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第一章 とらわれとその解除 4 気分が悪くなったら、まずは今の呼吸状態を確認する習慣をつけよう③
苦痛な考えや感情を直接取り除くのは難しく、もちろん呼吸を調整したからといって、不快な気分が百パーセント回復するわけではないかもしれない。しかし、いくらか和らぐだけでもありがたいものである。
それに、前述した通り、このような気分調整法を一つでも多く持っていることが、安心して生活を送るための強い武器になるし、自信にもつながるのである。「私は気分をコントロールできない」ではなく、「私は気分が悪くなっても、呼吸を意識して調整することで、少し改善させることができる」と考えられるようになる。
先程の天気と車のアクセルの例を思い出そう。天気はコントロールできないが、車のアクセルなら自分で力加減を調節できる。そこに大きな違いがあるのである。
気分と呼吸についても同じことが言える。結局私たちは自分でコントロール可能なものしか自ら操作できない。そのため、自分の力で状況を好転することができるような方法を見つけていくしかない。呼吸の調整であれば、いつでもどこでもできる、という利点がある。




