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ワールドエンドルート  作者: イカランム
15/67

EP:14 敵勢力排除と探索回収

ガコンッ


リフトが一番上に到着し、咲実がコンテナの扉を構えてゆっくりと降りる。


暁「…………3人だな。」


咲実「匂い?」


暁「あぁ……第三ポイントのビルにバラけて展開してる。

火薬の臭いがするから銃器を所持してるな。」


和「いかがしますか?」


暁「扉を上に持ち上げてくれ。俺が少しだけ離れるからそれで動きを見る。

もし狙撃してくるなら遠慮はいらん。処分する。」


和「駄目です。囮なら私のほうが……。」


暁「いや、俺なら狙撃のタイミングもすぐに分かる。

それにクイーンの改造で戦車砲でもなければ傷1つ付かんらしいからな。」


暁「万が一、動けなくなる可能性があるお前たちに比べたら俺のほうが適任だ。」


和「ですが……。」


暁「……男の俺に格好つけさせてくれ、な?」


和「………………危ないと思ったらすぐに避難してくださいね。」


暁「もちろん。」


渋々ながら和に納得してもらい行動を開始する。

コンテナの扉を上に移動させ、自然を装って扉の影から出る。


二人に相手から見るとコンテナの扉を持っている人物に指示を出しているかの様に

相手に背を向けてポーズを取る……直後


ドゥンッ!!


暁「つっ!」


頭部に強い衝撃を受け、狙撃されたと見せかけるためにその場に倒れ込んだ。


本当に問答無用らしい。

一切の躊躇なく引き金を引いたのが遠くからでもわかった。


これは相手が誰でも処分確定だろう。

無傷の自分に軽く引きながら狙撃されたふりをしていると


暁「!?」ブルリ


背筋の凍るような気配を感じて、視線を前に向ける。

気配の正体は和だった。


和「…………ギリッ」


クイーンを説教する時のものとはまるで違う凍てつくような気配


……表情に変化はないのにここまで聞こえてくる歯ぎしりの音と

普段の優しい黒い瞳が熾烈な朱色に変化していて……


暁「」ゴクリ


離れていても彼女の激情に思わず喉が鳴った。


俺も咲実も瞬間的に理解した。

あいつら、死んだな……と


それを証明するように

和が鉄塊をコンテナ扉に当たらないように遥か上空に打ち上げた。

なんで上空?と疑問に思う間もなく


ドゴォンッ!!


