EP:31 準備と群馬行き
大方針が決まり、俺達は全員で次の探索に向けて準備を始めた。
東京新地区はあらかた探し終わり、生存者が居ないことは確認していた。
浮島状態になっているせいで防衛が難しいのもあり
生存が難しい場所だったからだろう。
プラントのある八王子ならまだ希望もあるかもしれないが……。
ハルクゾンビが動いている場所に迂闊に行くことは出来ない。
そもそも、ハルクゾンビの対処方法もまだ確立できていない。
となるとどこに向かうか……。
全員で相談した結果、人口の絶対数が多い群馬に向かうことになった。
通称、軍魔
最も多くのゾンビが蠢く場所……。
人口総数が多ければ生存者も多いかもしれない。
同時に進化型ゾンビが多数いる可能性がある場所でもある。
危険も多いが……人口密集地であったため
輸送設備が最も整っているとされている。
もしかすればヘリが複数あるかもしれない……ということでここに決まった。
とは言え、東京に行くのに比べてかなり大変なのは間違いない。
最悪、言ってすぐに撤退も考える必要がある。
目的地が決まってから俺達は白を主軸にして
群馬に向かうための準備を着々と行っていた。
主目的は東京の完全開放
少なくとも中心になる東京駅のある千代田区の完全開放は必須だった。
あと、距離を考えると旧地区よりは新地区に居たほうが
何かあったときの対応が早いということで
クイーンが安心していられる拠点づくりも進めた。
結果、千代田区全域に本拠地と同じ電磁防壁を張り
拠点に直通できる地下鉄道を開設した。
進歩というのは恐ろしい
俺の時代では考えられない速度で施設や交通が通ってしまった。
それに驚嘆を覚えながらも群馬行きの準備をすすめる。
結局、一週間ほど使って準備を整えることになった。
そして……。
暁「準備できたな。」
俺達は群馬組の最終点呼をしていた。
行くメンツは俺、アツキ、和、白の4人
咲実と蛍も連れて行くつもりだったが……。
流石にこことは比べ物にならないゾンビパラダイスにクイーンを連れていけない
ちょっと近場ならいいが一応、彼女がこの世界の要だ。
失っていい人材でもないし、貧弱なので
彼女のお守りとして二人を付けることにした。
幸い、アツキは咲実並の身体能力があったし
ゾンビに対する鋭敏な索敵能力も持っていた。
それなら護衛にピッタリ……と思ったが
流石に咲実や蛍ほどの状況判断能力がなく、
もしものときに対応できないかもしれない。ということで群馬組になった。
俺はリーダーとして状況判断とかを
和はサポート全般、白は情報収集や対応でこのメンツだ。
咲実「ちゃんとハンカチとか持ったか?食糧は?水も持ってるよな?」
暁「全部持ってるから……いくらなんでも心配しすぎだ。」
咲実「いや、するだろ……心配するって、危なくなったら逃げるんだぞ」
なんだかんだ言って力に彼女を頼ってた部分は大きい
頼られてたのも自覚してるのかやっぱり心配そうだ。
暁「こっちは最悪、危ないと感じたらすぐに逃げればいいだけだ
それよりも、ソッチのほうが大事だったりするんだからな?」
咲実「わかってるけどよ……。」
距離があるとは言えハルクゾンビは未だ健在なんだ。
お世辞にもここが安全とは言い難い。
千代田区を含め周囲のゾンビは全て半ゾンビ化してシェルターに収容してるが
よそから流れたゾンビが進化型にならないとも限らない。
こっちは安全とは言い難いが危険とも言えない不確定な状態だ。
はっきりと危険がわかってるこっちのほうが心配だったりする。
アツキ「ダイジョブ、アツキが居ればお兄ちゃんは安全」
咲実「任せたからな。いざという時は全員担いで逃げろよ。」
アツキ「オウ」
蛍「白も無茶しちゃだめだからね?危ないと思ったら逃げてね?」
白「うん、大丈夫。」
和「一応、一ヶ月分の食事を作り置きしてますが……
ポテチばかり食べないでくださいね?」
和「帰ってきて野菜が減ってなかったら口にねじ込みますからね?」
クイーン「心配される側私!?てかねじ込むって強引すぎない!?
