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とある憑依領主の懐刀  作者: sayu
第一章
14/18

親友

side レティシア


 【待ちに待った時が来ました。この茶番劇を仕組んだ事が無駄ではなかった事を証明する為に、今後の計画遂行を確実な物にする為に、ソロロンよ・・わ・た・し・は帰って・・・・・・ゲフンゲフン】

思わず、道を逸れてしまいましたが、今日の計画のキーポイントがやってきました。


 彼に向かって私は、こう言いました。『どうせなら、リーシャと本当に付き合っちゃえばと・・・』

更に『いつまで、実らない恋に囚われつづけるのよクラウス・・・・・・そんな事を続けていたら、どんどん磨り減っちゃうよ・・・・・・・私はそれが心配だよ』と追討ちをかける。彼の方でもあまりの事に、時間が止まってしまった様です。


 クラウスは言葉を搾り出す様にこう言いました。『君は過去一度たりとも、俺の気持ちを否定しなかった・・・それなのになぜ今頃になって・・・・・・・・・』


 その質問もあまりに想定通りだったので、内心ほくそ笑みつつも用意してあった答えを口にしました。

『今迄の私には貴方の思いを否定しても、代案(貴方に相応しい他の女性)を示す事が出来なかったからよ。しかし今は彼女リーシャがいる』


 『私が認めた数少ない親友。貴方ほどの男性に、中途半端な女性では釣り合わないと思ったのよ。くだらない女と付き合って、貴方が絶望する様は私は見たくなかった』でもねと一旦区切って、


 『今の私には、親友たるクラウスに自信を持って進められる人物がいます。それがリーシャ貴方よ』

そして、リーシャにも『私の親友である貴女にも中途半端な男性と付き合って、不幸になってほしくはないわ。クラウスなら自信を持って、貴女を任せられるわ』と言ったところで、さも正気に戻った風の演技を追加しました。


 そして、言い過ぎた事を反省する様な口ぶりで『ごめんなさい。今日会ったばかりの二人に対して突然こんな事を言ってしまって・・・・・・・・二人の意思をまったく考慮してないね・・・・・』最後に、『ごめんなさい。今日はこのまま帰らせて貰うわ』と言って会計を済ませ、彼女は店を後にしました。





side クラウス


 俺は怒涛の展開についていけず、呆然としてしまった。無意識に『俺はこんなにも、彼女に心配されていたのだな』と呟いていた。俺が思っていたより、レティシアに心配をかけていた様だ。いつも掴みどころない彼女が、こんなに取り乱すのを始めて見た。


 『すまない。俺の事で、君にも迷惑をかけてしまったな』とリーシャに謝っておいた。彼女も『気にしないで下さい』と言ってくれた。


 本当であれば、お詫びにレティシアと一緒に食事でもご馳走したいところだ。しかし、しばらく仕事で街を離れないといけない事情もある。食事は、次の機会にさせてもらおうと思う。


 リーシャには、彼女レティシアへの連絡方法が限られているので、手紙で謝っておく旨を伝えた。リーシャは『わかりました。私の事は気にしないで良いですが、彼女レティシアの件は宜しく頼みますね』と言われた。彼女はこのあと考える事があると言って、この場を立ち去っていった。





side レルシェ


 偶然に私の義兄にであるクラウスが、食事をしているところを発見♪♪せっかくなので、食事を一緒に取ろうとしたところで、思わぬ邪魔あばずれが入りました。


 あの女性くそおんなは、なにかにつけて点数をかせぐフリをしている。まだ義兄が好きで、付きまとっているなら理解出来る。しかし奴の義兄を見る目が、実験動物を観察する様な嫌らしさを感じる時がある。


 元気付けるセリフを言っている時でも、心配している感じが一切しないのだ。まるで相手が言ってほしいセリフをささやいて、心の隙間に侵入してくる悪魔だと言われた方が納得がいく。私が奴の事に気が付いた時には、あの女への信頼度が高くなりすぎてしまっていた。


 最早私の忠告で、どうこうなる様な状態は超えてしまっていた。強く言うと私への信頼度が低くなる可能性すらあって、手が出せないでいる。


 私は彼女達の話しを盗み聞きしていました。私は義兄と彼女のやり取りに疑問を感じましたが、何も知らない第三者視点で見ると、こんな感じに見えたと思います。


 レティシアは密かに、クラウスに恋心を抱いている。→しかしクラウスは他の人に夢中でした。(相手にその気はないらしい)→他の女性に夢中でも、好きな人が傷つくのはみていられないので、元気づけたり面倒を見た→その結果、親友にはなれたが恋愛対象として見てもらえなくなった→それでも彼の事が好きなので、親友でも良いと思いこむ事にした→だが彼が失恋した場合に、何処の誰とも知らない様な相手に奪われるのだけは我慢出来ない→友人であるリーシャであったら、まだ我慢できる範囲である。


 表面上は必死に見えるのだが、同じ女として彼女の本気が感じられないのだ。奴がいったい何を考えて、こんなシナリオを用意したのか見当もつかないが、現状は静観するしかないと思う。


 彼女の思惑は分からないが、過去に義兄が救われたのも事実である。今の所は静観するしかないが、義兄に直接的な被害が出たら、容赦なく介入するつもりでいる。





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