EP:57 黒焦げリヴァイアサンと電磁砲
二日後
軍事施設から戻って、しばらくの休暇が挟まった。
理由は2つ
一つは電磁兵器の開発、クイーンと白、トウカは手伝っていたが
流石にこっちで手伝えることもなかったので
拠点の範囲を広げる作業以外にすることがなかった。
もう一つはリヴァイアサンの停止
最初は急速に再生を始めていたリヴァイアサンだったが
ここに来て、急に動きが鈍り始めた。
再生していないわけじゃないが急速さは鳴りを潜めた……。
これをキッカケに、俺達は念入りに休むことにした。
リヴァイアサンの動きに嵐の前の静けさを感じたからだ。
何事もなければ良いんだが……。
暁「進捗の方はどうだ?」
ビショ「おや、暁くん、こちらは順調だよ。
もうすぐ、稼働レベルにまで持っていけそうかな。」
一日目はしっかりと居住区で休んだが流石に手持ち無沙汰になってきて
研究室の一角……正確には中央施設の高台に来ていた。
高台に居るのはビショップとクイーンと白、それに機械兵の人たち
すぐにでもリヴァイアサンを攻撃できるようにと
電磁砲の基本設計を終えてから設置予定地に組み立てていた。
暁「随分と早いな。」
ビショ「いやぁ~基本核を持ち帰ってくれたからねぇ
外殻に関しては既存の技術でも問題なかったし、核さえアレば簡単だったよ。」
白「データを貰ってもよくわからなかったから
念のために持ってきたのが功を奏したね。」
かなり重要なものを持って帰ってきたからこその完成速度らしい。
これならリヴァイアサンにも対抗できる……と思うが
想定の期日は明日……今のところ動きはないが
暁「今日中に動かせそうか?」
ビショ「まぁ、不可能じゃないけど……なにかあるのかい?」
暁「なんとなく、今日の朝から嫌な予感が収まらなくてな。」
ビショ「嫌な予感。鋭敏な感覚による何かかな?」
暁「そこまでは分からんが……どうにも動きが鈍いのが気になってな。」
白「確かに……最初は凄く早く治癒しようとしたのに
今は大人しいのは変だよね。」
クイーン「普通にエネルギー切れとか?」
暁「それは希望的観測すぎるだろ。」
クイーン「まぁ、だよねぇ~」
これまでの中で最大規模のゾンビだ。
今までであってきたゾンビにはある程度の大きさになると
知能が備わることがわかっている。
となると、今の落ち着いた状況は何かを狙っているようにしか見えない。
何を狙っているかまでは分からないが……。
ビショ「そうだね。元々のんびりしてる暇なんて無いしね。
完成まで速度を上げていこうか」
クイーン「うぇ~……もう私休みたいのに……。」
白「昨日まで休んでたじゃない?」
クイーン「昨日は昨日!今日は今日だよ!」
白「はいはい、しっかり働こうねぇ~」
クイーン「まぁ、働くけどさ~」
いつもなら駄々をこねるクイーンだが
今日は思ったよりあっさりと作業に入った。
彼女も今の状況で落ち着けるとは流石に思っていないんだろう。
クイーン「はぁ……早く落ち着いて過ごしたいなぁ……。」
白「なんだかんだ怒涛の毎日だもんね。」
ビショ「その分、少しずつ進歩してるってことじゃないかな?」
暁「進んでるからこその怒涛だろうしな。
あのリヴァイアサンを始末できるようになれば暫くは落ち着くだろうよ。多分」
クイーン「多分かぁ……まぁ、多分だよね。」
暁「どうやっても確証は得られないからな。」
ビショ「得られるのは全てのゾンビが何とかなったときだけだね。」
暁「果たしてなるのかどうか……。」
クイーン「とりあえず、有限だし、頑張ればなんとかなるよっ!」
白「一日100人半ゾンビ化したとして、
70億人を半ゾンビ化するのに7千万日、年にすると約19万年かかるね。」
クイーン「うわぁ……。」
暁「途方もないな。」
ビショ「ま、まぁ、技術が進化すればなんとかなるさ!
