EP:06 各地の情勢と次の目的地
この世界にはある時期を境にいくつか呼称の変わった地域がある。
島凶、災多舞、軍魔
これらは少数都市計画により、最も人が多く生活していた場所だった。
故に最もゾンビ化被害が早く、最もゾンビ化した者が多く
最も……絶望的な環境となった。
故に地域の呼称が変わるほどの地獄と化していた。
だけど、そんな場所だからこそ、多くの人がこの地に向かう。
なぜなら最も人が多かったこともあり、最も多くの燃料や食料があるからだ。
何より、島凶、災多舞、軍魔には
半永久稼働する食料プラントとエネルギープラントが存在する。
少数都市計画の際に建設された大規模のプラント施設で
無限とも言える食料と燃料が眠っている。
だからこそ、多くの人が地獄の地だと評しならがもこの地に向かい……
帰ってこなかった。
クイーン「つまり!ここに行けば!
暁くんのお眼鏡に叶う美少女ゾンビが居るかもしれないのよ!」バーン
咲実「オレがゾンビになってる間にそんなことになってたのか……。」
俺、和、咲実は東京新地区進出を前にして
他の場所に一番詳しいクイーンからレクチャーを受けていた。
今のところ危険なゾンビとは遭遇していないが今後もそうとは限らないし
クイーンが確認した突然変異種が襲ってこない保証もないので
大人しくクイーンの説明を聞いていた。
暁「どうでもいいが夜露死苦上等な感じの名前はどうにかならんのか?
ダサくない?」
咲実「うん、俺も思った……ダサいよな。」
クイーン「知らないよ!私が付けたんじゃないもん!」
和「呼称はダサいですが……一応意味があるんですよ。」
暁「まじで?島凶は島になってるとか?」
クイーン「あ、正解~」
暁「マジカヨ……。」
クイーン「一つ一つ説明していくとね~」
島凶、かつての日本国首都……だったが
現在は謎の地盤沈下により島凶だけが浮き上がっており、
まるで浮島のようになっている。
クイーンが通過した際にはまだリフトが生きていて問題はなかったが
今はどうなってるか不明
浮いている分、ゾンビの数は思ったほど多くないが
いろんな施設があったことで都心あたりは突然変異種が多かった。
特にハウンドゾンビなどの動物ゾンビが危険
で入ってすぐに襲われ帰ってこなくなった人物も多かった。
施設が多いだけに当時は生存者も多かったが山賊みたいなのもいくらか居て危険
食料、道具、燃料なんかが安定して残っていると思われる。
災多舞、島凶に隣接する区画
少数都市計画以降は東京を総合区、埼玉を研究地帯としていたため、
プラントなどが数多く存在する。
同時にナノテクノロジーの研究施設なども非常に多く
異様なまでに突然変異種が多かった。
なんか、めっちゃ合体した巨大ゾンビとか物体と融合してる見
た目が攻撃的なゾンビとか……
他にも実験動物だった馬や象と言ったゾンビも多数いたらしい。
災厄が多数存在することから災多舞と呼ばれている。
薬品やら食料、燃料やらが最も多いと思われる。
軍魔、災多舞に隣接する区画
少数都市計画以降は日本最大の居住区としていた。
必然、県人口が最も多く、ゾンビの数がヤバイほど多かったらしい。
まるで軍団のようにゾンビが居ることから軍魔と呼ばれるように……。
ちなみに最も多く軍事制圧行動が行われた場所でもあり
ゾンビになった軍人なんかもかなり居るとか。
武器とかはここが一番多いかもしれない。
暁「なるほどな……なんかのゲームみたいな説明だが
……リアルだから余計困るな。」
クイーン「ちなみに私は元々栃木に居たわ!
栃木、群馬、埼玉、東京と回って東京旧地区まで来たのよ!」
咲実「三都市制覇してきたのか……よくやるな。」
クイーン「施設が生きてそうなのがそこら辺しか無かったのよ。
茨城、千葉、神奈川も健在だったけど全部回る元気はなかったし」
クイーン「関西地方も稼働してたけど
初期の頃に音信不通になったからどうなってるかわからなかったし」
暁「消去法で最も確率の高い場所を回ったってことか」
クイーン「そういうことね。軍魔は本当にやばかったわ。
めちゃめちゃゾンビ多いし、代わりに武器をたくさんゲットできたけど」
暁「行くかどうかは今後の進行次第だろうな。」
咲実「世界を救う必要があるなら絶対に行く必要はありそうだけどな。」
和「ですね。でもまずは目先のことですね。」
暁「東京新地区だな。」
クイーン「ここにはまだ生存者とかも居る可能性があるから気を付けてね。」
咲実「まぁ、どさくさ紛れの暴徒なんざ、ぶっ殺せばいいと思うけどな。」
和「そうですね。暁様に手を出すやつは容赦なく殺りましょう。」
クイーン「……暁くんは強化されてるから銃程度じゃどうにもならないし
あなた達も半ゾンビ化してるから簡単には死なないけどね。」
和「そんなの関係ありません!暁様を攻撃するものは全て敵です!」
クイーン「貴方そんなキャラだったっけ?
