EP:10 スーパーキャンピングトラックとお茶会
三日後
クイーン「完成だああああああ!!」
クイーンが作業に移ってから約三日
食事、風呂、睡眠以外のときは常に作業をしていた。
最初は普通にサボってたがサボる度にポテチが全体の10%、
咲実に消費されるという条件を付けるとそれはもう鬼気迫る感じで作業に没頭
結果、三日という信じ難い速度で移動輸送キャンピングトラックを完成させた。
早速中身を全員で見ることにまず最初に目に入ったのは
咲実「おぉ~結構広い。ベッドは三段か~」
意外と大きめの三段ベッド
長さはロングサイズの205cm、幅はシングル97cmほど
一つで複数人寝るのは厳しいが一人で寝るには十分だろうサイズだ。
咲実「俺は一番上を選ぶぜ!」
早速と咲実は一番上にジャンプで入り込む
ドサッと音がしたがそのくらいで揺れる様子もない。
かなりの強度があるようだ。
和「高さは少々狭く感じますが……
寝る分には問題なさそうですね。足も伸ばせますし」
和は一番下の段に入り込んで布団の感じや高さを細かく調べている。
俺達の拠点の方もそうだが生活家具とかは和が一番注力している。
今回のこれもクイーンが製作途中にも色々言っていたのを見た。
そんな彼女が及第点を出した事にクイーンが密かにホッとしていた。
よっぽど色々言われたんだろう……。
クイーン「今後人が増えることも考えてベッドは六人分用意したわよ!」
暁「そんなに増えるのかどうか疑問だが……あっても困らないか」
咲実「だなぁ~」ゴロゴロ
咲実は特にベッドを気に入ったのかゴロゴロとだらけている。
しばらくベッドを満喫し……次に
和「あら、こちらのキッチン、なかなか使いやすいですね。」
備え付けのキッチンに移動する。
クイーン「和のリクエストを全部取り入れたからね!
これで移動中の食事も問題ないわよ!」
豪語するだけはあってキッチンには結構なスペースを使っている。
水回りもしっかりしていて
和が最大出力で水道を出しても水漏れが発生している様子はない。
コンロに火を入れたり、鍋を置いたり、
あえて汚して掃除をしたり、かなり細かいチェックをしているところを見ると
相当色んなリクエストを入れたのが分かる。
和「素晴らしいですね。
これをこのまま拠点のキッチンに持って行きたくらいです。」
クイーン「持っていかなくても言ってくれれば改造するわよ。」
和「あら、よろしいんですか?」
クイーン「美味しいご飯が出るならいくらでもいいわよ。」
暁「というかリクエストしてなかったのか」
和「まぁ、特に今でも不便はありませんでしたし……。」
クイーン「暁くんが目を覚ます前はそんな余裕すらなかったもんね。」
暁「なるほど」
和「とりあえず、大型の釜がほしいですね。ピザ釜でしたっけ?」
暁「何作る気だよ……。」
クイーン「はい!私は和風エビマヨが良い!」
咲実「あ、オレ照り焼きチキンとかがいい」
暁「一応、滅亡世界なんだが……。」
和「ふふ、余裕ができたってことですよ。暁様は何が良いですか?」
暁「じゃあ、シーフードかな」
和「はい、腕によりをかけて作りますね。」
クイーン「一応言っておくけど流石に1日くらいかかるよ?」
暁「1日でピザ釜が出来るってどういう技術力なんだ。」
クイーン「私は天才だからね!」バーン
キッチンで色々と盛り上がったら次はトイレ……と風呂
咲実「トイレに……風呂まであんのか、どっちも最新型とかすげぇな。
まぁ、ゾンビパラダイスになる前のだけど」
クイーン「幾つか機能が生きてる施設に設置されてきたのを移動したんだよ。
放置しててももったいないだけだしね。」
今の拠点のやつに比べても質がいい物を取ってきたらしい
トイレはウォシュレット機能は当然
なんかよく分からん科学の力で自動洗浄&消臭機能付き
瞬間便座温めに室内空調まで完備されている。
余裕でここで生活できそうな上にすげぇ堕落しそうだ。
未来の世界のトイレはここまで進化したらしい。
咲実「そういや……ゾンビパラダイスになる前のテレビで
トイレ生活が社会問題になるかもとか言われてたな。」
暁「堕落しすぎだろ……。」
クイーン「凄い所だとテレビにパソコン、冷蔵庫まであったりするよ?」
和「冷蔵庫はちょっと……不衛生ですし」
クイーン「空気洗浄機能があるとか何とかで大丈夫とか」
暁「あっても嫌だろ」
クイーン「まぁね。流石にここには付けてないよ。音楽機能くらい?」
暁「そのくらいは……ありか」
咲実「テレビは付けねぇの?」
クイーン「付けようとしたら怒られた。」
和「長期移動だと三人で生活するかもしれませんし
トイレを独り占めされても困りますからね。」
咲実「あ~納得」
お風呂の方は……今時はジェットバスが普通らしい
クイーン「泡の力が疲れを取ってくれるんだよねぇ。」
暁「拠点の風呂もそうだったがなんで全部ジェットバスなんだ?」
クイーン「確か、少子化問題の原因はストレスによるもの
って考えられてたときの名残かな。」
クイーン「少数都市計画の直後にお風呂をジェットバスに
トイレをウォシュレットに、一家に一台マッサージチェアとか」
クイーン「国が中心になってそういうのを広めたんだよ。
少子化には効果なかったけどね。仕事能率とかは上がったらしいけど」
暁「なるほどな。」
和「ふむふむ、ちゃんと二人で入っても問題ない広さですね。」
暁「……そうか」
咲実「なんで二人なんだ?」
和「暁様と入るためですけど?」
暁「人がスルーしたのをほじくり返すなよ!!」
和「ちゃんと了解はとりますよ?」
暁「そういう問題じゃないと思う。」
…………
………………
和「動力は全て燃料エネルギーですか」
風呂の件は手早く済ませて、動力の確認に
クイーン「それは一番高効率で長持ちだしね。」
今のままだと定期的にプラントに行く必要はあるから」
クイーン「今のままだと燃料パックを探すか、
でも定期的にプラントに行く必要があるんだよね。」
和「早い段階でコンパクトプラントを見つけるか
資材を集めて作る必要がありそうですね。」
暁「プラント近くに拠点を移すという発想はないのか?」
クイーン「却下!怖いじゃん!!」
暁「あぁ、そういう……別にいいけどな」
クイーン「ちなみに入り口のところには超々高圧電流の防壁張ったからね!
