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ワールドエンドルート  作者: イカランム
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EP:02 感染治療と半ゾンビ


メイドが倒れてから目を覚まさないうちに彼女の治療をすることにした。


流石に復帰して全部の歯がないというのは支障があるということで人工歯を移植


ゾンビパラダイスになってるが腐っても未来

全歯摘出されていたのにあっという間に新しい歯が移植された。


クイーン「この時代の人工歯は虫歯にもならないすぐれものだからねぇ」


暁「なにそれ羨ましいな!?」


クイーン「ちなみに……貴方の人工歯は徹甲弾だって弾く!」


暁「いらねぇ!?明らかにオーバースペックだろ!?」


クイーン「わからないわ……ゾンビはよくわかんないけど変異するみたいだからね。

鋼鉄のようなゾンビがいるかもしれない」


暁「それはゾンビなのか?ゴーレムじゃね?というか天才なのにわからんのか?」


クイーン「天才だからってなんでも分かるわけじゃないのよ!」バーン


暁「うん……そっすね。」


クイーン「興味薄い!?」


暁「それより……そのこ……和だっけ?大丈夫なの?」


クイーン「貴方の血を摂取してから体の色が僅かに薄くなってきてるし、大丈夫だと思うわよ?」


言われてみれば青白くて不気味だった肌に僅かに色が戻ってきてる。

と言っても完全に肌色じゃなくて、色白に僅かに青が入ってるような感じだが……。


暁「俺にこんな力があるとは……信じ難いな。」


クイーン「生きる力は偉大ってことよね?」


暁「なんで疑問形なんだよ。」


クイーン「だって本当によくわからなかったんだもん。」


和「んん……」


クイーン「あ、起きた。」


暁「…………」


和「あ、れ……私……なんで?」


クイーン「覚えてる?貴方は一度、ゾンビ化したのよ?」


和「はい、覚えてます。体が冷たくなって……誰かを感染させないとって……それで……。」


クイーン「彼の血を摂取して戻ったのよ。正確には完全に戻ったわけじゃないんだけどね」


暁「おい、完全に戻るんじゃないのか?」


クイーン「そんなこと言ってないわよ。戻るのは理性だけ……

いえ、人間としての機能の大部分は戻るけど生命活動機能は戻らないのよね。」


暁「死んでんじゃん!?」


クイーン「でも生きてるわ!理性があって動いてればそれは生きてるのよ!」バーン


暁「あ~はいはい」


クイーン「冷たい!?ゾンビより冷たいよ!」


暁「アホはほっといて、体は大丈夫か?気分悪いとかこの科学者殴りたいとかないか?」


クイーン「明らかにおかしいの混じったよ!?私殴りたいの!?」


和「特にそういうのは……むしろなんだかスッキリしてます。」


暁「こいつ殴ったらもっとスッキリすると思うぞ?」


クイーン「やめてくださいお願いします!」


和「えっと……可哀想なのでそういうのは……。」


暁「そっか、優しいんだな。」


クイーン「和ちゃんマジ天使!」


和「それで……私は助かったん……ですよね?」


暁「どうなんだ?」


クイーン「えぇ、問題ないわ。腐敗病の病原体が完全に消滅してる。

ナノマシンも安定化してるからもう大丈夫よ。」


和「そう……良かったです。」


心底嬉しそうに微笑む和……まぁ、ゾンビになんて誰もなりたくないわな。

俺もちょっとあの状態になるのは厳しい。


クイーン「そう、和ちゃんは助かった!やっぱり貴方は英雄なのよ!人類最後の希望なのよ!」


暁「へ~へ~」


クイーン「もっと色々反応してよ!世界最後のヒーローなのよ!?」


暁「そういうのはちょっと……中二までじゃね?」


クイーン「でも事実だもん!」


暁「そんなことより、腹減ったんだけど……。」


和「あ、でしたら私が作りますね。」


暁「頼めるか?」


和「もちろんです。貴方様……えっと……。」


暁「暁だ。天都(あまつ) (あかつき)……暁でいい。」


和「暁様ですね。私は姫野和(ひめのわ) (のどか)です。和と呼び捨ててください。」


暁「和な。分かった。」


和「はい。助けてくださりありがとうございます。これからは全力で貴方のサポートをしますね。」


暁「いや、そういうのはしなくても良いんだけど」


和「ではすぐにお料理してきますね。」


と、一礼して和は去って行った。


暁「…………まじでコレが従順になるってやつか?」


クイーン「あ~、わかんない。あの子割りといつもあんな感じだし」


暁「そっすか……てかなんで研究所っぽい所にメイド?」


クイーン「私達……もう私しか居ないけどマグメルは機能してる施設を転々としてて

その途中で彼女と出会ったの。この近辺の屋敷のメイドだったらしいんだけど」


クイーン「暴徒に襲われてた所を華麗に助けたら仲間になってくれたのよ。」


暁「暴徒なんて居るのか?」


クイーン「一応、少ないと言っても僅かに生存者は居るからね。

生き残ったやつの多くはなかなか腐ってるわよ。ゾンビより腐ってるんじゃない?」


暁「まぁ、ゾンビまみれのゾンビワールドに放り込まれたら大概イカれると思うが……。」


クイーン「気持ちはわかるけどだからって女性を襲ってもいいって理由にはならないけどね」


暁「まぁな。」


クイーン「で?」


暁「なに?」


クイーン「和ちゃんどうよ?かわいいでしょ?超かわいいでしょ?」


暁「かわいいのは認めるが……それがどうした?」


クイーン「も~分かってんじゃ~ん。

この調子で一杯ゾンビを助けていけばハーレムなんて作れちゃうわよ?

