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第八話  当時の話

「相変わらず賑やかだねラグナは」


 サルマニアの首都に一番近い街だけあってかラグナは活気づいていた。


「人の出入りが多いですからね治療の最前線たる首都のルーズと近いですしね」


 世界中からサルマニアに訪れて来るのは怪我人が圧倒的に多い。

 更に怪我や必要な治療が酷いほど首都へと行く場合が多い。

 その為首都に行くために必ずと良いていいほど通る東西南北の四つの都市はすべて活気づいていた。

 だがあまりに酷い状態だと人は容易く不安になっていくものである。

 不安にさせない為に希望を捨てさせない為に各都市は活気づいていた。

 各都市に住むもの達も自分達が治せるならと思うこともある、だが自分たちにはその実力はない、なら前に進ませるために少しでもと。


「あれ、もしや聖女様ですか?」


 サリシアは調査員達と合流するために宿に向かう街中を歩いていると唐突に声をかけられた。


「うん、そうだよ君は?」


「やっぱり聖女様でしたかこの前はありがとうございます」


「うーん………あ、オーガに襲われた商人さん」


話しかけてきたのはサリシアが治療した商人のうちの一人であった。


「そっかラグナから来る途中でオーガ達におそわれたんだもんね。こっちに帰ってこれるぐらいに元気になったんだね。良かったよ」


「はい、おかげさまで」


 自分が治療したゆえに元気な商人の姿を見て満足そうなサリシア。

 自分の施した治療が毎回上手くいくとは考えていない。

 何か重大な見落としをしていないか間違えて治療していないかなど考えることがある為、元気にしていると治せて良かったとその度に思ってしまう。


「あ、そうだよ聞いてないじゃないか」


「聖女様?」


「ねぇオーガ達に襲われた時のこと聞いてもいい?」


 サリシアはオーガに襲われた商人達からその時の状況を聞くのをすっかり忘れていた。

 一番重要じゃないかと。


「それくらいでしたら」


「じゃいくつか質問するね。まずはオーガ達ってどれくらいの数がいたの」


「正確にはわかりませんがざっと二十から三十体くらいだと思いますよ。ただこちらを襲って来たのはたったの五体だけでしたけど。もし全員で攻撃されでもした生きてなかったかもしれないですね」


(半数くらいだったと)


「商人さん達の数は?規模はどれくらいでラグナから移動してたの」


「結構規模が大きくて首都に行こうとした人数でいえば六十人近くはいたかと」


(結構多いね、それなのに襲って来たオーガの数はたったの五体か。

 戦闘なんてからっきしの商人達相手なら五体、何なら一体いるだけでも脅威だけど)


「そんな人数がいながらよく逃げれたね」


「いえ、逃げれたというよりか逃がされた感じでした。その場を離れた者には一切襲ってこなかったので」


(五体しか動かなかったうえにその場を離れた者には一切襲わない、何かあるのは確定と見て良いかな)


「ありがとうそれだけ聞ければ大丈夫」


 じゃあ元気にね~。

 聞きたいことは聞いた。

 後は他にラグナに来ている調査員達にも合流して調査結果を聞かないと。


「リーア行こうか」


「サリシア様?」


 サリシアは不自然な笑みを浮かべていた。

 まるでなにかに気付いたように。



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