EP:56 帰路と帰還
暁「はぁ、毎回毎回、なんでこんな修羅場になるのか……。」
運が無いとしか言い様がないんだが
ここのところ探索の度に進化型に追い掛け回されている気がする。
しかもどれもこれも手に負えないレベルの存在だ。
咲実「その光景もいつものことになりつつあるな。」
和「心配させないでください……。」ギュー
暁「そう……だな。」
ヘリに乗り込んですぐに飛んできた和が俺の身体を抱きしめている。
最近定番になりつつある光景だ……。
毎度心配させて申し訳ないと思う反面、もう手におえないような気がしてくる。
クイーン「まぁ、無事でよかったよ。かなりヤバかったみたいだしね。」
咲実「キモさもとてつもなかったけどよ。しぶとさは更にやばかったぜ」
トウカ「よほどの数を吸収したんでしょうね。
普通に言葉を喋っていました。」
暁「対話できるほど理性はなかったがな。
小細工してくる程度の知能はあるみたいだ。」
クイーン「う~ん、聞いてるとどんどんジリ貧になってく気配があるね。」
白「人類数十億人全部がゾンビと仮定するなら
相当な数がいるってことだからね……。」
暁「それに対抗する最後の希望になるかもしれない電磁兵器はどうだ?」
白「それが……。」
暁「何かあったか?」
和「いえ、回収は問題なく、暁様たちが惹き付けてくれたおかげで
重要なパーツも全部集めてきました。」
和「ですが、どうやら白さんやクイーンでは
少々理解できない技術が使われていると……。」
クイーン「私の専門は人体だしね。」
白「私は色々だけど強いて言うなら電気系だし……。
兵器に関してはちょっと厳しいかな。」
白「でもすごい技術が使われてるってのは分かるよ。」
白「それにどうやら実用されてた電磁兵器は
アサルトライフルみたいな形状だったらしいよ。」
咲実「まじで!?レーザーとか
もっとごっつい、戦艦につけるとかそんなんじゃねぇの!?」
白「私もそれを想像してたんだけどね。」
和「奥に設置してあった電磁兵器はあくまで旧式のモノのようで
実際に使用された形跡はありませんでした。」
和「おそらく、あれをモデルに小型実用化したものが使われていたのかと」
暁「まじか……もしかすればどこかに武器が転がってたかも知れんな。」
クイーン「それはどうだろう……。
実際に戦ってた場所はハルクがいたしね。」
クイーン「大抵は潰されてるだろうし、残ってたとしても」
暁「大ムカデとハルクを相手に回収するのは厳しいか……。」
クイーン「だね。」
白「このデータとパーツでビショップさんが作ってくれるのを願うしか無いね。」
暁「データはもう転送したのか?」
白「うん。向こうも設置に忙しそうだから内容は聞いてないけど
ちゃんと受け取りの連絡はあったよ。」
咲実「ってことはしばらくは休める感じ……かね?」
白「うん、思ったよりリヴァイアサンに動きがないみたいだし
人員を確保できたから施設設置もだいぶ進んでるってさ。」
暁「なら、電磁兵器を待って再戦……。」
咲実「そのままアトランティスと合流ってわけだな!」
リヴァイアサンの登場でだいぶ遠回りになったが
ようやく一筋の光が見えてきた。
何度も障害が現れては世界救済の道を塞がれてきたが
電磁兵器とアトランティスの存在が希望の世界への道を照らしてくれる。
まだ現実になってるわけじゃないが……それでも大いに可能性はある。
目を覚まして、僅かなメンバーでひたすらゾンビに血を飲ませていく
ってのよりはずっと現実的だ。
各々、拠点へ戻るヘリの中、これからの未来に目を向けていた。
…………
………………
ポーン「おらーい、おーらーい!」
軍事施設から脱出して3時間、ようやく長い空の旅を終えて拠点に戻った。
多分ここが拠点のはずだが……。
暁「なんとまぁ……随分と様変わりしたな。」
ビショ「いやぁ~ついつい」
ここを出てまだ数日なんだがボロボロに崩れていたビルや建物が一掃され
かなり大きなドームが拠点の中央に陣取っていた。
他にある建物は今いるヘリポートのあるビルが数カ所と
おそらく、電磁砲を設置するであろう高台が幾つか用意されていた。
それに……それらの中央に電磁砲らしき巨大な砲台
咲実「え!?あれ電磁砲!?なんであんの!?」
ビショ「あ~あれはハリボテだよ。」
咲実「ハリボテ!?」
ビショ「とりあえず貰ったデータでこんな感じかなぁ?
