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主人公補正が無くなった。

作者: 和風好き

勢いで書きました。

俺の名前は高崎海斗、今年で25歳の社会人。そんな俺がちょいと昔話をしようと思ってな。聞いてくれや。高校3年生も後半の時。


意味わかんないだろうけど、主人公補正が無くなった。


何言ってんだ?頭おかしくなったか?と、皆さんは思われるかもしれない。いや、まぁ、今考えてみても頭おかしいとしか思えないようなことばかりだったんだけどさ。全て、俺からすれば現実の出来事だったんだ。


俺って別に、イケメンでも無ければ運動神経が良い訳じゃないし、頭だって中の下くらいの人間だ。


あ、よくラノベとかで目にするなんちゃってフツメンじゃないよ?本当のフツメン、正確に言うと、顔の輪郭はまあまあだけど目が細くて鼻が丸い。ブスではないとよく言われるが、間違ってもイケメンとは言われない顔だよ。


まぁ、俺の話なんてどうでもいいだろうから本題に移るよ。


俺は生まれた時から主人公補正のようなものがあった。それか、とびっきりの神に愛されたかのどちらか。要は、死ぬ程運が良かった。


まず、手始めに俺の家の両隣に同い年の絶世の美少女が2人、幼馴染み枠だろう。そして、何故いるか分からない一つ下義理の妹が1人これもめっちゃ可愛い。


そんで、みんな俺にゾッコン。そんで、何でか分かんないけども、両親が海外出張中。普通のサラリーって聞いたんだけど…。最近のサラリーは海外にもいくのかね?聞いたことのない外国だったけど。


毎日、家にきて甲斐甲斐しく俺の世話をし、誰が俺の嫁になるかの争奪戦をしている。凄くね?


違う違う、俺の妄想じゃない。少し前までの、俺の日常。これが普通。冗談抜きで、3人の美少女をはべらすのが普通だと思ってたんだよ。


この3人しかも、料理がプロ級。くっそ美味い。家事洗濯まで、3人で俺の家の仕事の奪い合いだった。嬉しいも何もないよ?普通の事だったもの。当たり前、これ以外に考えられない。あの時はまじでそう思ってたよ。


んでまぁ、主人公補正はこれだけじゃない。数が多すぎて言うのが面倒くさいから何個か。


まず、路地裏でいかにもゴツイ不良5~6人に絡まれてる女子や男子がいて、颯爽と助けに入るだろ?いや、返り討ちにあわねぇんだこれが。何故か勝つの。不思議だろ?その時は何も不思議に思わなかったけれどもよ。


あとは、そうだなぁ。何故か道角でよく可愛い少女にぶつかる。そんで、胸揉む。これ、常識。んで、相手が俺に惚れる。これも、常識。ハハハ!精神科行けって?俺も当時の俺がいたらそう言うと思う。


あと、これマジでスゲェと思うんだけど。俺、持ってるときに可愛い女か美女しか見てねぇんだ。テレビとかで女芸人とかいるだろ?あれ、空想の産物だと思ってた。冗談抜きよ、これ。俺が歩けばそこの道は可愛い子で埋め尽くされる。男が限りなく少なくなる。そして、何かあれば必ず惚れる。


やべぇだろ?だから、美人が普通だと本気で思ってたし、何かアクションを起こせば必ず自分の得となる事が起きると、絶対的に信じていた。


まぁ、よく言えば正義感が強くて行動的。悪くいえば考え無しに動く馬鹿ってとこか?まぁ、上手い表現が思いつかないのは許してくれや。頭良くねぇんだから。


んで、そんな日々を送っていたら。主人公補正がある日を境に消えた。


何もねぇ普通の日だったよ。まさに、驚天動地の出来事が起きた。デブでブスな女が目の前を通ったんだ。


はぁ?何当たり前の事を言ってんのって?いや、俺からするとパンダとか、そんな珍獣の類なんだよ。いや、まあ、今までそんな女見た時なかったからよ。


そんで、いつも通り路地裏の不良をのしてやろうとしたら、逆にボコボコにされて有り金をむしり取られて、ババアに道角でぶつかりビンタされ。家に帰ったら親が帰って来てた。終わったんだって。あ、お土産は無かった。


その日からだ、主人公補正が消えたのは。何から何まで今までの俺の常識を塗り変える程の出来事が沢山起こった。いや、普通の事なんだけども。その時の俺は、この日が人生最大の厄日位にしか思ってなかった。