人類はそうやって進歩してきたんだからね!」
暁「その果に滅亡したけどな。」
白「それも歴史だと思うな。」
そんな下らない話をしながら開発を進めていく面々
あいかわらず、どういう技術かよく分かってないが
急ピッチで開発は進められていき……。
…………
………………
咲実「ウォォォォ!!スゲェェェェ!!」
アツキ「電磁砲!電磁砲だ!」
何とかその日の夕方に完成させることが出来た。
とりあえず、試射を行うということで全員がこの場に集っていた。
高台に鎮座するやたら近代的な長砲身の砲台【電磁砲】
暁「こいつで倒れてくれればいいんだが……。」
ビショ「理論上はリヴァイアサンの核まで焼き払えるはずだけどね。」
白「エネルギーの充填は終わったよ。」
目標は無論、黒焦げのまま動かないリヴァイアサン
極低速で再生活動を行っているが……動きはいつのまにやらゆっくりしている。
次の行動までひとまず……という意見もあったが
何が起こるかわからない世界。
先手を打てるなら打つべきだ……という方針に
暁「これで終わるならそれで良し、
アトランティスと合流して一歩前進だ。」
ビショ「ま、終わらなくても次を目指せばいいだけなんだけどさ
電磁砲のデータはしっかり取ったからね。」
ビショ「核さえ抜き出していけばすぐに別のところでも作れるよ。」
クイーン「出来ればこれで終わってほしいけどねぇ……。」
クイーンの言葉に全員が頷く……。
なんにしてもこの一撃で今後が決まる。
ビショ「それじゃ、さくっと倒して次にいこうか!」
ビショップのセリフで白がノートPCに何かを打ち込む。すると
グォォン……キィ――――
電磁砲が低く唸り、高音を発生させて力の脈動が辺りに漏れ出す。
咲実「うぉぉ……す、すげぇ……。」
アツキ「震える」
いかにもアニメチックな光景に咲実とアツキもなかなか興奮している。
いや、彼女たちに限らずこの場にいる全員が高揚している。
かつて無いほどに力を感じさせる武器の動きを見守り……。
白「行けるよ。」
ビショ「よし、目標!リヴァイアサン!」
クイーン「砲身セット完了だよ!」
ビショ「発射!!」
ギュォォンッッッ――――!!!!
合図とともにものすごい衝撃が周囲に放たれ
エネルギーが光の束となってリヴァイアサンを貫く
光の束はリヴァイアサンを貫き、海に巨大な風穴を開けた。
白「………………うん!リヴァイアサンの再生が止まった!」
クイーン「せ、成功!?成功だよね!?」
ビショ「あぁ、成功だよ!」
咲実「っしゃあああああ!これで進化型にも対抗できるな!」
ビショ「まだ砲台型だからすぐには無理だけど
小型化を成功させれば問題なくなるよ。」
蛍「一歩前進だよね!」
トウカ「一歩どころか……今まで散々苦しめられてきた進化型を倒せたんです。
これでようやく世界が救える日が現実になりましたよ。」
歓喜する面々、予想を下回ること無く、最高の結果を出したんだ。
喜んで当然、喜ばないほうがおかしい……。
そう、喜ばない俺とアツキは確実におかしかった。
暁「白、直ぐに次のエネルギーの充填を始めろ。」
白「え?」
暁「最悪だ……。ずっと動かなかったのはこれか」
白「え、え?」
咲実「お、おい、なんかあったのかよ?」
クイーン「え……ちょ、止めてくれない?
リヴァイアサン倒して終わりで良くない?」
暁「それはあれに言ってほしいな……。」
??「ヴォォォォォォォォ!!!!」
どこからかは俺にはわからなかったが
とてつもない雄たけびがあたりに響き渡る。