かなり遠くの位置で爆音が響く

狙撃を受けたふりをするのも忘れて

音のした方向に目を向けると狙撃者のいたビルが倒壊していた。


それだけじゃない、

視力を引き上げて確認すると狙撃者らしき三人の首がなくなっていた。


推測するに和が鉄塊を上に投げ飛ばし、

三人の頭に着弾させ、勢いのままビルをも倒壊させた……ということなんだろう


咲実「や、やべぇ……。」


ぼそっと呟いた咲実の言葉に思わず頷いた。

和を怒らせると…………超怖い。


彼女と出会って一体何度目かわからないが

彼女を怒らせないと改めて心に誓う出来事だった。


和「暁様……大丈夫ですか?」


暁「あぁ、問題ない。ちょっと頭を押されただけだ。」


敵が死んだことで興味を失ったのか、

もはや目もくれず、心配そうに手を差し伸べられる。

俺はその手をギュッと握って立ち上がった。


咲実「どういうスペックしてんだよ。」


暁「クイーンに聞いてくれ。

真面目に自分が人間なのかどうか心配になってきた。」


咲実「かろうじて人間……なのか?」


自分でもわからない。

そもそもこの世界の人間の基準というのもいまいちわからなくなってきた。

感染していなければ人間……と言えなくもなさそうだし


和「たとえどんな姿でも暁様は暁様ですよ。」


暁「ありがと」


和「いえ」ニコッ


暗い表情になってたのかさらっとフォローしてくれた

和の言葉にこのことは一旦棚上げすることにした。

たとえ人間じゃなくても俺が俺なのには違いない。


咲実「それでどうすんの?ビルごと消しちまったみたいだけど……。」


暁「そこそこの威力のスナイパーライフルを持ってたみたいだからな。

とりあえず、装備を回収しに行こう。」


暁「ついでにここら一体の電波塔も破壊しておこう。

賊に居座られても面倒だしな。」


咲実「いいのか?今後まともな生存者が来るかも知れねぇのに」


暁「可能性としてはあり得るんだろうが低すぎる。

それよりも残ってるかもしれない賊がここを狙うようになる方が面倒だ。」


咲実「それもそうか」


暁「俺は装備回収をしてくるから、咲実は和の指示で電波塔を破壊しておいてくれ

咲実なら投擲でも確実に破壊できるだろ。」


咲実「了解」


暁「終わって暇ができたらレンタルショップに行ってDVDを見繕っててくれ」


暁「車において多分はともかく

レンタルショップのは結局持ち帰れなかったからな。」


暁「コンテナの扉をトレイ代わりにすれば結構な量が運べるだろ。」


咲実「おぉ~了解了解~」


和「そう言えば近くにホームセンターや電気屋なんかもありましたね。

使えそうなテレビやデッキなんかも探しておきますね。」


暁「頼んだ。んじゃ、お互い気をつけてな。」


和「行ってらっしゃいませ。」ペコ


咲実「気をつけてな~」ノシ


方針を決定したら早速と

お互いに別れて任務を遂行する。


……俺の方は大した問題はなかった。


嗅覚上昇と視覚上昇があって、比較的楽に首なしの死体を瓦礫の山から発掘した。

同時に死体に付いてる匂いからスナイパーライフルを回収

ついでに何か持ってないか調べた所、三人共、無線を所持していたのを発見


高所から落下したから壊れてるかと思ったが

……この時代の精密機器は耐久力までとんでもないらしい。

一切壊れてる様子もないので3つとも回収


更には三人共地図のようなものを持っていた。

何の地図だろうと裏面を見るとこいつらの拠点らしい事がわかった。


食糧はなさそうだが装備品とかは色々ありそうだ。

一旦戻って伝えようかとも大もったが……。


……ドゴォンッ!!