と作ってみたんだよね。」
ビショ「ほら、もう時間的に作って即設置しないといけない感じだしさ?
とりあえず、仰角とか色々調べるためにね。」
咲実「なんだ~ちょっと期待したのになぁ。」
ビショ「あっはは、ごめんね。」
暁「それにしてもよくここまで準備できたな。」
ビショ「まぁ、機械だからね。特に睡眠時間はいらないし……
ここは素材がいっぱいあったからね。」
ビショ「今まではわざわざ集めなきゃダメだったからさ」
なるほど、前の拠点でも殆どは解体した施設で賄ったが
足りないものは色々と集めてくる必要があった。
ビショ「ここは古いとは言え工場や研究所なんかも豊富だったからね。」
暁「その分捗ったのか」
ビショ「そんな感じ、それにやっぱりリヴァイアサンがいるからね。
必要になる居住スペースと研究所くらいしか用意してないんだ。」
暁「あぁ、いざという時にすぐ離れるためにか」
ビショ「そういうこと」
それでも十分早いが寝る場所があるのはいいことだ。
ビショ「あ、ちなみに僕らと暁くん&女性陣の居住区は分けてるからね!」
言いながら親指をぐっと立てるビショップ
暁「そんな気遣いはいらんのだが……。」
ビショ「まぁまぁ、リヴァイアサンがいるからまだあれだけど……。
いずれはほら、子供をさ?沢山さ?」
言ってること分かるよね?みたいに濁してくる態度に軽くイラッとくるが……。
言ってることが間違ってないだけに怒るわけにも行かない。
暁「アトランティスと合流すればそこまで急ぐ必要もないだろ。」
ビショ「いや~正直それはどうかなぁって僕もね。
ほら、僕たちは機械化して生き残ってるわけで……。」
暁「あぁ……アトランティスもマトモなまま行きてるとはいえないのか」
俺達だってゾンビ化したり、そもそもゾンビだったり、
人外改造されたりで生き残っている。
ビショ「僕らはまだ人形だからいいけど……
もしかしたら異形化してる場合も……なくはなかったりなんかしたりね?」
暁「流石にそれはないと思いたいが……。」
リヴァイアサンに対抗するためなのかどうか
向こうには強力な電磁バリアが張っていてドローンでは連絡が取れない。
動きは停止しているし、こちらの存在には気がついているだろうが
間にリヴァイアサンがいて直接対話することも難しい。
だから中の状況は全くと行っていいほどわからない。
ドローンで中に人がいることだけはわかってるが……。
ビショ「僕達もそこまで非常識なつもりはないからね。
最悪、本当に全員が化物だったら番にしようとはしないよ?」
暁「いくらなんでも人外をあてがわれても困るが……。」
ゾンビも人外ではあるんだが……普通に人形だ。
これでも萌えの溢れる現代人だし、耳や尻尾なら大丈夫
下半身が馬とかタコとかでも問題ないが
魚や犬、リザードマンとかに興奮する特殊な性癖は流石にない。
ビショ「中にいるのが人外じゃないことを祈るしか無いよね……。」
人外はびこる世界なだけに笑い事じゃないから笑えない……。
ひとまず、回収してきたもので
リヴァイアサンに対抗する兵器を作るということで俺達は先に休む事になった。
本来ならビショップたちも……と思ったが
もともと作るものが少なかったせいか、
施設を用意してからずっと休憩状態だったらしい。
流石に交代で働いていたメンツは休むことになったが
ビショップを含め、一部のメンバーは新兵器開発をすることになった。




