幸せ。
久しぶりの投稿です。今回から2章に入ります。
俺が女子と話せなくなった理由。それには俺の元カノ━━━吉野花火が大きく関わっている。
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「敬ー、一緒に帰ろー。」
「おう。」
俺がまだ中学生だった頃。俺は普通に女子と話せたし、親友と呼べる奴もいたし、友達もたくさんいた。そして、吉野花火という彼女がいた。吉野は優しい性格で、かなり可愛い顔だったので、男女問わずみんなから好かれていた。
「お前らってほんとお似合いだよなー。」
「ちっ。リア充め爆発しろ!」
「我が右手に込められし聖なる魔力で貴様らを消し炭にしてやるわ!」
「花火ちゃんじゃーねー!」
「また明日ねー。」
周りの奴らも俺達が付き合っていることを知っていたが、冷やかしてくる奴はいたが邪魔してくるような奴はいなかった。
俺の毎日はとても充実したものだった。俺は、幸せだった。
『もう別れない?』
『……わかった。』
『ごめんね。』
幸せな日々は、突然終わった。
中2の夏休みに、吉野からメールで突然別れを告げられた。俺には、理由がわからなかった。怖くて、理由が聞けなかった。
「あいつ、花火ちゃんと別れたんでしょ?」
「光山がなんかしたんだよ多分。花火ちゃんが何も無いのに振ったりするわけないじゃん。」
「そうだね。光山ほんと最低。信じらんない。」
2学期。吉野花火と光山敬が別れたのは、きっと光山が吉野花火になんかしたんだ、という噂が広まった。優しくていい子の吉野花火が、何も無いのに急に振ったりするわけない、という思い込みによって。俺の周りからは、人が離れていった。
「うわー、光山と肩ぶつかったんですけど。最悪。」
「きたなーい。早く制服洗濯しないとぶつかったとこ腐っちゃうよ?www」
吉野と特に仲が良い女子達は、俺を汚物のように扱うようになった。
「おい光山、そこどけよ。」
「俺らがそこでメシ食うから、お前はどっか行って独りで食ってろ。」
「やめろよー、光山にだって一緒に食べる奴ぐらいいるだ……いないかw」
「お前wやめてやれよwww」
吉野が目当てで俺に近づいてきていた奴らは、吉野と別れた俺を独りにした。
「光山ー!こっちで一緒にメシ食おうぜ!」
「そんなとこで独りで食ってないでこっち来いよー!」
吉野と別れた後も以前と同じように接してくれた奴もいた。でも、俺はその優しさを信じることが出来なくなっていた。
俺が幸せだと感じていた日々は、
『吉野花火の彼氏』
という柱が抜けたことで簡単に崩れてしまった。
「お前らってほんとお似合いだよなー。」
「ちっ。リア充め爆発しろ!」
「我が右手に込められし聖なる魔力で貴様らを消し炭にしてやるわ!」
「花火ちゃんじゃーねー!」
「また明日ねー。」
かつて俺がいた吉野の隣には、俺がずっと親友だと思っていた男がいて。
俺の幸せは偽りだったと知った。
見せかけだった俺の幸せは、完全に壊れた。
過去編です。