EP:45 制圧後と襲来
和「暁様!」
暁「ごっふっ!」
設置部隊との合流はもはや恒例になりつつある和の抱きつきから始まった。
予定通り、掃除を始めて1時間ほどで設置部隊も到着
着陸とほぼ同時に飛び出してきた和をキャッチすることになった。
蛍「ひゅひゅー熱いね~」
トウカ「いいなぁ……。」
白「突撃すれば抱きしめてくれるよ?」
トウカ「そ、そんなつもりは!?」
暁「運転おつかれ。」
和「ほとんど自動操縦でしたが……。ありがとうございます。」
アツキ「にゃ~ふわふわする。」
クイーン「乗り物酔いした……。」
ポーン「だ、大丈夫ですか?」
和は飛び出してきたがほかは普通に降りてきた。
いや、クイーンだけ地面に四つん這いで倒れたが……。
和「あぁ、忘れてました。どうぞ、お薬です。」
クイーン「あ、ありがとう。」ゴクゴク
クイーン「ふいぃ……ヘリとか初めてだったけどめっちゃキツかったよ。」
暁「振動はまったくなかったと思うんだが……。」
クイーン「浮遊感がね。なんか怖かった。」
アツキ「にゃ~」
アツキもクイーンほどじゃないがヘリは微妙だったようだ。
前回はトランプに集中してたからそこまでじゃなかったんだろうか?
暁「大丈夫か?」
アツキ「ヘリの風呂熱い」
暁「そういう……。」
よく見るとホカホカと湯気が出ている。
この状況でヘリ風呂とはなかなか豪胆な子だ。
アツキ「アツアツ」
暁「くっつくと余計熱いと思うが」
手を広げるアツキを抱っこする。
こっちは少し寒いくらいだったからちょうどいい温度な気がする。
クイーン「しゃっきりした!」
そんなことをしている間にクイーンが復活したようだ。
クイーン「状況は大体聞いてるよ!先にエネルギー供給施設建てるよ!」
通信機を通じてある程度情報交換をしていた。
クイーンの指示で供給施設を建てる場所は既に確保してある。
機械兵のポーンとトウカは変な影響を及ぼすかもしれないという事で
電磁防壁のポータルを制圧した二箇所に運ぶことになった。
クイーンと白が指示担当、蛍は二人の護衛で
俺とアツキ、和が設置担当になる。
アツキ「にゃ~」
相変わらず気の抜けた声で自身の体積の何十倍もある塔を持ち上げるアツキ
相当な重さがあるらしいが……彼女は随分と軽々持っている。
クイーン「んっと……中心がこのあたりで……
エネルギー波がこんな感じだから」
白「一応、300mくらいは開けたけど」
クイーン「じゃあ、ここに立てたほうが良いかな?」
白「シミュレートは……うん、問題ないね。」
クイーン「オッケオッケ」
コンパクトPCでの打ち合わせが終わったらしい
こっちに来るのではなく通信機が繋がった。
クイーン『テステス、聞こえてる?』
暁「聞こえてるぞ」
クイーン『オッケ~ここからは通信を繋ぎっぱなしで行くからね。』
暁「分かった。」
俺の返答と同時に彼女たちの横にあったものが中に浮き上がる。
カメラを付けたドローンらしい。俺の時代だとプロペラで動いてたはずだが
どういうわけが無音で空中に浮いている。
白『ドローンカメラを使った遠隔サポートの実験もするからお願いね。』
群馬の一件があってから準備したらしい。
行くだけで危険な場所も多いから無人で捜索できる物が欲しかったんだそうだ。
まだ、長距離を移動する能力はないみたいだが
いずれは無人で探索できるようにするんだとか
今回はその為の実験も兼ねている。
次にいつチャンスが有るかわからないから
一気にやってしまおうってことの事
暁「アツキ、行けるか?」
アツキ「モーマンタイ」
和「私もいけます。」
暁「よし、案内する。こっちだ。」
クイーン『問題はないと思うけど警戒は怠らないようにね。』
暁「分かった。」
こうして設置の要であるエネルギー供給施設の設置を開始する。
と言っても
クイーンの指示に従いながら未稼働のエネルギー施設に設置するだけだ。
設置自体もかなり簡略化されていて、
施設の天井にぶっ刺してプラグを繋げば済むんだとか
今後、拠点を作っていくために改造したと言っていた。
設置は問題なく進み……。
同時進行でポーンとトウカの方もポータルの設置をしていたらしく
一時待機の後に供給施設を稼働させると
直後高圧電流が塔のてっぺんから放たれた。
全身の毛が跳ね上がるほどの電気が辺りに充満し
ポータルに向かって飛び出す。
すると、2本のポータルの間に可視できるほどの電流の壁が現れた。
クイーン『っし、成功だよ!』
暁「ふぅ……まずは一安心だな。」
今回の移設の要が電磁防壁がちゃんと稼働するかどうかだった。
出力や強度、それ以外にも一定値に満たない可能性があった。
その場合はすぐに撤退することになってたが……どうやら問題ない様子
通信機の向こうでビショップに通信している声が聞こえる。
白『ん、掃除ロボットの稼働速度も上がったみたい。』