遠くで咲実の投擲による破壊活動が始まっていた。

遠方からの連絡手段がない今、運が悪ければ拠点ごと潰れる可能性が高い。


生身で移動できるのは電波塔の周辺くらいだろうし

拠点の位置もおそらく電波塔のち書くだろう。

もし、使えそうな装備があったら潰されてしまう可能性がある。


調べれば意外に近くにあるみたいだったので先にそっちに行って探索

結果、爆薬を幾つかとピストルやマシンガンなんかを見つけた。


爆薬は咲実と俺がいればまず必要ないので捨てていくとして、

その他の使えそうな装備はすべて回収する。


……それと、俺の予想が正しかったらしい。


当たって欲しくはなかったが……

妙な匂いのする場所を見ると白骨化した人間の骨を見つけた。

どう見ても自然に骨になったものじゃない。


近くには何かを焼いた跡や毛髪みたいなのも見つかった。

別に探したわけではなく転がってたんだが……。


結局、こんな世界でも一番怖いのは人間なんだなと思いつつ

と思いつつ、爆薬をセットして退避した。


こんな場所を二人に見せたくないというのもあるが

今後、ここにたどり着いた人が似たような事を考えてほしくないと思った。


拠点にあった全ての爆薬がこの跡を消し飛ばせるように設置し


盛大な破壊音を背にこの場を後にした……。


…………

………………


咲実「あ、おつつ~なんかいいのあったか?」


二人の目的地のレンタルショップに着くと

すでに電波塔の破壊を終えたらしい、咲実が居た。


暁「スナイパーライフルと無線機を三つ

それに拠点の地図を持ってたからそこでピストルとマシンガンも見つけた。」


咲実「おぉ、無線機とか最高じゃねぇか!」


暁「問題なく使えそうだからな。

一つ渡しておく。」


咲実「サンキュー」


暁「それで、和は?」


てっきり中にいるかと思ったがここには咲実しか居ないようだ。


暁「今、電気ショップで色々見て回ってる。

オレは電化製品はよく分からねぇからDVDの担当だな。」


暁「それでそんなことになってるのか」


トレイ代わりのコンテナ扉の上には大量のDVDが乗せられていた。


10tも持ち上げられるからか

DVD程度ならいくらあっても大丈夫ってことなんだろう。


手当たり次第にレンタルショップの陳列棚を持ってきては

DVDをコンテナ扉に乗せて、陳列棚をポイ捨てしてる。


咲実「意外に見てないのとか結構多くてな。

選ぶのも面倒くさいから全部持っていこうと思ってよ。」


暁「まぁ、コンテナがあるからどれだけ積んでも問題ないけどな。

引きこもりのクイーンの暇つぶしにもなるだろ。」


ハマりすぎて疎かにならなければ特に問題もないと思うし……。


咲実「というか、あいつ、オレらが探索中は何してるんだ?」


暁「世界を救う方法とか考えてるんじゃないか?」


咲実「考えて……るのか?」


暁「……多分な。」


あれでもキャンピングトラックを作ったりなんだかんだと道具を揃えている。

何かしらためになるものを作ってるはず……多分。

今までの行動からどうしても多分が付いてしまうが……。


和「暁様、お戻りでしたか」


咲実が新しい陳列棚の回収に戻ったと入れ替わりに和が戻ってきた。


……カルガモの行進よろしく、大量のカートを引き連れて


暁「あぁ、収穫はあったか?」


和「はい。」


和「再生機器各種にデジカメや監視カメラとレコーダー

それにスマホや無線機器にゲーム類なども手当たり次第回収してきました。」


なんで大量に引き連れてるんだと思ったら

使えそうなものをすべて持ってきたからだったか


暁「……ん?携帯なんて使えるのか?」


和「通常は使えませんが

……クイーンならなんとかしてくれるかと、使えれば何かと便利ですし」


暁「まぁ、そうだな。」


電波や電気の状態は今も正常だし

通信アプリは使えなくてもメールを使えればかなり便利だろう。

GPSが使えればよりいい。


和「暁様の方はどうでしたか?」


暁「こっちは銃器類と……

あぁ、無線機も三つ手に入れたから和も一つ持っておけ」


和「おや……私が持ってきたものよりかなりいいものですね。」


暁「そうなのか?」


和「はい、軍で使用されていたかなり高性能なものですね。

衛生が壊れない限り使い続けられるとか」


暁「そりゃたしかに高性能だな。

最低でももう一つほしいが……狙撃手が持ってたのは3つだけだったしな。」


和「前回始末した人たちが持ってたかもしれませんね。

失念してました。」


暁「あの時は和のほうが大事だったからな。」


和「ありがとうございます。」フフ


暁「まだ死体が転がってるなら回収してくるか?」


和「いえ、清掃ロボが動いてますし、回収されてるでしょう。

清掃ロボはゴミを分解する機能も持ってますから今頃は塵になってるかと」


暁「望み薄そうだな。

今後、軍人みたいなのが居たら確認しておこう」


和「それがいいですね。」


咲実「よいしょっと、このくらいかな?あ、和おかえり」


和「ただいまもどりました。

そちらは順調……みたいですね。」


咲実「いやぁ、見たかったやつとか結構あるぜ。さすがの品揃えだな。」


和「それは良かったです。こちらも色々見つかりましたよ。

マッサージなども回収しようかと思ったんですが今回は見送りました。」


咲実「あれ、そうなの?」


暁「コンテナの大きさは十分だし、持ち帰れるだろ?」


和「結構な量の電化製品を回収しましたから

実稼働での電力消費量を確認しないといけませんからね。」


咲実「持って帰ってあとでつければいいんじゃね?」


和「クイーンが我慢すると思いますか?」


咲実「ん、保留にしとくべきだな。」


咲実とクイーンは出会って期間が短いのに

すでにどういう人間なのか理解されていたようだ。


間髪入れずに保留を選択した。よほどそこら辺に信用がないんだろう。

ポテチの件だけでも我慢しなさすぎてすでに何度も説教されているから納得だが


暁「集まったなら一旦コンテナに収納しておこう。

自販機の回収もあるしな。」


咲実「そうだ。自販機があったな自販機」


和「自販機は電気屋と同じビル内の漫画喫茶に良さそうなのが多数ありました。」


和「アイスメーカーやドリンクサーバーもありましたから

できれば回収をお願いします。」


咲実「どういう方向に拠点改造するつもりだよ……。」


和「あれば便利だと思いまして」


咲実「まぁ、そうだけどな。」


暁「必要なら俺が運んでおこう。」


和「お願いできますか?」


咲実「珍しい、和なら暁様にそんなことさせられません!

って言うと思ったんだが」


和「普通のものならそうですが……流石に重すぎるので」


和「それに拠点にはまともな調理器具がないので

ホームセンターで見繕ってこようかと思いまして」


暁「なるほどな。

じゃあ、荷物は全部こっちで運ぶから必要なものを纏めて用意しておいてくれ」


和「ありがとうございます。」


咲実「んじゃ、オレの方も運ぶかな。」


他の物を集めに向かった和を見送り、俺と咲実は荷物の搬入を始めるのだった。


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