もう法律もクソもないからね。ちょっとゾンビだけど皆甲斐甲斐しいはずよ!多分!」


暁「一々文末に多分つけるなよ。」


クイーン「確定してないんだから仕方ないでしょ~」ブーブー


暁「……和みたいな状態なら別に半ゾンビでもいいと思うし……ハーレムには惹かれるが」


クイーン「じゃあ、世界を助けてくれる!?」


暁「お前の顔を見てると気分がそがれる。」


クイーン「ひどくない!?私も結構可愛い系だと思うよ!?」


暁「可愛いのは認めるが……うん……なんというか……うん……うざい?」


クイーン「ひっどい!?世界を救うために命がけで頑張ってきたのに!?」


暁「ほら、あるじゃん?別に悪い子じゃないんだけどなんかうざい娘。」


クイーン「特に理由もなく嫌われる人の気持ちになってよ!」


暁「きらいじゃないんだ。ウザくていじめたくなるだけで」


クイーン「いじめっ子かぁ!!」


和「ふふ、仲良しですね。」


クイーン「目腐ってる!?」


和「違うんですか?」


暁「別に嫌いじゃない。」


クイーン「もうそれでいいよ!ご飯にしよ!」


おそらく、和の手作りなんだろう

随分美味しそうな香りを漂わせている料理の数々を簡易テーブルに乗せて全員で食事にする。


と思ったんだが……。


暁「和の分は?」


和「あぁ……えっと……。」


クイーン「食欲がわかないのよね?」


和「はい。」


暁「どういうことだ?」


クイーン「どういうわけかゾンビ化すると食欲というものが完全になくなるのよ。

持ってる本能はとにかく感染者を増やすことだけでそれ以外のことはまるで興味を示さないの」


クイーン「おそらく、半ゾンビ化してる和ちゃんは体が生命活動を行ってないから

食事を必要としないんだと思うわ。」


和「はい、なんだか全然食欲がわかなくて……。」


暁「それは大丈夫なのか?」


クイーン「大丈夫だと思うわ。餓死で死んだゾンビなんて見たこと無いし……。」


クイーン「ちなみに私もゾンビ改造してるから食事は必要ないわ!」ドヤァ


暁「じゃあ、ご飯はいらんな。」


クイーン「いやーー!ドヤ顔してごめんなさい!食べなくてもいいけど味覚はあるのぉぉぉ!!

ご飯取り上げちゃダメええええ!!」


暁「全く……とりあえず、味覚があるなら一緒に食べよう。」


和「でも、食料は有限ですし……。」


暁「大丈夫大丈夫。最終的にクイーンに断食させるから」


クイーン「真っ先に削られるの私!?」


暁「なんというか……机の横に転がってる菓子とジュースの空を見てると

節制させたほうがいい気がするんだよな。」


和の騒ぎの後、ちょっと手持ち無沙汰だったから軽く見回ってたら発見した一角

そこには大量のお菓子とジュースの(から)が山積みになっていて、

彼女のだらしなさが浮き彫りになっていた。


和「クイーン?いつの間にあれだけの食料を持ち込んでたんですか?」ゴゴゴ


クイーン「え……いや……あの……えっと……」


どうやら和はあのごみの山のことを知らなかったようだ。

なんか怒気が立ち上り始め、ちょっと恐怖すら感じる笑みを見せる。


クイーン「ほら!私頭いっぱい使うから糖分をね!?」


暁「ジュースはともかく菓子類はポテチとかの塩味系だけどな」


和「クイーン?」


クイーン「ひ、ひぃぃぃぃぃ」


…………


和「クイーンは食事が必要ないので私と一緒に食べましょうね。暁様♪」


クイーンは弁明虚しく、説教からの食事没収に石を抱いて正座する……の刑に処された。

どうやらここの食料の殆どは和が集めてきたものらしく

厳しく食事制限をしていたらしい。


特にお菓子やジュースなんかはレアで何かいいことがあったときに食べようと保管していたそうだ。

それを無断で食べたクイーンが説教されるのはもはや自業自得だった。


クイーン「ごめんなさい……マジごめんなさい……。」


和「駄目です。反省するまで許しません。反省してもすぐには許しませんけどね♪」


クイーン「私の周りの人がみんな厳しすぎる件について……。」


暁「俺はともかく、和のは完全に自業自得だろう。」


クイーン「すみません。」


和「いっぱい反省してくださいね。」


笑顔だ。

クイーンをお仕置きしている時からそうだったがすごい笑顔で対応する和

その眩しいほどの笑顔を見て……彼女を怒らせないように心に誓った。


クイーン「しくしくしく」


和「暁様、私の料理……どうですか?」


暁「あぁ、すげぇ美味い。コールドスリープされる前に食べたことのあるものよりずっと美味いな。」


食料関係は過去とそんなに変わらないらしい。

どれも見たことがある料理だ……ただ、この状況下のサラダなのになんか新鮮な気がする。

保存方法とかが変わってるんだろうか?


和「それは良かったです。今日はお祝いなので一杯食べてくださいね♪」


暁「むぐ……お祝い?」


和「はい、滅びかけた世界を救済する貴方という人が誕生した日……お祝いしない訳にはいきません。」


暁「あ~……そうだな。」


クイーンに何度もそう言われても乗り気にはならなかったが

彼女みたいに屈託なく純粋に喜ばれると否定する事ができずに頷いてしまった。

別にクイーンをいじる意味で否定してただけだから別に問題はないんだが


なんというか、和には天然で尻に敷かれる……そんな気がした目覚めて最初の食事だった。


クイーン「しくしく……私もご飯食べたい。」


和「駄目です♪」

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