そもそも野菜食べなくてもぜんぜん大丈夫なのに!?」
和「心構えの問題です。
もし……もし、野菜を食べてなかったら。」
ビュオン!ビュオン!
和「これですからね」ニッコリ
クイーン「はい!私残しません!!大人だもん!」
暁「何してんだ……。」
変な音が聞こえたから来てみたらすごい笑顔でクイーンが脅されてる。
多分野菜食べないとだめとかポテチ食い過ぎだめとかだと思うが……。
クイーン「お尻ペンペン嫌だ……。」プルプル
お仕置きがトラウマになってるな……。自業自得だが
暁「和、やり残しはないな?」
意外に蛍が家事上手でよく和のサポートをしている。
今回もそういう面も含めて残ることになったが和は凝り性なところがある。
何か残ってるかもしれないと改めて聞いてみたが
和「大丈夫ですよ。全て蛍さんに引き継ぎを済ませてます。」
どうやら問題はないようだ。
クイーン「今回の目的はちゃんとわかってるよね?」
暁「ああ、群馬に向かい状況の確認と駅の開放だな。」
クイーン「うん、電車を改造してあるから多少は大丈夫だと思うけど
もしもの時は全速力で逃げてね。」
クイーン「ちゃんと通信は拾ってるからもしもの時はほうれん草だよ。」
暁「そっちもな。無茶はしないこと、迷惑かけないこと」
クイーン「迷惑の部分は釈然としないけど
……いざという時はちゃんと逃げるよ。」
暁「ん、それじゃあ、言ってくる。」
クイーン「気をつけてね。」
咲実「絶対に死ぬなよ!」
蛍「野菜も食べさせるから安心してね!」
クイーン「そんなに私信用ない!?」
咲実「何を今更……食に関しては皆無だろ。」
クイーン「ヒドイッ!!」
いつも通りの三人に見送られながら
4人で電車に乗り込む
プルルルルっと鳴り響く発車音と共に群馬の前橋駅へと向かう。
…………
………………
東京から前橋までは直通で行けるようになっている。
少数都市計画で主要駅までは全て直通にしたらしい。
距離は長いが東京から北海道まで行けたりするんだとか
今後行くこともあるかもしれない。
距離にして約2時間ほど
もっと早くすることも出来たらしいが……。
安全を考慮して通常の運行速度で行くことにした。
というか、今の電車の強度で通常運行出来る方が普通に凄い。
ハルクゾンビの対策だからと核シェルター級の強度がある。
当然重量も核シェルター級だ。
アツキ「おぉ……なんか電車の残骸飛んでる。」
暁「窓を開けるなよ。危ないからな。」
アツキ「ん、アツキ眺めてるだけにする。」
道々にある停車している電車を軽々吹き飛ばして進んでいた。
相当な破壊音がすると思うんだが……。
防音性にも手が加えられていて中には一切音が聞こえてこない。
暁「無駄に手間を掛けてるよな……。」
和「拠点準備で時間がかかった分、
手隙だったクイーンが色々したみたいですよ。」
白「普通は過剰だけど……必要ないとも言えないんだよね。」
暁「末恐ろしい世界だ。」
和「ですね……あ、紅茶の用意が出来ましたよ。」
暁「ありがとう。」
アツキ「アツキはジュースがいい」
和「はい、今お淹れしますね。」
車内レストラン風に改良された車内で和の淹れてくれた紅茶を飲み
用意されたケーキを食べる。
普通はもっと緊張感を持つ必要があると思うが……。
この感じも毎回やってれば慣れてしまう。
そもそも、どこへ探索に行くにも時間がかかるという難点があるから
ずっと緊張していても身が持たない。
こうやって軽くお茶をしている方が無駄に疲れなくてすむ。
これから行く場所も何があるかわからないんだ。
付く前に疲れていても意味がない。
クイーンに言ったら反論されそうだが
そもそも、この世界で気が休まる場所なんて殆ど無い。
危険なことが起こるまではリラックスしていたほうが効率が上がるはずだ。
アツキ「ホットケーキ食べたい。」
和「じゃあ、今お作りしますね。」
白「あ、私もホットケーキ」
和「はい。暁様もどうですか?」
暁「じゃあ、貰おうか」
到着までおよそ2時間半、俺達はお茶や軽食をしながら
群馬までの道中を過ごすのだった……。




