クラウスの想い
side リーシャ
なんだが急展開すぎてついていけませんでしたが、レティシアさんが帰って残された二人は困った状況になっています。彼女の事は無論心配ですが、現在の状況を収拾させねばなりません。
幸いに彼も、再起動に成功したらしくこちらを気遣う余裕も出てきた様です。彼には『気にしないで下さい』と言ったものの、レティシアさんの爆弾発言の内容にはお互いに困惑ぎみです。
この問題に関しては、私が手出しを出来る事がなさそうなので彼に彼女のフォローを頼んでおきました。こんなドタバタで別れたあげく、しばらく彼女に会えないとは残念で仕方がありませんね。今更言っても仕方がないので、気分を切り替えていきましょう。
考え事があるからと言って彼と別れましたが、近くの席の女性に睨まれていたのはたぶん気のせいだと思っておきましょう。ご飯時に騒がしくして落ち着いて食事が出来なかった件で、恨みを買ったなどと言う事はなかったと思いたいですね。
それはさて置き、明日から別任務があるらしいので一人寂しく物資を買い込んでおきましょう。そろそろ本格的に、こき使われそうな感じがして仕方がありません。びっちり任務を入れられ、時間的余裕があまり取れない可能性があります。さて、どんな任務になるのやら・・・・・・・・・・・
side アイーシャ
レティシアはうまく(多少強引であったが)フェード・アウト出来たので、第二幕《運命の再会》を演出しますか。とは言っても、ただ執務室で顔を合わせるだけなんですけどね。
まぁクラウスの事ですから、『聞いた名前だと思ったが、君の事だったのか』とか言ってあっさり済ましてしまいそうですね。それでは面白くないので、精々知らないフリをしてからかってあげましょう。
クラウスの顔を見れば、勘の良い彼女の事ですから、彼の想い人が私だと気がつくでしょう。そんな彼に同情するそぶり等があるのか、観察させてもらいますね。その結果次第で、次の手を考える事にしましょう。
side リーシャ
翌日になり私は、閣下の執務室の前までやってきました。嫌な予感しかしませんが、これも悲しき宮仕えの身なのでしかたがありません。ドアをノックしたら、閣下の声で入りなさいと聞こえたので入室しました。そこには閣下と見覚えのある男性がいました。
男性の方も驚いており、思わずっといった感じで『聞いた名前だと思ったが、君の事だったのか』と呟いていました。閣下の許可もなしの発言であったのを思い出し、クラウスさんが『失礼しました、閣下』
と謝罪しました。
閣下も気にした風もなく、めずらしく(初めて見ました)ニヤついた顔で、『クラウスも案外と手が早いのね』と変な納得の仕方をしていました。しかも『本当に実行するとは思わなかったわ』などどいって一人で感心している様子でした。
クラウスさんは悲しそうな目をして『彼女とは偶然知り合っただけです。』と言葉短く返答したっきり
で、なんとなく空気が重くなってしまいました。閣下も『冗談がすぎたわね』といって場を切り替える様に本題を切り出しました。
閣下の話を纏めると以前予想していた事が当たり、貿易を行う際の拠点を作ると言うものでした。ただし、ほとんどの前準備はクラウスさんが行っており、あとは現地で指揮・監督をすれば良いとの事でした。メインはクラウスさんで、私は現場で研修といった意味合いが大きいとの事でした。
閣下は『クラウスの仕事がうまく行く様に、貴女も手を貸してあげて』と言われただの研修以上の成果を望まれているのは明白でした。出発は2日後で設定したので、そのつもりでと閣下に言われ『了解しました』と二人で返答し部屋を出ました。
そのあと二人で簡単な打合せを行い、別れましたが彼に元気もなく事務的な話のみで終りました。
閣下に私の事を何て言われて、あの様な展開になったのか気になります。しかし彼自体が、それどころではない様子なので今日のところは保留としておきましょう。
先程の話の中で一つだけ分かった事があります。彼の意中の相手は、レティシアさんではなく我らの侯爵閣下こと、アイーシャ・フォン・リシャール様であった。私は何とも思ってはいませんが、あれだけのルックスに性格の良さ、俗に言う優良物件が何故と思っていましたが、相手が悪すぎましたね。
レティシアさんが、諦めさせ様とした理由が理解出来ました。幾らなんでも無謀すぎ・・・この街でも可愛くて、性格の良い娘ならいくらでもいるでしょう。ま、私には関係ありませんがね。
5000PVを突破です。
感謝しかないですね。(本音はブックマークもほしいよー)
本編には関係ありません(予定)が、リーシャ心の声シリーズ①
私が本気になれば、クラウスとアイーシャをくっ付けることぐらいできますよ・・・しないけどね♪