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ワールドエンドルート  作者: イカランム
6/67

EP:05 スーパーさくみんと真の恐怖

暁「…………」


クイーン ( ゜д゜)ポカーン


咲実 ( ゜д゜)ポカーン


咲実「えっと……。」


暁「よし、探索範囲が広がったな。」


クイーン「反応おかしくない!!?

軽い正拳突きだよ!?正拳突きでふっとんだよ!?土砂とビルっ!!?」


暁「よくあるよくある。」


クイーン「無いよ!?あってたまるか!だよ!?」


咲実「や、やべぇ……オレって実は野菜人の生き残りとか?」


暁「なにそれ超羨ましい。ゾンビパニックとかぬるゲーじゃん」


クイーン「認識おかしくない!?

ふっとんだんだよ!?爆薬使わないとダメな障害物がふっとんだんだよ!?」


暁「まぁ、結果的に吹っ飛んだが今後楽になるならいいんじゃね?

障害物が台風に飛ばされる看板並みになるなら特に問題なくね?」


クイーン「問題なくないとおもうよ!?

え?私がおかしいの!?ねぇ!?」


咲実「オレもおかしいと思うけど……

ビビられるよりは……まぁ、いいかな?」


クイーン「この状況に眉一つ動かさない彼のほうが

咲実ちゃんより怖いんだけど……。」


暁「失礼だな。大声出してビビればいいのか?」


クイーン「それが普通の反応だと思うよ?」


咲実「されるとオレは傷付くと思うが……うん、それが普通の反応かな?」


暁「うわぁぁぁ!?すげぇ!?

障害物吹っ飛んだ!?コレで満足か?」


クイーン「思ってたのとぜんぜん違う……それは驚きじゃなくて驚嘆じゃない?」


暁「一緒一緒、と言うかコールドスリープから目が覚めたと思ったら

世界がゾンビパラダイスだったとかの方が普通にビビるしな。」


咲実「それは……まぁ、たしかに」


暁「しかもお前は世界を救う希望の星だっとか言われるんだぞ?

それに比べたら驚くことなんてなくね?」


クイーン「それとこれとは話が別だと思うよ?」


暁「価値観の相違だな。」


クイーン「その程度のことなのかな……私がおかしいのかな?」


暁「それよりも探索範囲が広がったし、一旦帰ろう。

準備とか全然してないしな。」


咲実「いいのか?オレのパワーがあれば楽勝なんじゃないか?」


暁「過信はダメだろ。どんなに強いヒーローでも油断したらやられるからな。

あと、クイーンはぶっちゃけ足手まといだしな」


クイーン「ぶっちゃけないでよ!?

ていうかそんなの最初から分かってたじゃん!」


暁「分かってたが一回痛い目に合わせとかないと絶対に調子乗るからな」


咲実「あぁ~」


クイーン「納得された!?そこまでひどくないよ!!」


暁「はいはい、帰りはおんぶして全力で帰るから……なっと」


クイーン「うわーいおんぶだ~って喜ばないよ!

そんなにおこちゃまじゃないよ!」


暁「はいはい。咲実、行けるか?」


咲実「ふふふ、このパワーアップしたスーパーさくみんに追いつけるかな?!」


暁「ノリノリだな。気持ちはわかるが」


咲実「油断がダメなのはわかるけどちょっと正直……凄い嬉しい」


暁「いきなりスーパーマンみたいになった状態だもんな。

俺もそっちのが良かった。」


クイーン「咲実ちゃんほどじゃないけどパワーアップしてるんだよ?」


暁「地味だろ。せめて波ァッ!みたいなのが出せたほうが嬉しい」


クイーン「腕にビームでも付ける?」


暁「やめとく、何かの拍子で腕が吹っ飛びそう。ってことで帰ります。GO!」


咲実「おぅ!」


ドパンッ!!


咲実とほぼ同時にその場に突風を吹かせて拠点へと帰る。


背中に居るクイーンがなんか叫んでたがサラッと無視し、

かつてはあり得なかった速度で屋根を飛びながら全力疾走した。


が、咲実の方が俺の何倍もパワーアップしてるらしく、余裕で追い越された。

クイーンが背中に居るハンデを入れても言い訳できないレベルで負けた。


悔しい気持ちより、あ~頼りになるなぁという気持ちのほうが強く

先に拠点にゴールして無邪気に喜ぶ彼女を見てほっこりした。


しかし……この時はまだ気付いていなかった。

俺たちに迫りくる恐怖というものに……。


その日……俺達は本物の【恐怖】というものを刻み込まれる事になる。


和「…………」ゴゴゴゴ


美少女メイド……和によって……主にクイーンが


クイーン「え、えっと……なんで凄い怒ってるの……凄い怖いんだけど?」


咲実「や、やべぇ……。

悪いことした覚えはまったくないのに土下座したくなるほど怖い。」


暁「は、はは……。

咲実が障害物吹き飛ばしたときよりも心が震えるな……主に恐怖で」


走馬灯のように今までの行いを全力で振り返り、土下座するタイミングをはかる俺

正直、彼女を怒らせた覚えは全くない。

クイーンと違って家事は手伝うし、彼女の指示には逆らわない。


だって家のことについて彼女以上に正しいことなんて無いし!

