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ワールドエンドルート  作者: イカランム
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EP:03 前進、新たな半ゾンビ


俺の名前は天都(あまつ) (あかつき)

自分の中では少し前までは普通に青年だった。


人類が窮地に立たされた際に親に売られる形でコールドスリープ状態になった。

いつか平和な世界で目がさめるんだろうと思ったが


目を覚ました世界はゾンビパラダイスな滅びかけた世界だった。

その世界で俺はゾンビ化を防ぐことの出来る血を持った存在として目覚めた。


最初はめんどいから断ろうとしたが

なんやかんやあって結局、人類を救うために行動することになった。


そして……


??「…………」


暁「今度こそ助かるんだろうな?」


クイーン「わかんない。多分大丈夫な気はするんだけど……。」


暁「いい加減にしてくれよ。コレで何人目だと思ってんだ。

血を摂取すれば助かるんじゃなかったのか?」


クイーン「私もそう思ってたんだけど……何か別の要因があるんだと思う。」


あれから、俺は和と共に外に繰り出してはゾンビに血を摂取させる作業をしていた。

和があんなに簡単に復帰したから摂取させれば復帰するかと思ったが人生はそんなに甘くなかった。


まず摂取させるのが難しかった。

ゾンビはどいつもこいつも怪力で転ばせて捕縛さないと血を摂取しない。

和の時は俺に襲いかかったが他のゾンビは俺にも和にも見向きもしなかった。


クイーンの推測では感染初期は手当たり次第に襲うが

完全感染状態では感染対象以外は襲わないのかもしれない……とのことだった。


仕方なく、半ば暴徒のように倒して血を摂取させていた。


第二に血を摂取すればすぐに復帰するわけじゃなかった。

和の後に5人ほど摂取させたが半ゾンビ化はするが和の様に目を覚ますものが居なかった。

量が足りないのかもしれないと大量に与えても結果は変わらず


もしかすれば条件があるかもしれないと50人ほどに

色んな方法で血を与えているがやはり変わらなかった。


クイーンが言うには絶対に特殊な条件がある……とのことで

今回は和に近い反応を見せた(悲鳴を上げて倒れた)ゾンビ少女を

クイーンの指示で研究所に連れてきていた。


クイーン「この娘が目をさましてくれれば何かわかるはずなんだけど……。」


暁「和が目を覚ましたのはどのくらいだったんだ?」


クイーン「30分位だったかなぁ?正確に測ってないけど……。」


暁「この娘が目を覚まさなかったらまた探しに行くのか?

なんか知らんが道路も建物も何処もかしこもボロボロで探索するほうが疲れるんだが……」


クイーン「ココらへんは旧地区だからねぇ。色々あってボロボロなんだよね。」


暁「色々ね……。」


俺がコールドスリープした後に結構面倒なことが多かったらしい

人類が滅亡するのは神の思し召しだとか言って一部の宗教団体が武装蜂起したり


ゾンビ化出現初期に軍事力で解決しようとしたり

旧地区……少数都市計画で放棄された地区は特に戦闘なんかで利用されることが多かったとか


人が生活することはないし、今後、利用する可能性もないしで

殆どの建物が障害物として使われてドンパチしてたらしい。


暁「これ以上、探索を続けさせるならなんか開発しろよ。天才だろ?」


クイーン「命令形!?お願いじゃないの!?」


暁「俺は助けてとお願いされてる側だろ?

というか、お前、基本的にここで引き篭もってるだけだろ。」


暁「和を見習えよ。掃除に洗濯、料理とか……

家事全般に加えて俺と一緒に探索の手伝いまでしてるんだぞ?」


クイーン「わ、私だって技術面でサポートしてるよ!」


暁「してるっていうか……それしかして無くね?