普通の人から見れば、超幸運が普通に戻るだけなんだけども。超幸運が普通だと思っている俺はドン底に落ちていく気さえするほどの絶望だった。


いやー、この時はキツかったね。何から何まで、ハマらないというか、全てが狂う感じがして。


んで、まぁ。普通に戻れば当然俺が甘受してきたあらゆる事が消えるわけでして。


親が帰ってきてから、甲斐甲斐しく世話をする両隣の美少女が家に来なくなった。そんで、俺に対する態度が少しづつよそよそしくなっていった。意味わかんなかったよ。好意が当然の俺は避けられるなんて初めてだったから。すこしして、両方とも家族共々どっかに引っ越した。その時の会話は無い。気がついたらいなくなってたよ。呆然だよ、本当。


んで、義理の妹のほう。こっちは急激だった。1ヶ月で俺に敵意を向けてくるまでになった。それまではずっとお嫁さんになるとか言ってる人が、急に敵意を向けてくるんだぜ?意味わかんねぇんだろ?少なくとも、当時の俺は意味わからなかったよ。


正直、心がグチャグチャだ。好意が当然だった俺は普通の対応ですら耐性が無いためか、心に傷を負っていた。すげぇ、キツかったよ。慰めてくれる人もいないし。


俺の知っている人全員が俺に対しよそよそしい感じで、時には敵意を向けてくるんだぜ?余程、死んでやろうと思ったよ。そのくらい当時の俺は追い詰められていた。


今になって考えてみると、あいつらも怖かったのだと思う。無条件にそれほど魅力を感じない人を好きになって、その衝動が抑えられないほど大きなものだったのが。突然、消えたのだ。あいつらこそ、本当は1番怖かったのかもしれない。多数の人間を無条件に好かせる人なんて。バケモンだろ?


俺だって怖いもん、そんな奴。近づきたくない、不気味だ。だから、よそよそしく、時には敵意を向ける。だって近づきたくないしな。当然だ。だけど、その当然を割り切るのに結構時間がかかった。


それでも、半年。半年、生きれば人間は慣れるものらしい。ドン底に慣れたって言ったら皆怒るかな?でも、俺としてはそんなもんだった。


それに、本当にドン底に落ちたわけじゃない。普通に戻っただけだ。普通だということは、他のみんなそれを当たり前のように経験してるってこと。それは結構大きい。当たり前なんだけど、皆も同じと思うと心は幾分か楽になる。


そして、これは立ち直った大きなきっかけは男の友人が沢山出来たこと。今までは女の人としか話して無かったから男の友人が出来なかったのだが補正が無くなったことによってできるようになったのよ。


これがさ、嬉しくて嬉しくて。憧れだったのよ、男友達が。なんつーの?当たり前だけどさ、同性だから悩みとかどんな事を考えているかとかが一緒だから、話しやすいのよ。これが、多分立ち直った1番のきっかけ。


出来た男友達も、急にモテまくっていた俺が急に人気が無くなった事が不思議だったんだろうけど、あんまり詳しく聞いてくることは無くて、黙って肩を叩いて慰めてくれた。いや、俺も理由はわかんねぇんだけどね。


まぁ、その後も色々あったけどよ。結果的には良かったと思う。なんだろ?世界を知れたって言ったらふざけんなって言われそうだけど。でも、知らないことを沢山知ることが出来た。


女の裏の顔を知った、男友達の気安さを知った、世間の冷たさを知った、世の中の難しさを知った。


これだけ聞くといい事あんまりねぇじゃねぇかよ。ってなるけど、そこおかげでこういうことも知れたんだぜ?


女の本当の可愛さを知った、男同士の競走心を知った、本当の世間の温かさを知った、努力の大切さが骨身にしみた。


要は、皆より一足遅く大人になれたってことだな。甘々の男から少しはマシになったと思うぜ?


そんで、あらためて思ったさ。もう1度、もう1度あの頃に戻りたいってな。


完全にって訳じゃない。その半分、約1割でもいい。元に戻りたかった。つーか、普通の夢だな。


まぁ、うん、あれだ。正直に言うと、惚れてるんだよ。昔の女に。昔の女にっていうけど、別に付き合ってるわけじゃなかったけどよ。やっぱり、普通に暮らしてみてあんなに良い女は見たことがない。あの3人はやっぱり別格だ。


主人公補正のない俺には分不相応なことはよーく、わかっていたが諦める事はできないね。俺は1度知ってる分余計無理だ。バッシング覚悟で言うと、あの3人のうち誰でもよかった、誰かひとりでも振り向いてくれるような男になる。分相応と呼ばれるような、男にね。


過去をなぞるわけじゃないけど、過去に出来た事をもう1度出来るようになる所から始めた。


とりあえず、筋トレ。何故か不良に勝てる状態から普通に筋力差で勝てるようにガチ筋トレを始めた。これ、今でもやってるのよ。んで、体重が100キロ近くの体脂肪率1桁位まで持っていったね。こーなるとね、不良が逃げてくのよ。自分で言うのもなんだけど、強いよ?