暁「ふむ……あぁ、あれか、たしかに早くなってるな。」
アツキ「おぉ~すげぇ……なんか瓦礫の山消えた」
和「東京では気が付きませんでしたが
エネルギー供給がないと天地の差があるのですね。」
暁「みたいだな。」
この様子ならすぐに一帯の清掃が終わりそうだ。
流石に歩いてるゾンビはどうしようもないらしいが……。
蛍『ヒャッフーイ!』ドゥン
蛍の狂喜の声と共に狙撃音が通信機から聞こえ、遠くに居たゾンビが倒れた。
白『掃除は大丈夫そうだから急いで拠点制圧に動くよ。』
暁「分かった。」
蛍は先に指示を受けて狙撃を開始したようだ。
俺とアツキ、和はチームで制圧を開始
ポーンとトウカもペアで行動していくみたいだ。
持ってきていた装備をアツキに渡して、
トウカペアの向かった方向と逆方向へ向かう。
清掃に気を取られなくなったおかげで拠点制圧は驚くほどスムーズに進んだ。
最初にゾンビの数が多い場所を選んだおかげで
ほかはそれほど多くのゾンビが居なかった。
それに制圧ポイントも残り4つ、
2グループで進めればあっという間に終わる。
途中からアツキがクイーンのところへ向かって
ポータルの運搬に移行しても順調にポイント制圧が終わった。
そこからアツキのポータル運搬、ポーン、トウカの設置
俺と和で対処し終わったゾンビの運搬を進めていく
大体1時間ほどで防壁を張り終えることが出来た。
クイーン『皆おつかれ~!』
白『お疲れ様です』
暁「それなりに重労働だったな。」
アツキ「だの」
和「これでひとまずは安全を確保できましたね。」
最初は多少想定外もあったが
入念な準備のお陰で問題らしい問題もなく拠点構築を終えることが出来た。
あとは輸送部隊の収容所移設が終われば完了だろう。
暫くの間は増設したキャンピングトラックで寝ることになるが
それも数日すれば新しい拠点が作られ寝泊まりできるようになるはずだ。
既にクイーンたちはどこをどういう拠点にしようか話し合っている。
一応、仮想定では必要のない施設はすべて解体し、
外壁から1km以内のものは全て撤去する予定だ。
不測の事態に備えて見晴らしをよくしておこうという話らしい。
それにゴチャゴチャしてるとどこがデッドゾーンなのかもわからない。
進化型が出てこないように出来る限りの防衛線を構築していくことになる。
もう暫くは完全に休める時は来ないだろうが
少なくとも進化型に怯えることはなさそうだ。
暁「さて、こっちもクイーンと合流……アツキ?」
アツキ「……にゃ~」
振り返るとアツキが海の方向をずっと見ている。
様子がおかしい……。海を見たことないから遊びたいとかではなく
……何かを警戒している?
暁「なにかあるのか?」
アツキ「にゃぁ……わかんない。なんか……へん?」
暁「ふむ……。」
嗅覚を引き上げて彼女の見ている方向を見てみるが……。
相変わらず、死臭が充満しているくらいしかわからない。
彼女が見ているのは海だ。
海の底で何かがあるなら空気と一緒に海面に匂いが出てくると思うんだが
暁「急いで合流してみよう。
クイーンたちのドローンを使えば何かわかるかもしれない。」
アツキ「分かった」
和「急ぎましょう。」
アツキの感じた違和感は絶対に無視できない。
俺達の中でで一番感覚が鋭いのは彼女だ。
急いでクイーンと合流し……伝える。
クイーン「分かった。すぐにドローンを飛ばすね。」
白「念のためにあの方向の電磁防壁の威力をあげようか」
蛍「じゃ、私はスコープで見とくよ。」
トウカ「衛生カメラは……」
ポーン「あれはまだ使えないね。モニターはビショップが持ってたはずだよ。」
アツキの言葉を聞いて各々が出来ることで海を調べている。
何もなければ良いんだが……。
ザ……ザザ……
暁「ん?通信機?」
持っていた通信機から突然雑音が入ってきた。
通信ボタンを押した覚えはないんだが?
和「私のも?」
どうやらこの場にいる全員の通信機に何かしらの音が入っているようだ。
白が即座にコンパクトPCと通信機を繋げて記録と調整を行った。
?『た……けて……ぞ…び……おお…た。』
白「音が悪いかも……予測補填するね。」
?『たすけて!ゾンビ!大型!』
クイーン「救援信号?」
暁「大型って――!?クイーンヘリの起動準備!」
クイーン「え!?は、はい!」
アツキ「何アレ……ヤバイ」
通信が入って数秒くらいか……突然、強烈な臭いが鼻を貫いてきた。
場所はアツキが警戒している場所
蛍「ちょ、ちょ、ちょ!?何あれえええええええええ!!?」
超大型ゾンビ「「「「ギャァァァァァアアァァアァァアァァァァァ」」」」
なんと表現すれば良いのか……信じがたいほどの大きさ……。
少なくとも今まで遭遇してきた中で最大級のゾンビが海から飛び出した。
巨大な津波を巻き起こし、
ファンタジー世界で聞く海竜のような姿で海からその姿を晒した。




