表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

大きな壺をいかにして効率よく盗み出し、足がつかないよう高値で売り捌くか。

 豪華な校門をくぐり抜け、フカフカのソファーが並び、案内人と、荷物運びの人がいる、ホテルエントランスのような昇降口を通り、おそらく高いであろう壺や絵画整然と並べられた廊下を数本渡り歩き、ようやく、アリーナ(体育館)と言う名のホテル宴会会場に辿り着いた。感想、


「広い、疲れた。廊下無駄にお金賭けすぎっ!」


 まったく、廊下気軽に走れないじゃないか。壺割っちゃうかもしれないじゃないか!しかも、あんな絵画並べちゃって盗まれても気づかないんじない?盗んじゃうよ?


 それにしても、人多いなぁー。多分これみんな生徒だよね?

広い会場いっぱいに、ズラァっと並んだお高そうな椅子には生徒と思しき人達がお行儀よく座っている。さっすがぁ、貴族だけ学園通える学校。それにしても何人ぐらい居るんだろ?どれどれ、


「……多分、300人ぐらい、かな。ウン」超テキトー。


 よくよく見てみると、きょろきょろと忙しなく辺りを見ていたり、無駄に緊張感ある生徒が集まっている場所がある。


「多分、あそこらへんに座ればいいんだよね?」



 そう、気軽に呟きながら椅子と椅子の間を歩く……


「うっわ、デリカシー皆無だなぁー」


 嫉妬、嘲り、軽蔑、優越感、好奇、嫌悪、軽蔑……ありとあらゆる負の感情が私という標的に向かって一斉発射された。


「……またかよ、しんどいなぁ」


 まぁ、しゃあ無し、か。

 服装から浮いちゃってるもんね。貴族様たちからすれば身なりが安すぎるんだろうね、きっと。……まぁ、当たり前だよね。

 更には、主人公ちゃんは平民。そういう低い身分でありながらも、魔法を持って生まれ、貴族しか通えなかったはずの学園に特待生として入学。おまけにスンバラシク美しいと来た。目立たないはずがないよ。


「あっ、口に血ついてる」ゴシゴシ。


 あのオッサン、絶対に許すまじ。

 ドレスが皺くちゃなのも、リボンが解けかかってるのも、髪がボサボサなのも、喉が乾くのも、蝶々結びが出来なくてどうしても縦結びになるのも、ぜぇーぶあのオッサンせいだ。

 疲れて、この視線から受けるダメージが大きくなったのはあのナヨっと眼鏡の長話のせいだ。


「あっ、この席かな?」


『キーラ・グレイアム様』と達筆な日本字で彫られた椅子があった。ウン、間違いなくこれだね。……あー、よかった。日本語で。あのナヨっと眼鏡が、無駄に変な言葉使って来るから不安だったんだよね。


「これだから格好づけるイケメンは」


 いざ、腰を落ち着けて、辺りを見回すと、まチラホラ空き椅子があった。なんだよ。あのナヨっと眼鏡『もう、入学式が始まってしまう』って言うから急いだのに。


「……いや、大して急いで無いな」


 廊下にある壺やら、絵画やらをいかにして盗み出し、足がつかないようどこで売るかってこと考えながら歩いてたからどちらかと言うと、ゆっくり見るめに歩いたよ。


「……まだ、はじまらないのかな?」


 そう呟きながら、リボンを例の如く縦結びにしていた時だった。会場の明かりがすべて消え、その暗闇の中前方から眩い光が迸ったのは。


「新入生の諸君っ!」


 迸る光の中心に立っていたのは、まるで威風堂々という言葉はこの人の為に作られたんじゃないかってぐらいに威厳のある男だった。なにを隠そう、このオリンズ王国の国王、ラズワルド・オリンズである。


「演出、ゲームより凝ってるなぁ!」小声。


 それにしても、この男から零れる威圧感が半端ないな。これが、王者の覇気ってやつか。王様も、大変ね。


「諸君っ、まずは入学式おめでとう。ジーニャス学園を治める理事長として大変嬉しく思う。

 そして、皆もう、知っているであろうが、この学園は英才教育、数多の戦場で活躍する人材を育む。この国の重鎮はもちろんこの学園の卒業生から成り立っている。

 かく言う、余もこの学園で学んでいたことがある。つまり、この学園は未来の国を創っていく選ばれた子供達の社交の場でもあるのだ。通うこと自体が最高の誉れ、この英号に恥じぬよう、皆学勉に励んでほしい。

 汝らに、シリウス、星の中で1番に輝かんことを!……言葉を送りこの話を終いとする」


 ゆさゆさ、ゆさゆさ。誰かが私の肩を揺らしている。


「zzzZZ……?……はっ!」


 やばい、寝てた。この椅子、何の変哲もないの木なはずなのになんでこんなに座り心地いいの?!やっぱ、高いから?

 ……ピンチだ。この国の最高権力者の話を聞かないで寝てた。どうしよう、大丈夫かな?国王敬愛団体から殺されたり(社会的に消されたり)しないよね?

 てか、誰か私の肩揺らしてた?


「……起きました?」


 ……………………そう、心配げに私を見つめる女の子。

 ………………かっ、かんわえぇえええぇっ!えっと、天使?天使なのかな?天使だね。

 そう、起こしてくれたのは、天使のように愛らしいお顔をした女の子だった。


 ボブカットの淡い栗色の髪。ほんのりとピンクに染まった頬。クリリッとしたアーモンド形のオレンジ色に染まった瞳。座っているから、正確には分からないけれど多分、そんなに背は高くない。むしろ、小さいだろう。そんな体を黄色のドレスで包んでいる。うっは、カワイイ。


「……あっ、ありがとう」

「もうっ、国王様のお話はちゃんと聞かなきゃダメですわよ」ずきゅんっ!


 小声からでもわかる。この鈴をリンリン鳴らしたような、慎ましやかながらもカワイイ声。いやぁー、癒される。神様ありがとう。こんな可愛い女の子を造ってくれて……


 そうこう、隣の女の子(天使)の可愛さに悶えているうちに、いつの間にか会場には明りが戻っていた。話し声が聞こえる。あと、黄色い歓声も。あれ?国王様の話は?


「……?なんで会場がザワザワしてるの?」

「……噂の王子様が新入生代表でお話をなさって居たからよ」

「……」ん?

「もしかして、聞いていらっしゃらなかったの?」


 ……そのようです。そっ、そんな冷たい目で見ないでよ!だって、隣席の女の子(天使)の姿を目に焼きつける方が大丈夫だったんだものっ!


「あら、寮室が発表されるみたいですわ」

「あり?王子様、見損ねちゃったな」

隣席の天使な女の子


「あの、麗しい王子様のお声を無視出来るなんて、なんて性能の悪い耳なのかしら?」


無自覚な毒舌家だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