未登録者は生身で通過すると黒焦げになるからゾンビは入ってこれないよ!」
暁「それは普通にビビりすぎだろ。」
クイーン「怖いのは怖いんだもん!!」
咲実「なぁ、なんかこの車の壁固くね?」
クイーン「あぁ、氷砕船とかの技術を応用して、
全面とタイヤを悪路や森林地帯も走行可能な作りにしたからね。」
クイーン「ゾンビだらけの場所でも
普通に寝泊まりできるように装甲も色々といじったんだよ。」
クイーン「至近距離で戦車砲撃たれても平気だよ!!」
暁「相変わらず、必要かわからないスペックだな。」
クイーン「いざとなれば車に乗り込んで逃げられるってことだよ。
コンテナも同じ強度だから余程のことがない限り輸送失敗にはならないよ。」
咲実「へ~、コンテナとかは武器にも使えそうだな。」
暁「その発想はマジでなかった。」
クイーン「出来ると思うけど作るの大変だから加減してね?」
咲実「大丈夫大丈夫」
クイーン「一応、車もコンテナも冷暖房完備だよ。
集落単位で生き残ってたら移設も簡単だよ。」
暁「そんなに残ってるのかどうか疑問だがな……。」
和「結構、細かく調整できるんですね。
これを使えば熟成肉とか作れそうですね。」
暁「君ら発想ユニークよね。」
クイーン「その手があったか!
後でキッチンにも似たようなの作っておくよ!」
和「ありがとうございます。」
暁「んじゃ、大体見たところで作戦会議と行くか」
和「あ、でしたら、早速キッチンを使ってお茶の準備をしましょう。」
クイーン「賛成!」
咲実「いいねぇ」
和「早速準備しますね。」
で……
クイーン「うっは~!ケーキだぁ!」
咲実「おぉ、今日は一段と豪勢じゃねぇか」
和「お祝いですからね。」
和はお祝いをするのが好きらしく
最初に俺が目覚めた時から何かしらいいことがあるとお祝いをしている。
普通の人ならお祝い自重しろ、食料がなくなるだろ。と言いたいところだが
和の食料管理は超が付くほど完璧で口を挟む余地が全くない
元々挟むつもりなんて微塵もないが……。
暁「あれ?生クリームの材料なんてあったか?」
和「冷凍食品の中に冷凍生クリームがありまして、
バターや卵、小麦粉はまだ備蓄があったのでちょうどいいから作ってみたんです。」
和「ついでに冷凍ケーキなども出してみました。」
咲実「和マジ万能だな。」
クイーン「和ちゃんが居たから私は今日まで生きてこれたのよ。
もう、和ちゃんに足を向けて寝られないよ。」
和「もう、褒めすぎですよ。」テレテレ
和「ささ、いい感じに出来たと思いますからいただきましょう。」
クイーン「いっただきま~す!!」
咲実「いただきますっ!!しゃっ!!くうぜ!!」
暁「いただきます。」
和「お召し上がりください♪」
一口食べて分かるさすがの和クオリティ
ただ解凍させたケーキにも色々と工夫が施されてて
かつて食べたことのある冷凍ケーキの何倍もうまかった。
無論、手作りケーキは言わずもがな。
作戦会議のついでのお茶会だったが……気づけばお茶会がメインになっていた。
恐るべし、超万能メイド和
一時間後……
咲実「……腹が……弾ける」
クイーン「あ、甘いものは……別腹のはずなのに……。」
暁「食いすぎだろ。いい加減自重を覚えろよ。」
和「食後のミルクティーです。」
暁「ありがとう。」
結構大量にあったケーキの殆どは咲実とクイーンのお腹に吸い込まれ
案の定、内側から二人の体を攻撃されて共にノックアウトされていた。
一応、胃薬を勧めたんだが
咲実「負けねぇよ。食い過ぎ程度に負けねぇよ。」
クイーン「苦しいけど……苦しいけどコレが満腹の喜びなのよ!!」
と訳わからん理由で拒否された。
胃薬以外にこっちに対処方法はないので放置
勝手に作戦会議を進めることにした……