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プロローグ2

 聖国サルマニア


 世界有数の回復魔法のスペシャリスト達が住まう国。

 どんな怪我でもサルマニアであれば治せると言わしめる程に。

 その為回復魔法を覚える為だけにサルマニアに訪れる者もいるほどであった。

 そしてサルマニアでは最高峰の癒やし手のことを聖女と呼び皆の目指すべき目標としていた。

 ただし当代の聖女サリシアは‥‥‥




◆◆◆◆◆



 結局マリエルに連れていかれたサリシアはこの場に集められた怪我人がしっかり治っていたか確認をおこなっていた。


「ありがとうございます聖女様」


「うん、大丈夫そうだね」


「それはもちろんです。聖女様に治していただいたのですから」


「治しただけだから安静にはしてね」


 サリシアは一人一人しっかりとそれは丁寧に確認していた。決して後ろから凄い笑顔でサリシアのことをマリエルが見ていたからではないのだ。


「よし全員見終わったわね。じゃあ私は今度こそ剣の鍛錬に」


「次は報告しに行きますよ」


「は~マリエル報告なんて私じゃなくても」


「行きますよ!」


 サリシアが剣の鍛錬に戻ろとする前にまた耳を引っ張り連れて行くマリエル。


「だから耳引っ張らないで、今度こそ千切れる!!!」



◆◆◆◆◆



「本当に耳が千切れたかと思ったよ」


「それで耳を抑えているのですね、サリシア」


「そうなんだよリリー」


 サリシアが話しているのはこの教会のトップのリリー、見た目は老婆であるが話し方や佇まいから歳老いた女性の印象を一切感じさせない。


「いったいマリエルのどこに耳が引き千切れると思わすほどの力があったのか、こんなにも体はぷにぷにしているのにさ」


 そう言いながサリシアはマリエルを指で突きながら話す。

 


「突かないでください!」


「気にしているなら一緒に剣の鍛錬でもするかいマリエル?いい運動になるかもしれないよ」


「サリシア様のあんなむちゃくちゃな鍛錬についていけるはずないでしょ!!!」


「そうかなぁ〜案外できるんだけど」


「はいはい、二人とも一旦そこまで、聖女サリシア今回のことはわかったわ。それより貴方に陛下からのお呼び出しがかかったわ」


「え〜どうせ聖女としてでしょ。剣の鍛錬を私は優先いたします」


 この国では世界中から毎日色々な怪我人が治療の為に訪れて来る。サルマニアであれば治るかもしれないと...そうやって訪れた者の多くを治療することが出来るのがサルマニアという国の凄さではあるが、その中には聖女と呼ばれるサリシアクラスの回復魔法の使い手でないと治せない程の怪我人がどうしても一定数は来てしまう。

 サリシアは今回もいつと同じように聖女として呼ばれたと思って剣の鍛錬を優先しようとしていたが...


「大丈夫よ。今回は聖女としての貴方じゃないくて剣帝としての貴方をお呼び出しよ」


「本当に!!!」


 リリーがそう言うと途端に目を輝かせながら答える。

 聖女として呼ばれることがほとんどの彼女だが時折一流の剣士、剣帝として呼ばれることがあった。

 ただしその時は大抵


「よし、私が相手するほどか楽しみ」


 そうサリシアが剣帝として呼び出しがかかるのは規格外の化け物の相手が基本であった。

 当代の聖女サリシアはそれを楽しみと捉えるほど戦闘狂であった。




◆◆◆◆◆


 サリシアはサルマニアの中央に存在する城、聖帝城に来ていた。


「サリシアよく来てくれた。いつもより早い到着だな」


 そこでサリシアを呼び出した現サルマニアの国王バング陛下と今回の呼び出しについて話し合いをしていた。


「だっていつもは聖女としてがほとんどだしめんど‥‥‥あ~ほら私じゃなくてもなんとかなるじゃん」


「なんとかならんから聖女であるサリシアをいつも呼んでおるのだが」


 バングは聖女サリシアがめんどくさいと言いかけたのに頭を抱えていた。

 そもそもサリシアが回復魔法を覚えたのは無限に戦えたらという戦闘狂みたいな発想からきているものであった。

 それが聖女と呼ばれるほどの回復魔法の使い手になるなど誰もが想像しえなかった。

 それこそサリシア本人でさえも。


「まぁよい今回は剣帝として呼んだのでな」


「それ程の相手なんでしょ誰!」


 サリシアは自身が呼ばれるほどの相手とは誰か嬉しそうに今回の相手を聞く。


「今日教会の方に怪我人が多く来ていたであろう、あれはオーガにやられた者達でだな、その討伐を頼みたい」





「・・・・・・・・・・・帰る」


 相手がオーガと聞いて一気に表情が暗くなりやる気をなくしたのか少しの沈黙の後サリシアはいきなりその場を後にしようとした。



「待て!!!!!待て!!!!!!ただのオーガであるならサリシアに剣帝として討伐を頼みはしない。今回オーガに襲われたのは多くの者達が商人で構成されていた。襲われても多くが無事に逃げることができたのが気になってな、近衛騎士達に彼らが襲われた場所へと確認しに行ってもらった」


 本来オーガと相対したとき一般のそれこそただの商人達が生き残ることなど到底できず一方的にやられるのがこの世界の基本だ。


「彼ら商人達は隣の都市ラグナから移動して来ていた者たちでな、どうやら我らが住まうこのサルマニアの首都とラグナの間にオーガ達が群れを作りその規模を数日で拡大していたのだ。騎士達が確認した所オーガの数はざっと五十体はいたそうだ」


「頼みたいのはそのオーガの群れってこと?」


「そうだ、今も監視させているが時間が立つに連れ規模が大きくなっている」


 バングは一息つきサリシアに向けて


「剣帝サリシアよ、オーガ達による被害が出る前にその剣にて討伐を頼みたい。そして周りへの被害は一切気にせず剣帝として力任せに斬って良い」


 周りへの被害は気にしないというその発言をサリシアは想像していなかった。なにせ


「本当にいいの?それこそ綺麗になるよ何もかも全部」


「気にするな、本気を出してよい。むしろ綺麗にして来い。ただしオーガ達に慈悲などなくすべて殲滅せよ」


 バングのその言葉に先程まで帰ろうとしていたサリシアは頭を下げただ一言。


「了解しました陛下」


 そう言うと話し合いは終わったとさっそくサリシアは討伐に向かう。

 その姿にバングは


(聖女として呼んだ時もこうやって動いてくれたらいいんだが)


 バングはどうしてもそう思わずにはいられなかった。

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