人生最後まで幸せに生きる 第一章1④
ここで、森田療法においては「とらわれ」という概念がある。「疲れた」「もうダメだ」と考えることで、更に疲れてしまったり、本当にダメになってしまったりするという悪循環が起きる。私たちはしばしばその事実に気づかず、何とかして苦痛な考えや感情を除去しようとする。それが人間の自然な反応であるから。しかし、頑張れば頑張るほど、抵抗すればするほど、それらの考えや感情は逆に強化されてしまう。そうすると、頑張っているにも関わらず、ますます気分は悪くなり、不安は強くなり、身動きがとれなくなってしまう。そして最終的には「やっぱり自分はダメなんだ」と確信し、絶望してコントロールを失うのである。
でも、だからといって「疲れたと思うな」「もうダメだ、なんて考えるな」と言われても難しいものがある。なぜなら、私たちは好きでそう考えるわけではないし、そう考えることのデメリットも既に知っているけどそれを止める力がなくてそう考えていることが多いからである。しかし、なかなか森田療法でいう「あるがままに」やマインドフルネスでいう「受容」を私がそのまま取り入れるのも難しかった。そこで私が思いついたのは、つらい時、考えではなく、呼吸に注意を向けることであった。