お兄ちゃんはギタリスト(予想)
「2年3組の、館山晴香です。」
「2年4組の探偵部の光山敬と、桜宮希です。」
今、俺と桜宮は図書室の前で俺に話しかけてきた女子、館山さんの依頼の詳しい内容を聞いている。(俺は女子と2人きりでは話せないし、)桜宮がいないと俺が探偵部として動くには限界があるので、放課後にまた後で桜宮と話しましょう、と伝えて昼休みは終わった。午後の授業を適当に済ませて今にいたる。
「私には年の離れた兄がいまして、2年前に母と喧嘩して家を出ていってしまったんです。」
「そのお兄さんを探して欲しいってこと?」
「そうです。お願いできませんか?」
桜宮と館山さんが話している。俺はただぼーっと座っていた。女子2人に男子1人で会話、のシチュエーションは、俺には非常にハードルが高い。
「…わかった。探してみるよ。」
「ありがとうございます!」
「なにか特徴とかは?この街にいるの?」
「この街の近くにはいます。特徴はですね……」
「……なるほど。そんな感じなんだね。」
「あとは………」
しばらくたって、館山さんは桜宮にお願いします、と頭を下げて帰ってった。
「……敬ってさ、女子がいると話すどころか話すら聞いてないでずっーとぼーっとしてるよね。」
「しょ、しょうがないだろ。これには深いわけがあるんだよ。」
「いっつもそう言って誤魔化すじゃん。昔何があったの?」
「…いつか教えるよ。」
いつかきっと多分いつの日にかおそらく教えると思われるよ。
「で、結局どういう事なんだって?」
「えっとねー・・・・・・・」
話を要約すると、館山さんのお兄さんは2年前に家を出ていってしまったが、館山さんとは連絡はとっていたそうだ。ところが最近その連絡が途絶えていて、心配なので探して欲しいということだった。
正直言って警察行ってくれよと思うが、母親にはお兄さんと連絡をとっていたことを隠しているので、言えないということだった。
「じゃあ今からさっそく探しに行こう!」
「どこに行くんだ?」
「晴香ちゃんによると、この前行った川を渡った先の街で働いてたらしいから、明日は日曜日で学校がないから明日探しに行こう!」
「お前、今からさっそくって言葉の意味わかってるのか?」
「わかってるよ!」
じゃあ使い方の問題か。
しかし、人探しとか面倒くさすぎだろ。やりたくねー。
「明日来なかったら・・・・わかるよね?」
「も、もちろん行くよ。」
桜宮の折檻はほんとにやばいからな。笑えないやつだから。1回だけ俺が約束を忘れててすっぽかしたときの怒りはやばかった。
こうして俺は、桜宮と朝から知らない人探しという休日の過ごし方としてはかなりちょっとどうかなと思う日曜日を過ごす予定が出来てしまった。