何とか防いだザイトだが明らかに防御が間に合わなくなってきている。


「か〜おっしいな、もうちょいで首をかっ切れたのによ」


 危なかった!!あと数歩踏み込まれていたら間に合わずに終わっていたかもしれん。

 やはりこのままでは防御すら突破してくるか、どう対処する?


「耐えてるだけでこれからどうすんだ王子さんよ。向こうも終わっちまうぜ」


 向こうと言いつつ指を指した場所には三人を囲っていた兵達がいくつも倒れ込んでいた。


「どうした、もう終わったのか?」


「ゲムが始めっからこういう時の爆薬を用意していたら本当に終わっていたかもしれないんだけど」


 流石に兵達も持たなくなってきたか。

 耐えるだけでもここまでキツいとはな。


「どうにかして俺達の足止めしたかったらしいがもう無理そうだな。あんたにだいたいどれくらいの攻撃で避けられ防御されるか把握できたしこっちも終わらせるか」


 ザイトとの戦いを終わらようと一歩ずつ間合いを近づけていくキオ。


「途中から遊んでいたろうに」


「そらあんたの持っている直感って言うのを攻略したかったからな」


「なら攻略出来ていないな」


「あぁ何言ってんだよ」


 ザイトは肩で息をしているにもかかわらずまだ余裕があるような笑みを浮かべながら会話をしていた。


「俺の魔法騎士を忘れない方が良いぞ」

 

◆◆◆◆◆◆

 

北門 大広間


「ようやく自分の魔法を展開できそうだな、魔法騎士とし三方向同時に援護してやろうじゃないか」


 広げろ自身の魔力の糸をこの北門で戦闘が起きている三方向に。

 だいたいの場所は把握しているんだ、目に見えなくても繋げることは出来る。

 それに今回は敵ヘの攻撃ではなく援護、ここからでも俺が防御をすればいい。

 それだけで変わる。

 魔法騎士その名に恥じないように。

 守るべきものをきっちり守ってこその騎士だ。

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