ある日の1日
この話から本格的に本編に入っていきます。
あの後。谷底には奇跡的に川が流れており、川へ落ちた俺は全身びしょ濡れになったがなんとか助かった。一夜明け今日も学校へ来たのだが、
「いいじゃーん、一緒に行こうよー」
さっきから隣がうるさい。
「敬も探偵部でしょー」
探偵部とは、さきほどからやかましいこの女が作った部で、俺も(強制的に)入部している。『探偵部』なんて名前になっているが、実際のところはただ無条件で人助けをする変わった奴ら、みたいな感じだ。ちなみに部員は俺と桜宮を除くとあと1人しかいない。昨日の出来事も実は探偵部にきた依頼の達成を目指していた途中の悲劇だったのだ。いなくなったペットの子犬を見つけて連れてきてほしいという依頼だったのだが、崖の向こうにいた子犬を保護しようto…
「無視すんなよクソ敬!」
桜宮はキレると怖い。昨日の出来事は後は想像にお任せする。
「聞いてなかった。もう一度頼む。」
「だーかーらー、私じゃ迷子になるかもしれないから一緒に来てって言ってるの!」
河川敷ってここから自転車で5分ぐらいだぞ。なんで迷子になるんだよ。方向音痴こじらせすぎだろ。
「帽子探すなんてめんどくさいわ、1人で行けよ。」
今回の依頼は、河川敷付近で失くした帽子を探して欲しいというものだった。な?探偵要素なんてこれっぽっちもないだろ。探偵部の活動はいつもこんなもんだ。
「私1人じゃ絶対見つけらんないよー。それに私が1人で行くといっつも問題起こすじゃん。」
自覚があるなら直して欲しい。ほんとに問題起こすからなこの女は。
「わかったよ。また問題起こされたら困るからな。」
「わーい!これで問題起こしても敬も連帯責任だー!」
やっぱり行かなくていいかな。でもどうせ行かざるをえなくなるんだろうな。
今日の放課後はゲーセン行こうと思ってたんだけどなー。残念無念。
こうして俺と桜宮は放課後、帽子探しというクソめんどいことをしに行くことになった。