だが、この怒り様は尋常じゃない。なにかあるはずだ……何か……何か


と、その時、彼女は後ろに隠していた手をすっと前に出した。

そこに握られていたのを見た瞬間……俺は理解した。


和「…………」ニッコリ つ[ポテチ袋]


暁(クイーン……南無)


クイーン「ぴ、ぴゃぁぁぁぁぁぁ!!」ダッ


状況を理解し、即座にクイーンは逃げ出すが……。


和「逃しませんよ。」ヒュンッ


クイーン「あわわわわ」


駆け出した直後にクイーンの目の前に回り込む

あまりの速さにクイーンはその場で尻餅をついた。


和「クイーン……私、いいましたよね?」


クイーン「な、何をですか……」涙目


和「そろそろ食料が足りなくなってきたので

勝手におやつ食べちゃダメって……いいましたよね?」


クイーン「え、えっと……。」


暁「ん?食糧不足だったのか?」


和「…………なんで、暁様が知らないんですか?」


暁「聞いてないからなんだが……。」


クイーン「はわわわわ」ガタガタブルブル


和「クイーン、伝えておいてくださいって……いいましたよね?」


クイーン「あわわ」ガタガタブルブル


和「い・い・ま・し・た・よ・ね?」


クイーン「つつつつ、伝え忘れてましたごめんなさい!!!!」ビクビクブルブル


和「そう……伝え忘れてたんですか~……そうですか~」


クイーン「ごめんなさいごめんなさい!」ガクガク


圧倒的恐怖……無関係の俺も咲実もその場を動けなくなるほどの圧倒的恐怖

咲実が障害物ふっ飛ばした程度はむしろ些事と思えるほどの恐怖があたりを包む


少々遠くにゾンビが見えたが……

この恐怖に抗えないのか理性がないはずのゾンビが引き返すほどの恐怖


その渦中にいるクイーンはマッサージマシンのようにブルブル震えていた。

流石にあそこまで怯えられると許してもいいかなぁ……と少し思ってしまうが

和はそんなに甘くなかった。


和「お仕置きですね♪」


クイーン「ヒィァァァァァァ!!」ガタガタ


それはもう、清々しいほどの笑顔で告げられたセリフに

普段なら可愛いとかドキッとしそうなのに今は冷や汗が流れるばかり……。


咲実「さ、流石にそのくらいにしておいたほうが、な。反省してるだろうしさ?」


クイーン「……コクコクコクコク」ブンブンブンブン


咲実のフォローにちぎれそうな勢いで首を振るクイーンだが

和はその程度じゃ止まらない、というか和は理不尽に怒らない。

ちょっとしたことならメッとするくらいだ。


しかし、今回のように冷酷な怒り方をする時は相当な理由があるはずだ。


和「普通なら私も許しますよ?でもですね。

暁様のところから食料を奪ったのは看過できないんですよ。」ウフフ


俺、和、クイーンが共同生活するようになってから、

いつの間にか食料の一部を三人で分けるようになった。


その一部というのが主にお菓子やジュースの類

滅多に見つからないレア物資なだけに和は必ず均等になるように嗜好品は分ける。


最初は私のものは暁様のものですから♪とか

ふざけたことを言ってたがちゃんと三等分で分けている。


当然、分けているんだから勝手に取るのはご法度だ。

勝手に取ればどうなるか……まぁ、想像できるんだが

想像力が弱かったのか欲に負けたのか


クイーンは今……言い逃れの出来ない絶望の淵に立たされていた。


和「別に私のところならいいんですよ?興味ありませんし?

むしろ、私の分で喜んでくれるならそちらのほうがうれしいですよ?」


和「でもね……私を救ってくれて今度沢山の人を救ってくれる暁様のモノを

暁様のを勝手に取るなんて許せるわけないじゃないですか?ねぇ?ねぇ?ねぇ?」


クイーン「怖い!怖い!怖い!」ビクビク


こういう姿を見ると……あぁ~和もやっぱりゾンビ化してるんだなぁ……と思う

どこかしらのネジが飛んでるんだろうなぁ。


咲実「…………」チラッチラッ


咲実がなんとかしたほうがよくないか?的な視線を俺に向けるが……


暁 (ヾノ・∀・`)ムリムリ


正直無理、100%クイーンが悪いし、フォローのしようがない。


和「二度とこんなことをしないようにき~~っちりお仕置きしますね♪」ガシッ


クイーン「た、たす……タスケ」ズリズリ


和「うふふふふふふふふふふふ」グイグイ


背筋が凍る様な笑い声を残し、見た目から想像はつかない程の力で

地面にしがみつくクイーンを引きずって拠点の奥へと連れて行った。


咲実「お、オレ……絶対に……ぜ~~~ったいにあいつを怒らせない。」


暁「それが懸命だな。」


ミギャアアアアアアアアアアアアア


盛大に響くクイーンの悲鳴を背景に俺たちは身を寄せながら拠点へと戻った……。

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