てかもう和いればお前いらなくね?ってちょっと思ってるんだが」


クイーン「やめて!?捨てないで!?やるから!なんか色々作ったりするから!!」


暁「じゃあ、保留で」


クイーン「破棄じゃない!?」


暁「なんか適度に突かないとマジでだらけそうだし」


クイーン「す、スパルタだよ……。」


ピピピ


クイーン「おぉ!」


暁「何の音だ?」


クイーンに軽いムチを入れているといきなり電子音が部屋に響く


クイーンが声を上げたということは

目の前に眠っている赤髪でボインでスポーティーな体型の美少女が理由かも知れないが

こいつの場合はカップ麺を作るためにセットしたタイマー音の可能性もある。


クイーン「反応ありだよ!目を覚ますよ!」


暁「やっとか……。」


どうやら今回はあたりのようで目の前の少女に関する音だったらしい。

よく観察してると全く動きがなかった胸が上下に動いている。

指もピクピクと僅かに動いているのがわかる。


??「……ん。」


しばらく待っているとぱちっと目が開き

あたりを見回し始める。


クイーン「おはよう。」


??「…………誰だ?」


クイーン「私はクイーン、研究者よ。」


暁「俺は天都(あまつ) (あかつき)だ。君の名前は?」


??「オレの……名前……あれ?名前は……。」


暁「どういうことだ?名前を覚えてないっぽいぞ?」


クイーン「ゾンビ期間が長すぎて記憶がなくなったのかもしれない……。

最後に何があったのかわかる?」


??「たしか……ゾンビが来て……逃げてて……そうだ。いきなり囲まれてそのまま……。」


??「どういうことだ?オレはゾンビになったんじゃないのか?」


クイーン「ゾンビだったよ。でもこの人のお陰でゾンビから開放されたのよ。」


??「暁のお陰……。」


暁「俺の血にはゾンビを半ゾンビにする力があるそうだ。」


??「そう、なのか……半ゾンビ……まぁ、ゾンビよりはまし?か、ありがとうな。」


暁「どういたしまして」


??「とりあえず、オレはどうなるんだ?」


クイーン「特に何も……かな?

出来ればゾンビを元に戻すのを手伝ってくれると嬉しいけど……。」


??「お安い御用だ。むしろ力になるなら任せてくれ」


クイーン「ほんとに!?やった!仲間ゲットだ!!」


??「お、おぅ、そこまで喜ばれるとなんかくすぐったいな……よろしくな。お嬢ちゃん」


クイーン「おじょ!?私もう成人女性だよ!!」


??「なに!?うそだろ……中学生くらいだと思ってたんだが……。」


暁「マジか……てっきり小学生だと……。」


クイーン「失礼すぎじゃない!?」


暁「見た目が明らかにな……ちなみに……名前がなかったな。」


??「あ~適当に付けてくれると嬉しいんだが」


暁「じゃあ、咲実(さくみ)にしよう。花が咲くの咲に、実りの実で咲実」


咲実「いい名前だな。それで頼む。」


暁「んで、咲実は……いくつだ?高校生くらいに見えるんだが」


咲実「高校生で正解だ。高校2年。バスケをしてた……はず。」


暁「で、クイーンは高校生の身長の半分くらいか……勘違いしても仕方がないな。」


クイーン「仕方がなくないよ!?なんで納得するの!?

コレでも和ちゃんより年上だよ!?」


暁「なん……だと!?」


クイーン「そこまで驚くこと!?」


咲実「まだ仲間がいるのか?」


暁「あぁ、姫野和(ひのわ) (のどか)って言ってな。最初にゾンビから復帰した女性だ。

このちびより役に立つ()だ。」


クイーン「役に立つのは否定しないけどちびはないよ!ちびって言うな!!」


暁「はいはい。大人でちゅね~」


クイーン「むっきぃぃぃぃ!!」


からかいすぎてペチペチ攻撃をしてくるクイーン

正直……全然痛くも痒くもない。よくここまで生きてこれたなと感動するレベルの貧弱さだ。


和「お食事できましたよ~」


クイーンのペチペチ攻撃を受けているとリビングの方から和がやってきた。


和「あら、目が覚めたんですね。私、姫野和(ひめのわ) (のどか)……和っていいます。」


咲実「オレは咲実(さくみ)だ。暁に名付けてもらった。」


和「名付けて?」


咲実「名前……というか最後の方、ゾンビにやられた部分の記憶と

多少の自分の記憶くらいしか無いみたいでな。高校生だったのは間違いないんだが……。」


和「まぁ、記憶喪失?……大変ですね。」


咲実「ゾンビのままで居るよりはマシさ。これからよろしくな。」


和「はい、よろしくお願いします。」


そして……

和が先に準備しておいた大量の食事を前に新しく咲実を加えて席に座った。

ぱっと見、いつもよりいっぱい料理が置いてあるところを見ると和も期待していたらしい。


無駄にならなくてよかったなぁと思いつつ、新しい仲間と食卓を囲う。


咲実「案外ゾンビってのは便利なんだな……今は半ゾンビか?」


和「いくら食べても太りませんし、そもそも食事も必要ありませんしね。」


咲実「普通に学校に通ってた頃は体重とか気にしてキツかったのにな。

今ではどれだけ食べても太らないとかゾンビ最高だな。」


クイーン「想像以上に適応してるわね。」


暁「変に悩まれるよりましだろ。こいつも美味いぞ。」


咲実「さんきゅ~ってか、いいのか?お前は一応人間なんだろ?」


暁「変な改造されてるからそこまで食わなくても大丈夫らしい。

食えば食うほどエネルギーを蓄えられるけどな。」


咲実「じゃあ、お前のほうがたくさん食べないと駄目だろ?」


暁「明日からそうする。お前はずっとゾンビだっただろ?

今日くらいは遠慮せずにどかどか食べな。」


咲実「暁……」


和「そうですね。せっかくなんですからたくさん食べてくださいね。」


咲実「和まで……くっ!ありがとう!明日から全力で頑張るからな!!」バクバク


クイーン「喉に詰まらせないようにねぇ~」


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