前はもうちょっと、こ~博愛キャラだったと思うんだけど?」
和「私の愛は全て暁様のものですよ?」
暁「真顔で何言ってんだ……。」
クイーン「暁くんの血による隷属効果……なのかな?」
咲実「隷属かどうか知らんがオレも暁にならって思う感じはあるな。
流石に和ほどじゃないが……。」
クイーン「ん~暁くんの血の作用も全部わかってるわけじゃないし
……惚れたら一直線みたいなところもあったからなんとも言えないわね。」
暁「個人的に異常な気がするんだが……。」
クイーン「どうかしら……貴方のお陰でゾンビ化から救われたって考えると
普通の人よりは好意的になると思うし……。」
暁「さいですか……」
和「私の思いは……迷惑ですか?」
暁「いや、全然」
和「えへへ……良かったです。」ハート
クイーン「は~い、いちゃいちゃは後にしてくださ~い」
和「ご、ごめんなさい。」
暁「いちゃいちゃは否定しないのな……別にいいけど」
クイーン「とりあえず、島凶に行くにあたって注意事項をいいます。」
クイーン「一つ、もしものときは自分の頭は持って帰ってきてください。」
暁「いきなり何言ってんだ?」
クイーン「半ゾンビ化でも頭が離れると普通に機能停止しちゃうので
殺られたら必ず持ち帰ってね。」
クイーン「逆に言えば頭さえあればどうにでもなるよ?」
和「わかりました。」
咲実「了解~」
クイーン「あ、ちなみに暁くんは対戦車砲の直撃を受けても傷一つつかないぞ☆」
暁「なんでやたらオーバースペックなんだよ。
もしかして、途中で遊んでたのか?」
クイーン「…………二つ~」
暁「おい、否定しろよ。」
クイーン「食料、燃料、機材……特に車とかをできれば持って帰ってきてね。」
暁「車って持ち運べるのか?」
クイーン「咲実ちゃんの身体検査をしたら
10tくらいは持ち運べることが判明したのよ。」
暁「マジでか!?一回死んだ後のパワーアップおかしくね!?」
咲実「鍛えてたから……で説明はつかねぇよな。」
暁「まじでそうなら今すぐ軍魔行って軍人を復帰させるわ。」
クイーン「何か理由があるのかもしれないけど……
そもそもサンプルが少なくてよくわからなかったわ。」
クイーン「今後、復帰した数が増えていけば何かわかるかもだけどね。」
クイーン「それは置いておいて、
車があれば今後の移動も楽になるからお願いね。」
咲実「はい!ヘリはダメですか?」
クイーン「全然ありよ。むしろ推奨するわ。移動が楽になるだろうしね。」
クイーン「三つ、突然変異種の情報をお願いします。捕獲でもいいよ?」
暁「なんでそんなのを?」
クイーン「情報集めは大事でしょ?
もしも、暁くんに襲いかかるんだったら色々調べなきゃだし」
クイーン「なんで変異したのかがわかれば
今後の方針が変わるかもしれないしね。」
暁「なるほど……できれば頑張ってみる。」
そんな感じで注意事項を聞き、方針も決め、東京新地区へと向かうことになった。
第一目標はそれっぽい反応をしそうなゾンビを連れてくること、しかも生け捕りで
理由は半ゾンビ化の前と後での違いの調査と二人との共通点を調べるため
第二目標は食料の確保
まだ余裕はあるがあって困るものでもないけどある程度は確保するように
ゾンビは食料に目もくれないのでまず間違いなくあるとのこと
施設とかになくても食料プラントに行けば100%あるので
回収してくるように……とのこと
特にポテチとかあれば最高です!
と言ったクイーンは和の目の色が真っ赤になった瞬間
土下座して戯言を言って申し訳ありませんでしたと謝罪した。
よほど壮絶なお仕置きをされたらしい……。
まぁ、食料は食べれるものならなんでもいいそうだ。
第三目標は生存者の救助
わりと望み薄だが……可能性はゼロではないので積極的に……。
ただし、暴徒の類なら普通に迷惑なのでこっちで処理するように
殺しとか普通に嫌なんだが
和を乱すようなのを入れると普通に邪魔だし
食料も無限じゃないのでそんなのに消費するくらいなら
ということで多数決で決定した。
第四目標、道具とか燃料
今後、探索を快適にするために車とかヘリとか銃火器とか
そういうのを集めて来てほしいとのこと
基本的に電力とかは
俺の頭では理解できない技術による自家発電を使ってて特に問題ないらしいが
燃料の類は別個でプラントとかにあるやつがないと効率の問題でダメらしい
そういうわけで移動とかを楽にするなら燃料必須
より効率的に移動したいなら車とかヘリとかを持ってきてほしいらしい。
暁「とまぁ……目標はこんなところか……多くね?」
咲実「仕方ないだろ。どれも必要なものだしな。」
和「ですね。どれも無いものでもありませんし、
今後のためにも出来る限り集めましょう。」
暁「そうだな……とりあえず、張り切っていくか」
クイーン「武運を祈ってるわよ!」
暁「………………」
クイーン「な、なに?……さ、流石に行かないわよ!行かないわよ!!」
暁「……足手まといになりそうだし、やめとくか」
クイーン「そうだそうだ!私は足手まといだから行かないもん!」
咲実「自分で認めるのか……。」
クイーン「そもそも私は頭脳派なのよ!
あんな危険地帯に連れて行こうとしないでよ!」
暁「現場の苦労ってやつを教えてやろうと思ってな。」
クイーン「私、これでも栃木からここまでかなり苦労してきてるのよ?
現場の苦労ってちゃんと知ってるわよ?」
暁「それはそれ、これはこれ定期的に締めておかないと調子乗りそうだし……。」
クイーン「のらないわよ!乗りませんから早く行ってください!」
暁「ま、留守は任せるぞ」
和「食料はちゃんと分けてますからね。勝手に取ったら説教ですから」
クイーン「サー!肝に銘じます!サー!!」
咲実「お土産期待しててね~」イッテキマス
クイーン「はーい」ノシ