んで、礼儀作法を覚えることも必死でやった。女の人って好きでしょ?紳士さま。喜ぶ事を研究、実践、失敗を繰り返してきたよ。いやー、マジでメンタル強くなった。


よく実験台に使ってた義理の妹の反応が素直でよかった。引く時は引いてたし、照れる時は照れていた。その頃にはもう、敵意は向けてこなくなったな。一歩前進ってやつだ。


そんで、勉強もやりまくったよ。文字通り死ぬ気でやったけど、たかだか半年。上がったことは上がったけども分相応とは言い難かった。


だから、一浪した。19歳、バイトしながら学費を貯めて親に土下座をして1年だけ許してもらった。もう、勉強、勉強。地頭が悪ぃから苦労したよ。補正があった時に、勉強会開いた時の事を思い出すと3人ともマジで頭よかったからさ。


一浪してるから、年代的には義理の妹とおんなじなわけで、一緒に勉強したよ。お互い教えたり教えられたり、と言ってもほとんど俺が教えられてばっかりだったけど。


この頃から、また妹の態度が変わり始めた。また、俺の事を慕って来るようになった。流石に、お嫁さんとかは言わないけども、死ぬ程嬉しかったよ。補正とかのよくわからない力での好意じゃなくて、努力によって勝ち得たものだったから。


この頃はもう。完全に妹に惚れてた。だって、絶世の美少女が慕って来るんだよ?もう即落ち。俄然やる気も出てきたよ。いつか、告白するんだーって。頑張るでしょ、そりぁ。


寝る間を惜しむのは当然、全身全霊をもって机に向かっていったよ。


んで、受かりました。東京大学。


ここまでくると、昔の補正時にかなり戻った。女は寄ってくるわ、周りの目は変わるわ、皆が好意的に接してくれた。


努力って大事だね。報われなくても、それをしているだけで周りの目は変わるから。


それで、驚いたね。一つ先輩に、引っ越した両隣の美少女2人がいたんだもの。あっちも驚いていたよ。東京大学に受かったことより、体格の変化に。いや、昔の俺だったら絶対に話しかけない体格してるもん。


んで、これも嬉しかったのが。2人に再開したとき隣にいた妹が俺の腕をつかんで2人に威嚇してたからな。


昔だったら、なんにも感じなかったけど。いまだったら、裸で踊り狂うレベルだよ。それに、懐かしかったし。


それから、1年、2年とたってくると3人の関係は昔に戻ったって言っていい所まできたよ。


まぁ、妹にもう腹が決まってたから2人に関しては妹ほど嬉しくはなかったよ。なんどか落ちそうになったがな!


なんだ?結局、自慢話じゃねぇかって?たりめぇだろ。最初からそのつもりだ!んで、どうなったって、お前も気になってんじゃねぇかよ。


そうだなぁ、俺含めて4人で会社立ち上げて今んとこ順調。まだまだ小さいけどもいつか上場してやる!あ、違う?3人との関係?


やっぱり俺は妹が好きだったからよ。卒業したらすぐ告白したよ。泣きながら受け入れてくれたよ。すげぇ、嬉しかったよ。俺の努力は報われたって、この時が1番強く思えた。


なんだ、変な顔しやがって。え?なんでお前がそんな格好してるか分かった?あぁ、これ?この服の用途なんて一つしかねぇだろ?


「あ!お兄ちゃん!こんな所にいた!早くしてよ、もう!今日は大事な日なんだから!」


あっ!やべ、見つかった。いやー、最近はなかなか1人で美味い飯屋来れなくてよ。すまんな、俺の話を聞いてくれたお礼だ。今日は、奢ってやるよ。


「そんな格好でこんな所入るなんて、信じらんない!」


いや、つい昔を思い出して…。よくここで1人で食べに来てたんだ。悪かったよ。今度はお前も連れてくるから。


「白いタキシードで来る神経が信じられないって言ってるのに…。もういいわよ…。いきましょ、あなた」



初めてこんな感じに書きました。結構楽しかったです。後、義理の妹と結婚は出来ねぇぞ、というツッコミは受け付けません。初めに勢いで書いた、言いました。そういうことです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 義理の妹との結婚はできますよ? 日本の家族観は今でも親子関係を中心に見ている面が強くて、その点では厳しかったりしますけど(父の配偶者だった女性との結婚は不可) 親同士の結婚で二次被害的に家族…
[一言] ちきしょう 結局リア充か 努力てすごいな
[良い点] 読んでる内にどんどん小説に吸い込まれるような感覚を味わいました。ここまで引き込まれる小説は殆どないと思います。とにかく面白かったです。 [気になる点] 主人公が改心してから物事が上手く行き…
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