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とある憑依領主の懐刀  作者: sayu
第一章
17/18

感謝

side アイーシャ


 リーシャより報告書が届きましたが、想像していたより深刻なトラブルが発生してしまった様ですね。

クラウスが暗殺されかけるとか、拠点を造れと命じたら温泉が出た。あまつさえ街道を整備して温泉街にしてしまおうとか、完全に予想の斜め上を行ってますね。


 原案作成はクラウスとなっていますが、絶対に彼の意見じゃないでしょう。リーシャがクラウスをスケープゴートにしようとしているのが、ありありと(うかがえます。今回の報告書をハルトに見せたら、街道を整備して集客率を上げると言う発想にいたく感心している様でした。


 費用の捻出についてはなんとかするので、なんとしても実行するべきとの回答でした。彼の事ですから、隣の領主を丸め込んで費用を出させるくらい平然とこなすでしょう。


 暗殺未遂については、早急に実行犯の特定と黒幕の炙り出しを急がせる様に指示を出しました。ハルトに任せておけば間違いないでしょう。黒幕については、心当たりがあり過ぎて困りますね。

まぁこれで私に敵対する者の人脈の幾つかは潰せるでしょうから、今回はそれで我慢する事にします。




side リーシャ

 

 侯爵閣下より手紙が届きました。例の計画書については全面的に支持し、資金面もなんとかする旨が書かれていました。同時に面倒な事も書かれてあって、内容は閣下自ら視察の為にここにやってくると言うものでした。

 

 時期については、記載されていませんでした。あの閣下の事ですから、抜き打ちだとか言って明日にもやって来る可能性も完全には否定出来ません。仕事をするのはかまいませんが、目立つのは勘弁してほしいのです。給料分以上の事はしたくありませし、閣下の相手なんて本当にメンドクサイですね。


 クラウスに関しては、大陸一の名医と謳われる《サ・ジィ》先生に来て頂いておりすでに回復に向かっています。あと一ヶ月もすれば動けると言う事なのでタイミングによっては、彼に相手をして頂きましょう。閣下の視察が遅ければ良いと、心からそう思います。

 


 


side クラウス

 

 今回の件では、リーシャに凄く迷惑をかけてしまった。しかも幻とまで言われた《サ・ジィ》先生を俺のために連れて来てくれた。本当に彼女には、頭が上がらないと思う。

 

 看護婦の彼女にも、多大なる迷惑をかけた事をなんとなく覚えている。献身的に看護してくれているそんな彼女に、俺は罵詈雑言を浴びせ口汚く罵ったのだ。


 そんな俺に彼女は、責める訳でもなく女神の様な慈愛と微笑みで接してくれた。彼女は俺の事をおもんばかって、自分の出来る精一杯で接してくれたのだ。本当に彼女には、感謝しかない。


 リーシャにも感謝している。俺の立場を考えてくれたのだろうが、侯爵閣下が視察にいらした際の案内役に俺を指名した。閣下に復帰をアピールしろと言う事なのだろう。


 彼女は自分が発案した計画も、俺の名前で提出していた様だ。閣下が視察にいらした際に、労りとお褒めのお言葉を頂いた後でこっそりその事を教えてくれた。


 今なら分かるが、こうやって先輩達も彼女に手柄を譲られたりしたのだろう。名だたる先輩達が彼女に一目置く理由が今なら分かる気がする。自らは手柄を求めず、仕事は完璧以上に行う。《リシャールの至宝》の名は伊達ではなかった。





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